自撮り
スマホを買って、自撮りした母の第一声は、
「なんだこの顔は!」だった。目が悪い母は
まともに自分の顔を見れていなかったのだ。
「みんな垂れ下がっとる。目尻も頬っぺたも垂れて。がっくりだ。こんなばばあになっていたなんて知らなかったわ。アハハ。」
「年寄りに成ったって思っているでしょう?」
「お婆さんに似てきた。」
もうすぐ80歳。何気ない日常で老いることを日々自覚するのだろう。
子どもの目からしても、仕方のないこととはいえ、老いることは寂しいものである。それを受け入れて笑っている母と娘であった。