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「いつかカフェをやりたいと思った瞬間に読むべき教科書」




〜 はじめに 〜

この本は、これからカフェをオープンしようとしている人が、自分のカフェを持ちたい!という夢を決して間違うことなく実現させるための本です。

カフェの経営とは、見た目の華やかさの裏側には、事業としてやらなければならない事が山のようにあります。そして日々たくさんの問題に直面します。ですが、それらは成功につながるチャンスでもあり、一つ一つ目の前の課題に取り組み、それらを乗り越えた先には、カフェを通してたくさんのお客さまの笑顔をつくる、というとても幸せな夢が手に入ります。

本書では、これからカフェを開業しようとしている方が、失敗を避けながら楽しくカフェ経営を行い、お客様との交流を楽しむための実践的なノウハウをお伝えします。私の経験を凝縮した内容です。

私自身、京都には数多くの観光地がありますが、その中でも「The 京都」と言える嵐山や東福寺で、長年にわたり飲食店の経営に携わってきました。ドリンクバー、パン屋、カフェ、アフタヌーンティー、バー、サンドイッチショップ、アイスクリームショップなど、さまざまな形態の店舗を手掛けてきましたが、その過程で成功と失敗の両方を経験してきました。

事業開始前に気をつけるべきポイントから、開業後にカフェを継続・発展させるための具体的な方法までを、わかりやすく丁寧にお伝えしていきます。この内容を理解し、実行すれば失敗のリスクは大幅に減らせるでしょう。何よりも大切なのは、大成功を目指すことよりも、失敗なく経営を続け、利益を出し続けることです。

残念ながら、カフェやってみたいな〜という安易な気持ちだけで始めると、必ずと言っていいほど継続は不可能です。(もちろん、最初の動機はやってみたい!で充分です)オープンまでこぎ着けたのにお客さんが来ない、利益が出ないとなると目も当てられません。頑張ってオープンさせたのに、数カ月後閉店することに。。。その時には借金が残っただけ、という悲惨な状況も充分にありえます。

現に統計上、1年後には50%のカフェが閉店し、3年後には70%が閉店するというデータもあります。

せっかくの夢あるカフェ事業。「夢を夢で終わらせる」そんな道を皆さんに歩んで欲しくないと思い、この本を執筆しました。

お客様からの信頼、利便性、サービスの質、そして安定感。これらを実現するための具体的な方法。また、多くの人が苦労する集客についても、SNSを活用した見込み客の増やし方や、来店後のリピーター獲得法、地元住民からの信頼を築く方法まで、本書で詳しく解説しています。

実体験に基づいたリアルな内容が詰まったこの本は、単なる理想論ではなく、現場で培った現実的な知識です。「いつかカフェをやりたい」と思っているあなたにとって、必ずお役に立つことでしょう。

ひょっとすると、本書を読んで「カフェって意外に面倒なことがたくさんあるし、ちょっと違うな〜」と感じる方もいるかも知れません。でも、それで良いと思います。現実を知ったことで別の選択ができるという新しい可能性を見つけたということです。夢を具現化せず、なんとなく叶うといいな〜と抽象的な叶わない夢として持ち続けるよりも、自分にあった新しい夢や目標を見つけ、そこに向かう方が、より良い人生になっていくと思うからです。

繰り返しになりますが、カフェの経営は楽しいものです。自分のつくった商品や空間をお客さんに気に入ってもらい、リピートしてもらえる。とても幸せな仕事で、やりがいもあります。

カフェの華々しい表側だけでなく裏側も知った上で「カフェをもつという夢」に向かう後押しをするための本として置き下ろしました。

このような理由から「いつかカフェをやりたいと思った瞬間に読むべき教科書」と名付けました。最後まで読んでいただけると幸いです。


カフェを始める前の心構え5つ


カフェ経営は、とても楽しくやりがいのあるものです。SNSや雑誌に登場するおしゃれなカフェや、賑わうお客様の姿を見て、「自分もこんなカフェをやってみたい!」と憧れる方も多いでしょう。素敵なカフェの写真を見たり、自分がどんなカフェを作るのか想像を膨らませると、ワクワクしてきますね。私も開業前には、どんなカフェにしようかと想像を巡らせ、そのワクワクがすべての原動力になっていました。

その「ワクワクする気持ち」はとても大切で、成功への重要なエネルギーとなります。しかし、夢を実現するためにはしっかりとした準備と心構えが必要です。特に、カフェを始めるにあたって最も重要なのは開業前の計画です。これが不十分だと、たとえ開業できたとしても、長く続けるのは難しいかもしれません。

カフェを開業すること自体はそれほど難しくありませんが、経営を長く続けていくことが本当の挑戦です。カフェ経営を安定させ、発展させるためには、開業前の心構えと準備が欠かせません。これから紹介する5つのポイントを理解し、準備を進めることで、成功への道がきっと開けるでしょう。

1. 見切り発車をしない

「なんとかなるだろう」「儲かるだろう」といった根拠のない希望だけで開業することは、絶対に避けるべきです。もちろん、運が味方することもありますが、それは例外です。成功しているカフェには成功の理由があり、失敗するカフェにも必ず理由があります。

流行の商品を取り扱えば売れる、良い立地だから成功する、オシャレな店内なら人気が出る、といった単純な考えだけでは不十分です。カフェの成功には、商品の見せ方、価格設定、店舗設計、集客方法など、全てがカフェのコンセプトと一致していることが必要です。こうしたポイントは、後の章で詳しく説明しますが、今は「見切り発車は危険」ということを理解しておいてください。

2. カフェをやる目的は何なのか?

カフェオーナーとしての夢を叶えたい、という思いは素晴らしいものです。しかし、開業の目的を明確にすることが非常に重要です。なぜなら、この目的が、店舗設計や商品ラインナップ、集客方法など、全ての決定において指針となるからです。

開業後、様々な問題や選択肢に直面することがあるでしょう。その時に、「なぜこのカフェを始めたのか?」という目的を思い返すことで、進むべき道が見えてきます。

目的は、単に「お客さんに喜んでもらいたい」というものだけではありません。年間の利益目標、地域貢献、SNSでの注目度など、あなたがカフェを通じて本当に叶えたいことは何でしょうか?この問いにしっかりと向き合い、言語化することが、成功への第一歩です。

3. 利益を継続的に生み出すこと

カフェ経営において最も重要なのは、「利益を継続的に生み出すこと」です。どんなに素晴らしいカフェでも、利益が出なければ続けることはできません。売上と経費のバランスを取り、長期的な視点で黒字を維持することが求められます。

収支管理については後ほど詳しく説明しますが、まずは「利益を出し続けることが最優先」という意識を持ってください。

4. 責任を持つ覚悟が必要

開業後、オーナーとしての責任は一気に増します。人を雇った場合、その従業員やお客様に対する責任も発生します。経営者は時に孤独であり、全ての決定を自分で下さなければなりません。そのため、強い覚悟が必要です。

どんなに困難な状況でも、オーナーとしての責任を全うし、問題解決に向けて行動できるかどうかがカフェ経営の鍵となります。

5. 計画を立てること

カフェを開業する目的が明確になったら、それを実現するための計画を立てましょう。立地、規模、商品ラインナップなど、具体的なイメージができたら、まずは開業予定日を設定します。大まかなスケジュールを決め、それに基づいて詳細を詰めていきましょう。

開業予定日は、繁忙期や閑散期を考慮し、忙しくなる時期の1ヶ月前に設定するのがオススメです。これにより、オペレーションが安定した状態で繁忙期を迎えることができ、売上を早期に確保することができます。

以上の5つのポイントを押さえた上で、準備を進めていくことで、成功に近づくことができます。次の章では、さらに具体的なステップについて詳しく説明していきますので、楽しみにしていてください。


〜 夢を具体的ビジョンへ 〜

1.  経営理念ってなんか難しい…


カフェを始める際に欠かせないのが「経営理念」です。少し難しく感じるかもしれませんが、とても大切なことなので、ぜひ一緒に考えてみましょう。

とはいえ、最初から完璧な経営理念を作るのは難しいかもしれませんね。まだカフェを運営した経験がない段階では、具体的なイメージがつかみにくいのも当然です。ですので、今は大まかな方向性やアウトラインを決める程度で十分です。開業準備を進めていくうちに、何度か立ち返りながら、少しずつ理念を深めていけば大丈夫です。

では、スターバックスを例に挙げながら、経営理念の重要性についてお話ししましょう。どうして理念を先に考える必要があるのかも併せて説明しますね。

カフェの経営において、経営理念は事業の土台となる非常に重要な要素です。成功するカフェは、単に飲食の提供にとどまらず、その背後にある理念がしっかり伝わり、顧客の共感を呼び起こします。スターバックスは、この経営理念の重要性を強く意識している企業の一つです。

スターバックスの経営理念は、「人々の心を豊かにし、活力を与える場所を提供する」というものです。彼らはコーヒーをただの飲み物として提供するのではなく、店舗を「サードプレイス」として位置づけています。家でも職場でもない、リラックスでき、交流し、心をリフレッシュできる空間を提供することが彼らの使命です。この理念が、店舗のデザイン、商品開発、スタッフ教育のすべてに反映されており、それが顧客の共感を得て、世界的に愛されるブランドへと成長しました。

例えば、店舗の内装デザインにもこの理念が反映されています。温かみのある照明、心地よい座席配置、リラックスできる空間作りが、「また来たい」と思わせる効果を生んでいます。また、コーヒー豆の産地や品質へのこだわり、環境保護への取り組みも、すべて経営理念に基づいて行われています。

このように、スターバックスは「おいしいコーヒーを提供する」以上に、「顧客に特別な体験を提供する」という理念を大切にし、事業を展開してきました。結果として、単なるコーヒーチェーンを超え、顧客にとってなくてはならない存在となっています。

これは、スターバックスのような大企業だけの話ではなく、個人経営の小さなカフェでも同じことが言えます。 規模の大小に関わらず、経営理念はカフェの方向性を決める重要な指針となり、顧客に対して一貫した価値を提供するための土台となります。しっかりとした理念があることで、ブランド力を高め、競争の激しい市場でも独自の魅力を発揮できるのです。

経営理念は、経営者の目標や方針にとどまらず、カフェ全体の方向性を決め、スタッフや顧客にとっての「指針」となります。これがしっかりしていれば、カフェが提供する価値に一貫性が生まれ、強力なブランド力を築くことができます。スターバックスの成功は、その良い例といえるでしょう。

このように、経営理念を基にカフェのコンセプトを作り、「どのようなお客さんにどんな空間と商品を提供するのか」を少しずつ具体化していくイメージです。

2. 理想とするカフェのモニタリング


カフェを開業する前に、自分が理想とするカフェを訪問し、その要素を分析することは非常に重要です。なぜなら、自分のカフェの方向性やコンセプトを明確にするためには、具体的なイメージや参考となる事例を持つことが必要だからです。

まず、理想とするカフェを訪れることで、空間デザイン、メニュー、接客スタイル、雰囲気など、実際に顧客として体験できる情報を得ることができます。この経験を通じて、自分が作りたいカフェの要素や「何を提供したいのか」がより具体的になります。

例えば、訪問したカフェで感じた「落ち着ける空間」や「心地よい音楽」、「スタッフの温かい接客」といった点を観察し、それがなぜ自分に好印象を与えたのかを分析することがポイントです。また、そのカフェがどのような顧客層をターゲットにしているのか、立地条件、店舗の広さ、メニューの価格帯など、細部まで目を向けることも大切です。

理想のカフェをモニタリングすることで、「どのような顧客体験を提供したいか」という視点が明確になります。そして、この経験や情報を基に、自分のカフェにどのような要素を取り入れ、どのような特徴を打ち出すのかを具体的に考えることができるのです。

このプロセスを通じて、自分のカフェが提供する価値を具体的に定義する手助けとなり、開業後の成功へとつながります。モニタリングを行うことで、理想を現実に近づけるためのインスピレーションを得ることができ、さらに開業準備が具体的かつ効果的になります。

カフェ好きのあなたのことですから、カフェ巡りは得意ですよね!
是非、たくさんのカフェに足を運び、いっぱいリサーチをして夢を膨らましてくださいね!

そう、具体的なイメージをつくることと夢を膨らますことがこの段階では重要ですから、ワクワク楽しみながらすすめてくださいね!

3. 自分のカフェに落とし込む


理想とするカフェのモニタリングを行った後は、その得たインスピレーションを基に、自分のカフェにどの要素を取り入れるかを検討していきます。ここで大切なのは、ただ理想を追いかけるのではなく、実現可能な範囲で現実的な計画を立てることです。

まず、モニタリングした内容から、自分が提供したいカフェの雰囲気やスタイルを明確にしましょう。例えば、落ち着いた空間を目指すのか、それとも活気あるカジュアルなカフェにするのか。また、メニュー構成や価格帯も、ターゲットとする顧客層に合わせて調整する必要があります。モニタリングしたカフェの良い点を、そのまま真似るのではなく、自分のカフェの強みや個性に合わせてアレンジすることが大事です。

次に、資金やスペースなどの制約も考慮しながら、どの要素を優先的に導入するかを決めていきます。例えば、店舗デザインにこだわりたいけれど、予算が限られている場合、内装に大きな費用をかけるのではなく、照明や家具の配置で工夫をすることも可能です。限られた条件の中で、どうやって自分のカフェらしさを表現できるかを検討しましょう。

また、モニタリングを通じて得た「顧客が何を求めているのか」という視点も重要です。自分のカフェで提供したい価値と、実際に顧客が求めるものが一致するかどうかを確認し、それに基づいて具体的なサービスやメニュー、空間作りのプランを立てます。

このプロセスを通じて、自分のカフェのコンセプトがより現実的かつ具体的になります。モニタリングした内容を無理なく取り入れることで、独自の魅力を持つカフェを作り上げることができ、開業後も顧客に愛される空間となるでしょう。

4. 店舗コンセプトを決める

コンセプトは店舗設計の要です。明確なコンセプトがあることで、顧客にあなたのカフェが提供する価値や雰囲気がより一層伝わりやすくなります。例えば、Instagramでバズっているカフェの多くは、視覚的に特徴的なテーマや統一感のあるデザインを持っています。特定の色やインテリア、提供するメニューの見せ方に一貫性があり、SNS映えする空間を作り上げています。

具体的には、「ピンク」をテーマにしたカフェが最近インスタで話題になっています。壁やインテリア、小物すべてにピンクを使い、メニューのデザートやドリンクも見た目が可愛らしく、写真映えするよう工夫されています。この一貫したコンセプトにより、訪れたお客さんが「ここで写真を撮りたい!」と思い、自然にSNSでシェアしてくれます。結果として、そのカフェは口コミで人気が広がり、集客力を高めています。

このように、コンセプトは、ターゲットとする顧客層が求めるものは何かをイメージし、その期待に応えられるコンセプトを設定します。例えば、静かな読書ができるカフェを目指すなら、シンプルで落ち着いた内装や、リラックスできる照明が必要になります。上記のように、若い世代をターゲットにするなら、インスタ映えするような個性的なデザインやメニューの開発も重要です。

また、「地域の人々が集い、ゆっくりとくつろげる空間を提供する」という目標があれば、それにふさわしいインテリアや座席配置を考える必要があります。メニューやサービスにもそのコンセプトが反映されるべきです。提供するドリンクやフードの種類、サーブする方法など、すべてがコンセプトに沿ったものでなければなりません。そのことにより、顧客はそのカフェが提供する独自の体験をより深く感じることができるのです。

明確なコンセプトは、カフェのブランディングにもつながります。顧客はそのカフェに訪れるたびに、同じコンセプトに基づいた一貫性のあるサービスや雰囲気を楽しむことができ、それが「また来たい」と思わせる理由の一つになります。カフェの成功において、コンセプトの明確さとそれに基づく一貫性は欠かせない要素と言えるでしょう。

とは言え、コンセプトを考えるのは大変な作業です。ここでは、コンセプトの重要性を理解して貰えれば大丈夫です。具体的なコンセプト設計のつくり方については、下記に「誰でもコンセプトをつくれるカフェコンセプト作成チャート」を載せていますので、コンセプト設計なんて無理!と諦めずに読み進めてくださいね!

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