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【私の年のせいなのか ここが日本じゃないからか55】退院まで(5)Day2①

 火曜日、婿は朝から病院へ。娘からおにぎりが欲しいというリクエストがあったので、冷凍してあったご飯をレンチン、佃煮おにぎりを作って婿に持っていってもらう。
 私は午前中にスーパーで食材の買い物、午後からユニクロで授乳ブラ(日本で買ってきたものが調子がよかったので、買い足したくて。フランスのオンラインショップでは見つからなかったけど、店頭も確認しようと)を探す予定でいた。そこへ、婿と娘から連絡が入り、新たなミッションが命じられた。

 行く予定をしていたユニクロはボルドーの繁華街にある。高級ブランドも軒を連ねる一角だ。その近くに、大きな薬局があるので、そこで娘用のクリームを買ってきて欲しいという。病院で試供品をもらったのがよく効くようで、それを婿が今朝、近所の薬局で買おうとしたら、そこにはなく、代替で買ったものはダメだったらしい。買うべきクリームの写真が送られてきた。似たようなのがあるから間違えないでね、という。型番も教えてもらった。薬局の人に写真を見せたら探してもらえるはず、とのこと。分かった、新たなミッション、引き受けました。

 ボルドーの繁華街には歩いて行ったことが何度かある。歩けるはずだ。薬局に行って、ユニクロに行って、そこからトラムとバスで病院に行こう。無理のない範囲の運動、バスのリベンジも織り込み、完璧な計画だ。
 スーパーの買い出しを終え、昨日の夕飯の残り物で昼食を済ませる。さあ、がしがし歩いてミッションを果たすぜ。

 ボルドーの繁華街、サント・カトリーヌ通りは1.4キロぐらい、「ヨーロッパで一番長いショッピングストリート」とのことで、歩いていて楽しい。歩行者天国で、観光客も地元の人も、平日も含めていつも賑わっている。アジア食材店や2ユーロショップ(日本でいう100均)、お土産屋さん、衣料品店、雑貨屋さん、大型のチェーン店も個人商店も軒を連ねる。
 ふっふーん、私なんて、この道、もう何度も歩いちゃってるもんねー、と余裕をかまして歩く。南の方は庶民的、北の方へ行くにつれて、ハイブランドになっていく。その、ハイブランドになったあたりに、目指す薬局がある。

 中に入り、化粧品売り場にいた店員さんにスマホの写真を見せながら、練習した台詞を言う。「えくせきゅーぜもあ、これを探しているんですが」。「どれどれ、あー、これはね、あっち、あそこに薬剤師さんがいるレジがあるでしょ、あそこ行って聞いてみて」というようなことを言われた。「あっち」と「薬剤師さん」が分かったから、何とかなった。「めるしーぼくー」と言って、店の一番奥にあるレジに並ぶ。ここには薬剤師さんが4,5人いて、それぞれレジに立っている。
 順番が来て、若い女性の薬剤師さんがいるレジに進み、もう一度、説明する。バックヤードに見に行ってくれた。でも、手ぶらで帰ってきて、何やら話す。
 「ごめんなさい、フランス語は分からないんです」「あんぐれ?」「はい、英語でお願いします!」「あのね、うちでは売り切れなの。でも、近所にうちの系列の別の薬局があって、そこにあるかもだから、そっちに行ってみて。あなたのスマホに書いてあげるから」「めるしーぼくー」。
 お姉さんがGoogleマップさんに入力してくれる。あれー、おかしーなー、ミッションの難易度上がってませんか? 余裕かましてたのがいかんかったか?

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