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【私の年のせいなのか ここが日本じゃないからか71】生後まもなく(13)助産師さん

 退院してから「sage-femme」と呼ばれる助産師さんが、家を訪問して、娘とべべさんの様子を見、アドバイスをしてくれる。出産前に娘夫婦が連れだって、近所に住む、娘を担当するsage-femmeを訪問し、顔合わせを行っていた。

 sageという単語は、英語と一緒で「賢い人」を意味するらしい。femmeは女性。だから、私はsage-femmeは「賢い女性」だと思っていた。それは違った。
 日本で助産師は女性のみに国家試験受験が認められている職業である。しかし、フランスでは男性でも助産師になれるそうだ。
 在日フランス大使館の2016年9月9日のXによると、「フランスには21,700名の助産師がいますが、そのうち2%は男性です。」「助産師はフランス語でsage-femme(sage=賢明な、有識者、femme=女性)と言いますが、これは「女性について学識がある人」という意味で、男性の場合でもsage-femmeです」とのこと。
 男性の助産師さんを認めるかどうかは、人によって意見が分かれそうだ。私は特に強い意見は持っていない。取り敢えず、男女はともかく全体の人数で見ると、日本では38,000人、フランスと比べて人口がざっくり倍ぐらいいるはずなので、人口あたりでは少ない。
 まあね、高齢化率、年齢別人口構成が違うから、簡単に比較はできないのは確かだ。ただ、こういうところにお金を掛ける(人材養成とか待遇改善とか)と、ひいては出生率向上につながるんじゃない?とも思う。別段、出生率を上げることが日本の最優先課題なんて思ってはいないけど。

 話を戻して、出産前に顔を合わせていた近所のsage-femmeは、3人の女性で開業しているとのことで、バカンスシーズンの日曜日でも、来て欲しいと連絡すれば対応してくれたので、とても助かった。一回の訪問がおおよそ30分前後だったと思う。
 この自宅訪問の費用は、一定期間までは社会保障で賄われる。多分退院後2週間とか。それを過ぎた分は自己負担になるが、婿の会社の健康保険がカバーしてくれるので、後から払い戻されるらしい。

 複数のsage-femme、それから、sage-femmeとは別の「保育専門アドバイザー」みたいな立場の人に自宅まで何度も来ていただいた。英語が話せる人も多かった。英語が話せない場合は、或いはちょっと細かい部分まで正確に確認する必要があるなどの場合は、婿がフランス語でやりとりして、娘に英語か日本語で伝えていた。
 人によって違うところもあるが、多くの人が、リュックにべべさんの体重を量る機械や代金の支払いをカードで受け取るための機械、パソコンなどを詰め込んでいた。必要があれば、薬や搾乳器などの処方箋をその場で出してくれる。スマホに送られた処方箋と娘の保険証を持って、婿が薬局(どこでもいいが、日曜日に営業しているところは限られている)に行くと、指示された薬品などを受け取ることができる。この料金も、社会保障で相当程度はカバーされ、それでカバーされない分は、勤め先の保険も使うらしい。

 更に、娘は産後、別のsage-femmeのところで、会陰や膣のケア方法、体操などを教えてもらっている。全部で5、6回、これも全て、公的な保険でカバーされる。

 日本でも今は、産後の母子に対するケアが昔に比べて充実しているのは間違いないだろう。私は詳しくないので、フランスと比較することはできない。ただ、30年前、自分がワンオペで赤ん坊を抱えていたときに、こういうサービスがあったらなー、と思う。相談だけでなく、日曜日であっても薬も出してくれるのが、話が早くて素晴らしい。
 昔のお母さんは誰だってそんなサービス無しにちゃんとやってた、今のお母さんは甘ったれてる!という人もいるかもしれない。が、その結果が出生率の低下ってこともあるんじゃないか。 部活で先輩のしごきやいじめに遭った中学生が後輩に「私たちだって我慢したんだから」って厳しくあたるみたいなことを、繰り返す必要はないよね。

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