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今日は、すごく嬉しかったエピソードをシェアしたいと思います。

わたしが「美しくありたい人へ贈るエレガンスアフタヌーンティー」というテーマでアフタヌーンティーを提供していた時のことです。

ある日、わたしの友人のお母さんなのですが、90歳のお誕生日にと家族全員で温泉に行かれて、その後わたしのお店に立ち寄って頂きました。その時のエピソードになります。


当時のお店の設えは、店内に入るとサンドイッチやドリンクをご提供するカウンターがあり、ドライフラワーのトンネルと抜けるとエレガントなティールームの空間が広がるという、つくりにしていました。

ドライフラワーに囲まれた通路、ここを抜けると。。

そのお婆ちゃんがご来店されて、入口のドアを開けた瞬間からお花の香りによって、ご年齢から少し前向きになった背筋が一瞬伸びました。

「いい香りがするね〜」と

それが一言目の挨拶でした。

そして、カウンターを通り、ドライフラワーの通路の手前で立ち止まって、なんとも幸せそうなお顔をされて、ずっと眺めておられます。いつも足元ばかりを気にされて歩いておられるせいか、背筋を伸ばして上を眺めていらっしゃる目にすごく輝きがあるように感じました。

「落ち着くわ〜」と言葉かずは少ないのですが、染み染みとその香りと時間を味わっておられるようでした。しばらくカウンター前のベンチにすわり、ああ〜綺麗と眺めながら、娘さんと談笑されてました。

その後しばらくしてから、奥のティールームにご案内しました。

ティールームは、テーマの通りエレガンスを浴びることができる空間です。生花をふんだんに使い、天井に届く装花、足元の花壇、薔薇をあしらった取り皿と幸せとエレガンスを感じられる空間です。

ティールーム入口のレースカーテンを左右にそっと開け、この空間に足を踏み入れた瞬間、またお婆ちゃんの足が止まりました。

「わぁ〜なんて素敵なの!」と

アフタヌーンティー専用ティールーム

お客さまに喜んで欲しくて、作り込んだ空間です。このように感動してもらえることに、こちらも思わず感情が込み上げます。

決して広くないティールームですが、一つ一つの花を愛でるようにゆっくり、ゆっくりと足を進めておられました。たった数メートルですが、きっとお婆ちゃんにとっては、長い距離だったと思います。

そして、ソファーに腰をかけて、それからもお花をずっと眺めてらっしゃいました。

落ち着いてからお食事を提供しました。アフタヌーンティーでは、通常は最初に紅茶を楽しんでいただき、その後セイボリー、スコーン、スイーツと言った流れになります。でも、ご高齢ということもあり、様子をみながらサーブさせてもらいことにしました。

友人には事前に、お婆ちゃんにはウエルカムドリンクと紅茶のご提供が喜ばれるんじゃないかと打ち合わせをしていましたので、その通りドリンクからサーブしてアフタヌーンティーの時間が始まりました。

エレガンスアフタヌーンティー

お婆ちゃんの横に座られた娘さんには、通常のメニューをお出しし、紅茶から食事までアフタヌーンティーのコースをご提供しました。

すると、驚いたことにお婆ちゃんが娘さんのケーキやサンドイッチをパクパク食べだすんですね。「これ美味しいわ〜」と言って次から次へと口に運ばれます。

その姿に娘さんも驚きの様子。

気がつけば、ティースタンドのメニューは、ほとんどお婆ちゃんが食べてるという状態でした。笑

あとから、聞いて分かったことなんですが、そのお婆ちゃん甘いものは普段全く食べないということでした。おまけに好き嫌いが凄く激しいらしく、決まったものしか食べないということでした。

ソファーに座ってからは、お花を観賞しながら食事の時間を楽しんでおられました。その間も「いいね〜いいね〜」と何度も何度も繰り返し、おっしゃっていました。

わたしは、随分落ち着きのあるお婆ちゃんだなと思っていましたが、これもあとから聞いてビックリ。いつもは同じ場所にじっとしてることが出来ない人だったんです。

終始、いいね〜、美味しいね〜と、とても良い時間を過ごされたこと、それらをご提供できたことに、喜びを感じました。

きっと、お婆ちゃんは自分の今までの歩んでこられたご自身の思いを重ねながら、時を過ごされたんじゃないかと思っています。

カフェをやっていて、一生懸命つくった空間やメニュー、それによって一人のお客さまの人生を変えることだってある夢のある仕事です。

お婆ちゃん、今はどうされてるのかな〜と時々思い出したり。。。

「カフェは夢づくり」ですね!

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