
【私の年のせいなのか ここが日本じゃないからか104】9月(18)フランス語講座④
娘も私も、学校教育において、少なくとも学習面では優等生で通ってきた(まーねー、私は授業サボったりわざと遅刻したりしたし、娘は学校当局に抗議の署名集めしたし、扱いやすい生徒ではなかったと思うけど)。学ぶこと自体は嫌いじゃない。だから、教室でフランス語を習うのは楽しい。
娘は仕事は英語で、婿との会話も日本語と英語で行うので、フランス語は使う機会がお店での買い物ぐらいだった。それも、多くの店で英語を話す店員さんがいたりする。
しかし、これから先、べべさんの病院とか学校とか、いつもいつも婿に頼れるとは限らないから、ここは一つ、本気出してフランス語やらないと!と、出産以降、結構頑張っている。そして、流石に2年フランスに住んでいるだけのことはあり、本人も驚くくらい、あら、私、聞き取れてるじゃん、答えられてるじゃん、ということもあるのだった。
フランス語(識字)教室の先生、ポリーヌは、最初の授業で、この先、クラスをレベルに応じて二つに分けます、ということを言っていた。そして、3回目の授業の後、娘と私に「次からは、木曜日の11時からアドバンス向けのクラスをやるから、そっちに来て!」と言った。
え、娘はともかく、私もですか? どうも、いつもべべさんを連れて3世代で来ているのを見て、このばあさんはフランス語全然だけど、娘と孫とセットにしておかないといけないようだ、と思われたみたいだ。抱き合わせ販売ってやつですね。
いや、しかし無理だろ。ベーシックの方でも、読み書きはともかく、先生の指示を聞き取ること、受け答えをすることについては、私は下の下だ。ベーシックでこそ学べること、学ぶべきことがあるはずだ。
とはいえ、実際問題として、娘と一緒=べべさんと一緒に行動した方が助かる部分はある。私が一人でベーシッククラスに参加した場合、娘がその間、べべさんを見なければいけない。もうすぐ復職するから、そういう時間はできるだけ少なくしたい。
迷うところだったが、火曜日はベーシッククラスに一人で参加させてもらう、木曜日はアドバンスに娘とべべさんと一緒に参加する、ということで、先生にも娘にも了承を取った。ベーシッククラスに参加すれば、アイにも会えるという気持ちもちょっとあった。
さて、木曜日。アドバンスクラスの最初の日。同じ建物で赤ちゃんの遊び場が木曜の午前中に開いているため、娘はべべさんを連れてまずそちらへ行き、私はフランス語教室の前でベーシックの授業が終わるのを待った。教室のドアが開き、ベーシックの生徒たちが出てくる。入れ替わりに入ったら、メインの先生であるポリーヌが「ちょっと用事済ませてくるから、待ってて!」と出て行って、私と、もう一人の先生、ミシェルが取り残された。
その結果、マンツーマン授業が始まり、「子ども用の本を読むのが勉強になるわよ!待ってらっしゃい!」と言われて待ってたら、ミシェルが「くまのプーさん」を持って現れた。というわけで、娘がそろそろかな?と覗きに来たときには、61歳の母がプーさんを朗読しているのを目撃することになったのであった。
その日、アドバンスクラスの参加者は娘と私だけだった。本当はもう一人、シリア人女性が参加するはずだったのだが、その日はいなかった。
おかげさまで、先生二人に生徒二人(+べべさん)、1時間以上、じっくりたっぷり、お話をした(お話をしたのは先生と娘で、私はふんふん聞いてた)。娘の現在の仕事についていろいろ聞かれて、これから先、どういうトピックを取り上げたい?という希望も聞かれた。「分かんないことがあったら、会話を止めていいから、ちゃんと質問するのよ、いるみ!」いや、私の名前はひろみだが。そして、最初から最後まで分からんが。
特に体系的に文法を教わるわけでもなく、テキストを読んだりするわけでもない。ただただ聞く、話すという機会を与えられた。これは娘に(そして私にも)最高の教室だ。読み書きは自分で勉強できるけど、生きた会話の機会はなかなかないもの。
これが無料。なんだか申し訳ないくらいだね、日本から誰か来るときに菓子折でも持ってきてもらおうか、いや、次回からおやつとコーヒーを持って行った方がいいんじゃないか、そんな話をしながら帰宅した。
さて、この教室もこれからどうなりますやら。10月以降、娘が復職したら通い続けられるのか。できれば、続けたい。教える側ではなく、学ぶ側になることが、新鮮で楽しい。