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#22 マッチョ系和菓子職人【うえっち】

【第22回目ゲスト】
うえっち
18歳から見習いで入り、和菓子に携わって13年目。京都と奈良の県境「木津川市」で和菓子屋を営んでいる、マッチョになりたい和菓子職人“うえっち”。(別名TikTokでは“しるこニキ”)

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【H…Hiromi / U…うえっち】

▪️H.自己紹介をお願いします!

U.京都府の木津川市で和菓子屋さんを営んでおります。TikTokでは「しるこニキ」って呼ばれています、31歳、和菓子職人のうえっちです。
懐中しるこをずっとライブ配信で作っているので、そう呼ばれています。よろしくお願いします!

▪️H.投稿で見たのですが、お父さんが元々和菓子屋さんを営んでいたのですか?

U.代々続いてきているお店で、僕で一応7代目って言われています。親父が6代目、7代目、それで僕の息子が今年4月にできたので、8代目(仮)ですね(笑)

▪️H.なるほど!お店はいつ頃からありますか?

U.小売りのお店ができたのが、僕の生まれた年になってからなので、小売店でいうと30年くらいです。ただ工場が昔からあって建て替え続けて和菓子を作っていました。確たる証拠がなかったのですが、最近、大正4年のレシピ帳がでてきて、それでだいたい100年前くらいで100年以上は続いています。『長盛堂』というお店になります。


▪️H.うえっちさんはいつから和菓子職人になられたのですか?

U.小学校の卒業文集には、世界一の和菓子職人、中学校で日本一の和菓子職人、その後、高校で和菓子職人とだんだん年いくごとに現実味が出ていました(笑)

▪️H.(笑)いつからお店に出すような和菓子を作り出したのですか?

ちょうど18歳の時で、今でも覚えてるのですが、高校卒業式って3月1日じゃないですか。
3月1日の4日後、3月5日から修行ですね。京都市内の方に行ったので、だから僕は高校の最後の春休みがありませんでした。家じゃなくて違う京都市内のお店で大体7年弱、修行をしました。

▪️H.その後、今のお店に戻ってきたのですか?

U.そうですね!今のお店に戻ってきたと同時に、InstagramなどのSNSを始めた感じです。
今のお店は6年目くらいかと。

▪️H.逆に、和菓子職人になる前は何をされていたのですか?

U.和菓子職人になる前は学生なので、
ラグビーをやっていました。学生の時は部活動一筋って感じでした。

▪️H.学生の時は全く和菓子に触れてなかったのですか?

U.袋詰めを1シーズンに1回か2回くらい手伝うくらいでしたね。中の仕事を手伝うっていうのはなかったです。

▪️H.でも、和菓子職人をやるは決めていたのですか?

U.やるのは決めていたので、僕の中では高校を卒業するまでは好き勝手やらせてくれみたいな感じでした。
ラグビーをするのも家族からの反対があって、
事故やけがを心配して最初は揉めていました。
ただやるのは僕なので、やりたいことをやって、
高校を卒業してラグビーもやり切りました。

▪️H.そこからはずっと修行の日々だったのですか?

U.そうですね。朝は始発で行って、夜は6、7時ぐらいに終わりました。忙しい時は朝早くから行って、終電で帰ることもありました。

▪️H.すごいですね。
修行が終わる目安はあるのですか?

U.言われてるのは3年ぐらいですね。
3年間やって、だいたい基礎的なものが一通りできるかなって感じです。
修行に行くことを昔で言う「丁稚奉公(でっちぼうこう)」と言います。親の時代だとよくあって、お金をちょっともらうぐらいで教えてもらうみたいな感じです。今だったら労働基準局が黙っちゃいないので、法律などに引っかかってくると思うので今はないのですが。

そんな感じで親父も3年修行に行って、その後に「お返し奉公」っていうのがありました。教えてもらったから、その分そちらの方の従業員で働きますよっていう。

▪️H.なるほど。その修行のお店はどうやって選んだのですか?

U.親父が決めてきました。このご時世、
見習いを引き受けるお菓子屋さんもだいぶ少なくなっていて、京都市内の老舗の お菓子屋さんでも、見習い受けとらない感じです。親父が京都の重鎮の老舗のお菓子屋さんに頼みに行ったのですが、ちょうどその時、僕みたいな修行の方がおられて受け入れしてもらえませんでした。他を探していたら、ちょうど烏丸五条に京都でかなり老舗で、全国で日本一をとっている和菓子屋があってそこが受け入れをしてくれました。

▪️H.そうだったのですね。投稿を見てて思ったのが、和菓子作りの作業は繊細じゃないですか。あれは練習したらできるようになるのですか?

U.上手い人の作り方を真似しています。
例え下手くそでも、とりあえず自分の形で作ってみるっていうのを、何度か繰り返していったら、いつの間にかできていました。

▪️H.なるほど。それに練り切りの作り方を見ていて、いろんな色の生地を重ねて作っているじゃないですか。元々そういう作り方があるのか、
いろいろ試しながら作っているのですか?

U.大体のベースは決まっているのですよ。
グラディエーションは「ぼかし」っていう技術になるのですが、1色じゃなくて、2色ぐらいを使って京都で言うはんなりとした色合いを作っています。ピンクじゃなくて桜色、紫じゃなくて藤の色みたいな感じです。やり方はいろいろあるのですが、後は応用ですね。

▪️H.なるほど。そちらのカラフルな練り切りも販売されているのですか?

U.大人の事情さえ触れてないものでしたら、お店には並べています。お茶の先生が多くて
デザインを選んで注文していってくれたらいいなと思って始めました。選んでもらって、お茶席で使うみたいな感じだったのですが、今はだんだんフォロワーさんが認知をしてくれています。いつの間にかフォロワーさんも1万人になりました。

▪️H.リスナーさんも来てくれますか?

U.多いですね。常連さんになってくれている人もいます。

▪️H.いいですね!配信を和菓子職人さんでやってる人を見たことなくて珍しいですよね?

U.ライブ配信やっている人ほとんどいないのですよ。だからもうブルーオーシャンで競合他社がいないです(笑)最近、動画を出している人が多いのですが、配信でやっているっていう人はあまりいなくて。僕的にライブの方が編集がいらないので、すぐそのままのありのままの姿を出せるし、間違っても失敗しても笑いを取れるので。それで人柄もわかりやすいかなと思います。

▪️H.配信を、SNSを始める前と後で何が変わりましたか?

U.売り上げがもう半端なく伸びました!地元の方も「毎日頑張ってるね」って言ってくれますし、地方からも来てくれます。一番遠いときはインドネシアから来てくれました。今年の6月ぐらいに、怖い黒のバンが店の前で止まって、日本語じゃない言葉が聞こえていて、女性2人が入っていて、1人の方は片言なのですが、Instagramを見て「あなたのファンです!」って言いながら買いに来てくれました。僕のInstagramにあげてる練り切りを買ってくださって、その方が一番遠方でした。最近は滋賀県や埼玉県の方も来られましたし、今であれば、通販もあるので凄い時代が来たなと思います。

▪️H.それ凄いですね!ちなみに、一番の推しの和菓子なんですか?

U.練り切りにはなるのですが、1個1個手作りなのでどうしても量産ができづらくて。お店まで買いに来ていただいたら買えるよって感じです。
あとは時期ごとによって、夏場でしたら、葛バーっていう、葛を使ったアイスキャンディー。これからの冬の時期は懐中しるこが流行りになりますね。

▪️H.季節ごとのお菓子もあるの嬉しいですね。
今の和菓子職人になるまでに影響を受けた人や本はありますか?

U.影響は三堀さんという和菓子職人の方ですね!SNSのフォロワー数も多く、「菓道一菓流」という独自のブランドも持たれています。

▪️H.なぜその人はそんなに人気なのですか?

和菓子の技術です。僕はあまり知らないのですが、ハサミ菊などの細工もすごいです。見せる和菓子ですね。僕の最初のとき、和菓子って洋菓子に比べると地味な感じがしてあまり映えないなと思っていました。ただその人の投稿を見ていたら、写真の撮り方も素敵でまさにもうアートでした!年齢もまだ40代ぐらいの方なのですが、全世界飛んでおられます。職人の域を超えています。

▪️H.和菓子職人にとって大切なことってありますか?

U.僕は特になのですが後継ぎなので、
諦めない気持ちが一番大事ですね。
SNSでも続けないと、100点のものを作るのって大変だと思うので、80点、90点くらいのものでもとりあえず続けるっていうのが大事だと思います。


▪️H.もともと継続力があるタイプだったのですか?

U.趣味で筋トレをやっていたのですが、ラグビーをしていたときはずっと続けていました。今は子供ができて、半年くらいできてないのですが。

▪️H.なるほど。配信で意識していることはありますか?

U.清潔感が大事ですね。
そのために顔や前腕の脱毛など全部やっています。綺麗にしてると思われた方が何事にも得だと思います。

あと配信時間は大体21時から0時。遅い時は夜中の2時くらいまでしています。だいたいみなさんが寝る前にお腹が空く時間です(笑)ちょっと甘いものが欲しくなる時間帯に配信をしています。最初始めた時は仕事が忙しくて、この時間帯にやるしかなかったのですが、最近みなさんに言われるのが、この時間帯に見ていたらお腹減るっていうのをよく言われます。寝る前にゆったりしてTikTokを見ようとしたら「ゴリゴリの兄ちゃんは何を作ってんねん」ってなるので、このマッチョ系和菓子職人っていうのを肩書きをうたっています。僕の身体自体が名刺代わりになっていて、「和菓子職人なのに、ゴリゴリの兄ちゃんってどんなやつやねん」っていうその疑問を持たれただけで僕は勝ちだなと思っています。

H.確かに!繊細なことをゴリゴリの方がやられていたら興味持ちますね(笑)

U.僕は認知度を広めたいので、覚えてもらうのは重要だと思います。

▪️H.いいギャップだと思います!
では最後に今後どうしていきたいか教えてください!

U.懐中しるこを全国展開できたらいいですね。
日本全国は行ってるのですが、全世界に。
賞味期限も常温で半年いけますし。
日本の反対のブラジルに行っても届くのに1ヶ月くらいかかろうが半年いけるので全然大丈夫です。海外の人はあんこ自体どうなのかなっていうのはありますが、それもチャレンジとして面白そうと思っています。

後は、店のことを知ってもらうのもありますし、僕のことを知ってもらうって、今後、幅広く活動できたらいいし、SNSだけじゃなくて直接で会えるようなイベント出展ができたらいいなと思っています。視聴者さんと触れ合えることが今後できたらいいですね。

▪️H.普段は京都ですよね?

普段はね、京都なのですが、多くの人の京都のイメージが京都市内なのですが、京都の県境ぐらいの木津川市っていうところです。
奈良寄りの京都って感じでそこでお店をやっています。

全国でイベントで周れるようになったら、
関西だけでなく関東の方も来やすくなると思うので、関東にも殴り込みに行きたいと思います!
そんなこと言ったら口悪いですが(笑)

▪️H.ぜひお願いします!(笑)
和菓子の世界の勉強になりました!
本日はお時間ありがとうございました!

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