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【私の年のせいなのか ここが日本じゃないからか175】12月(18)ケルン・アーヘン⑦

 26日は、大聖堂の塔が9時に、宝物館が10時に開く。他の博物館も、デュッセルドルフのクリスマスマーケットも。27日にはアーヘンに向かうから、今日はいろいろ回りたい。

 何はともあれ、ここまで来たら大聖堂の塔に登らないと!と思うところがミーハーである。大聖堂の中をもう一回見てから、9時5分前、塔に登るための入場券売り場に向かう。既に何人か、ドアが開くのを待っている。
 ここで貼り紙に気づく。あ、そうだ、リュックは持って上がれないんだった。どうしよう、宿まで戻るのも面倒だな、駅のコインロッカーでいいか。大聖堂は駅の隣だから。
 駅の忘れ物受取所のお姉さんにコインロッカーの場所を教えてもらう。行ってみたら、思っていたのと違う。日本で、或いは他の国でも見たことがあるような、幾つもドアが並んでいるような感じじゃない。操作パネルを見ながら、怖々動かしてみたら、お金を入れるとパネルの横のドアが上にスライドする形で開いて、そこに荷物を入れ、完了ボタンを押すとドアが閉まって、受取証がもらえた。一番短い2時間を選択して3ユーロ。回転式のタワーパーキングみたい。入れた荷物は、中でどういうふうに保管されているのかな。

 まあいいや、これで身軽に登れるわ。12ユーロで塔と宝物館の共通チケットを購入する。が、登り始めて1分もしないうちに、これは登り切れるのか?と不安になった。息が切れる切れる。日常でも毎日1万歩ぐらいは歩いてるから、そこそこ足腰は大丈夫なはずだと思うんだけど、ここの階段ヤバいっす。ぜーはーぜーはー、手すりにつかまりながら、休み休み、一歩一歩登る。途中の窓から外を見ると、今日はよく晴れて、ライン川がきれいに見える。足元の建物が小さい小さい。
 やっとこさっとこ一番上までやってきた。展望台からケルンの街が一望できる。フランス語もドイツ語もできないばあさんが、よくもはるばるやってきたぜ。息は切れてるがな。
 下りはそりゃまあ楽なんだが、これは絶対明日筋肉痛になる、間違いない。途中から登りと下りが同じ階段なので、上がってくる人とすれ違う。なるほどこれはリュックがあったら危ないかも。

 10時になるまで駅の中を歩き回って時間をつぶし、次は宝物館だ。開く直前に行ったら、係員のお姉さんが柵の向こうでたばこを吸ってて、時間になったら吸い殻をどぶに捨てた。えーっと、ここって世界遺産で、あなたはここで働いてるんだよね。ま、いいけど、いいのか。
 中は、ほんとにもうねえ、ゴージャスだったらありゃしない。ケルン大司教は神聖ローマ皇帝を選ぶ七選帝侯の一人なぐらいで、とてもステータスが高かった。それを物語るお宝の数々だ。美術的にも圧倒される。展示物の中にときどき「現在使用中」というのがある。そ、そうか、ミサのときにも実際使用されてたのか。でも、同時に、この杖を1つ売ったら、ホームレス用シェルターが作れるんじゃないか、とか考えてしまう。それは平行線ですらない、ねじれの位置の発想だろうか。
 売店に寄って、ケルン大聖堂の絵が描かれたショッピングバッグを自分へのお土産として買う。さっきのお姉さんはここの店員さんだった。

 さて、ここから、今日はもう一つ、行きたい博物館がある。コインロッカーは2時間までの料金しか払っていないから、このタイミングで出してこよう。
 コインロッカーの受取証を出して、機械にかざす。ちょっとしたら、ドアが開いて、私のリュックがお出ましだ。さあ、リュックを背負って…と、あれ?なんか冷たい?濡れてる?おおおおお!結構濡れてる!
 慌ててリュックを開けると、中で1.5リットル入りのエヴィアンペットボトルがあらかた空になっている。朝、少し飲んだだけだから、1リットル以上入っていたはず。やばいやばい、何がやばいって、モバイルバッテリーとかケーブルとか、スマホとタブレットの充電関係が濡れるとやばいんじゃないか? タブレット本体は宿に置いたスーツケースに入れてきたからいいとして。

 大急ぎで、宿に戻る。近いところで本当によかった。リュックを開けて、中のものをバスタオルの上に出す。モバイルバッテリーが動くかどうか確かめる。よかったー、ちゃんと充電できるみたい。本当に、毎日いろんなことが起こる。今度から、ペットボトルのふたはぎゅうぎゅうに閉めよう。
 一息ついて、びしょんこのリュックは諦めて、お財布ポシェットとスマホを首から提げて、さあ、仕切り直しだ。

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