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【私の年のせいなのか ここが日本じゃないからか101】9月(15)フランス語講座①

 9月中旬、べべさんの生活に刺激を増やすために、近所のコミュニティセンター、公民館のような場所で木曜日の午前に開かれる児童館みたいなところに行ってみた。建物の入り口には、その建物で行われるさまざまな催しのチラシが貼られ、持って帰ることができるようになっていた。クラシック・バレエだって-、ああ、今日使った部屋にバーとか鏡とかあったもんね、とか言いながら娘と見ていたところ、登録料のみ、月謝は無しのフランス語教室を見つけた。

 前々から娘と、どこかで移民向けのフランス語教室ないかな、とは言っていたのだ。勿論、お金を出せば幾らでもフランス語教室はある。個人レッスンをしてくれる人も見つけられるだろう。しかし、ここで私たち親子の財布の紐の固さが遺憾なく発揮されるのである。公共の、格安の講座があるんじゃないか、とアンテナを張っていたら、あーら、灯台もと暗し、家から10分のところにあったわ。

 タイミングが良かった。9月は、バカンス明け、新学年のシーズンで、ちょうど新しい講座が始まるところのようだ。チラシをもらって帰った娘が、べべさん(と、ばあさん)を連れて参加してもいいか?と早速メールを送ったら、勿論!との返事。よしよし、火曜と木曜の朝の講座だ、来週の火曜、行ってみましょう!
 私はさっぱり分からないが、婿と娘がチラシを見たところ、フランス語を体系的に教えるというよりは、識字教室的なもののようだ。一体どういう人が集まってくるのか。

 会議室のような、机が四角に並べられた教室に、最大で20人近くの生徒。アフガニスタンからの男性たち(おっさんに見えたが、みんな二十代、せいぜい三十過ぎだったんでびっくりした)が多かったが、他にもブラジル出身のミュージシャンというおじさんや、モロッコとスペインの二重国籍だという女性、シリアから来たという女性などがいた。私たちはかなり異色だと思う。多分、先生や他の生徒からは、お金払って有料の教室に行けよ、と思われているんじゃないかな。

 ほとんどの人が、フランス語を話すことはそこそこできる。フランスに来て数年立つ人が多いようだ。ただ、読み書きが難しい。
 私たちとは真逆だ。フランス語の語彙は英語と相当重なるので、娘はそこそこ読むことはできる。私は娘よりは全然ダメだが、少なくとも、文字を使って勉強するという経験値は高い。ところが、話す、聞く、となるとからきしである。

 この教室は、50代と思われるポリーヌと、60代?もうちょい上?というミシェル、女性二人が先生なのだが、授業はオールフランス語で進められる。そりゃまあ英語が分からない生徒も多いだろうからね。おかげで、先生の指示や、読み書きはできなくても話すことはできる生徒さんたちの発言を聞くことで、私たちにとっては圧倒的にリスニング機会を増やす、良い場所になりそうだ。

 初めて参加した9月半ばの火曜日、私たちは登録のために早めに会場に行った。そこで、やはり登録に来ていたアイ(仮名)と出会った。

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