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おしゃべりアート@北海道立近代美術館 ⑥

こんにちは。
今日は、今までご紹介できなかった学芸員による研究の成果とその作品について、さらっとご紹介しいと思います。
現在会期中の「星の瞬間 アーティストとミュージアムが読み直す、Hokkaido」は、現代アーティスト9名の作品と、10名の学芸員によるコレクション研究の成果とその作品を一階の展示フロア全てを使って一堂に展示しています。
総勢19名の展示は広い展示会場をゆったりと使っていて、見応え充分です。

学芸員×コレクション

1.筆谷等観 小樽から近代日本画創造の本拠地へ飛びこんだ道産子

土岐美由紀氏(主任学芸員)
展示作品(北海道立近代美術館所蔵)
筆谷等観《春寒賜浴》1924年(大正13) 、
絹本彩色 ・軸横山大観・下村観山《陶靖節(幽篁弾琴・見南山図) 》 1919 年(大正8)絹本彩色・軸横山大観《秋思》1898 年(明治31)、 絹本彩色 ・軸

2. 片岡球子の「面構」―その構造を分析する一試論

星野靖隆氏(学芸員)
展示作品(北海道立近代美術館所蔵)
片岡球子《面構 浮世絵師歌川国芳と浮世絵研究家鈴木重三先生》1988年(昭和63)、紙本彩色
片岡球子《面構 一休さま》2000年(平成12)、紙本彩色
片岡球子《葛飾北斎》1976年(昭和51)、紙本彩色
片岡球子《雅楽(女神と胡飲酒)》1967年(昭和42)、紙本彩色

3. ひとと共に、ひとを思うものづくりを。 藤戸康平のあゆみと《Singing of the Needle》

村山美波氏(学芸員)
展示作品(北海道立近代美術館所蔵)
藤戸康平《Singing of the Needle》2021年(令和3)、鉄、鹿の頭骨、アクリル絵具

4. イモンパウクの《盆》:どこから来たのか、何者か、どこへ行くのか

中村聖司氏(学芸副館長)
展示作品(北海道博物館所蔵)
《盆》カツラ、北海道博物館蔵
写真提供:公益財団法人アイヌ民族文化財団

5. 木路毛五郎―「疎外された人間」と美術運動―

門間仁史氏(企画推進課長)
展示作品(北海道立近代美術館所蔵)
木路毛五郎《虚と実》1970年(昭和45)、油彩・キャンバス
荒井善則《林の中の20枚の板 2》1983年(昭和58)、シルクスクリーン・布
一ノ戸ヨシノリ《国旗》1970年(昭和45)、日米国旗、鏡2枚、鏡スタンド、木製テーブル2台、テーブルクロス2枚

6. 《家路》からたどる栗谷川健一のポスター制作プロセス

野田佳奈子氏(主任学芸員)
展示作品(北海道立近代美術館所蔵)
栗谷川健一《家路》1962年(昭和37)、オフセット・紙
栗谷川健一《川に憩う》1959年(昭和34)、オフセット・紙
栗谷川健一《十勝川温泉》1960年(昭和35)、オフセット・紙
栗谷川健一《落陽の平原》 1973年(昭和48)、 オフセット・紙

7. 上野山清貢 南の島に何を求めたのか

薗部容子氏(リサーチ推進課長)
展示作品(北海道立近代美術館所蔵)
上野山清貢《ある夜》1928年(昭和3) 、油彩・キャンバス
上野山清貢《とかげを弄び夢見る島の乙女》1924年(大正13) 、油彩・キャンバス

8. 彫刻家への衝動 小寺真知子

久米淳之氏(上席専門員)
展示作品(北海道立近代美術館所蔵)
小寺真知子《アウローラ》1991年(平成3)、ブロンズ

9. 洋画家・青山熊治の北海道虻田村滞在と《アイヌ》

河本真夕氏(学芸員)
展示作品(北海道立近代美術館所蔵)
青山熊治《アイヌ》1910(明治43)、油彩・キャンバス
青山熊治《アイヌ青年白鳥権治の像》1911年(明治44)、油彩・キャンバス

10. 小川原脩―シュルレアリスムの時代

光岡幸治氏(上席専門員)
展示作品(北海道立近代美術館所蔵)小川原脩《雪》1940年(昭和15)、油彩・キャンバス小川原脩《男と白鳥》1939年(昭和14)、油彩・キャンバス

以上、さらっとご紹介でした。
さらっとなのにかなりのボリュームでしたね。現代アートも多様な作品でしたが、コレクション研究も多様で面白く見応えのある展示でした。
その上、今回の「星の瞬間」のチケットで2階の「変貌する20世紀ヨーロッパ・ガラス プロダクトへ、アートへ」も見ることができます。
近美は元々ガラスの作品は豊富でいつも楽しませていただいていますが、今回も魅力的な面白い作品がたくさん展示されています。私の今回のお気に入りはこちらです。

「私の家族」 ダナ・ザーメチニーコヴァ
「素描-日記より」ウルズラ・フート

今回、初めて北海道立近代美術館で「おしゃべりアート」をさせていただきました。午前の部に参加してくださった方が、午後の部にも参加してくださったのは、とても嬉しかったです。
また、高橋喜代史さんの作品で、作品内のカーペットに参加者と一緒に座り、対話型鑑賞以外のお話もしました。既に展覧会をひと回りしていた方が、まだ他の作品を見ていない方に、「大黒さんの作品は、写真に収めることはできない、図録にも収まらない作品だからあの場所で体験したほうがいいですよ。」とお話しされていたのがとても印象に残っています。鑑賞者と作品や作家がつながるだけでなく、同じく見ている人同士もつながっていきました。それは、あの作品の中だから自然になったのではないかと思います。この場にある高橋さんの映像の作品から、『クッションや ゆかに すわって』、『まったり ぼーーっとしてみたり』、『おしゃべりしてもいいですよ』、『ここは のんびり びじゅつを みるところ』と言葉が現れます。この言葉に導かれるように作品の中に入っていけたからだと思います。

高橋喜代史氏「わたし山」より

今回の展覧会は、現代アートだけでも、対話型鑑賞をやりたくなるような作品がたくさんありました。
このような機会を与えてくださった美術館の皆様に感謝いたします。
当日は参加してくださったお客様が思ったより多かったので、学芸員の皆さんにサポートしていただきスムーズに進行できました。
当日を含め、これほどの展覧会の準備で忙しい最中に、打合せやリハーサルにお時間を割いていただ学芸員のみなさまには大変お世話になりありがとうございました。
また6作家の「おしゃべりアート」にお付き合いくださった皆様もありがとうございます。みなさまと一緒に作品を鑑賞できたことで、私たちも作品を見る幅が広がりとても楽しいひとときでした。

〜おまけのおはなし〜
展示室Bの出口を出たところに「北海道立図書館」が今回の展覧会の関連図書を置いています。近くにテーブルと椅子があり、読みたい本を手に取りそこで読むことができます。

恒例のイベントのご案内です。

Meet & Greet☆アーティスト・サタデー

日時:2月15日 土曜日 13:30~(1時間程度)
   伊藤隆介氏、今村育子氏、大黒淳一氏、高橋喜代史氏、端聡氏
今回対話型鑑賞を行った伊藤隆介さん、高橋喜代史さん、端聡さんが参加しています。

Meet & Greet☆アーティスト・サタデーの詳細はこちらから

https://artmuseum.pref.hokkaido.lg.jp/knb/event/latest/317

展覧会情報はこちらから

https://artmuseum.pref.hokkaido.lg.jp/knb/exhibition/program/233

今回で、「おしゃべりアート@北海道立近代美術館 」は終了です。

最後までお読みいただきありがとうございます。

ここで今後の私たちの今後の活動の紹介をさせていただきます。

💙2月23日(日)札幌芸術の森美術館 

おしゃべりアート鑑賞会「頼りない、されど愛しい、マイ・ホーム。」 ①11:30〜 ②13:30〜(各回30分程度)

展覧会情報:札幌美術展 マイ・ホーム(仮)

💙2月24日(月) SCARTS

札幌アートコミュニケーターズプレゼンツ 「おしゃべりアート」 10:00〜18:00

展覧会情報:SCARTS×CoSTEPアート&サイエンスプロジェクト
荒木悠 双殻綱:幕間 BIVALVIA: INTERMISSION

お近くにお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。お待ちしております🙇



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