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丑三つ刻の来訪者

ついさっき。
バイクを走らせて帰宅したばかりの息子としゃべっていたこの真夜中に、インターホンが鳴った。

こんな時間に!?

息子は鍵をかけないので、玄関見るとやはり鍵がかかってない。
瞬時に血の気が引き、心臓がバクバク音を立てた。
まずは鍵をかけなくちゃと思いつつ、インターホン越しの相手を刺激しないようにと応対することにした。

知らない人だが、ご近所で私の四歳年上だという婦人が、焦った感じでパニックになりながら

「命を狙われています…!刃物を持った人に追いかけられているのでかくまってください…」
などと、まくしたててくる。

今その人は近くに居ますか?と聞くと
居ないです、母に似た人が包丁を持っていたので逃げてきました

と答えた。

そしてしきりに

中に入れてください、トイレも貸していただけませんか

と言うので、すみません、むやみに中に入れるわけにはいかないんです、ごめんなさい、とやんわり?断ると

そうですよね、ごめんなさい、でも助けてください

と焦った様子に変わりなく話し続ける。

玄関扉を触られる気配はなかったので(我が家は扉のすぐ横にインターホンがある)、そっと鍵をかけ、
どちらからいらっしゃったんですか?お名前言えますか?警察を呼んで保護していただこうと思いますが…と話すと、住所、名前、年齢を述べ、警察に通報してください、と言ったため

110番通報した。

インターホン越しに助けを求める○○さんという方がいて、命を狙われているとのことなので通報した

と言うと、警察はすぐに私の名前、住所を聞き、すぐに向かわせますと言ってくれた。


パトカーが到着する7分ほどの間、彼女は

トイレに行きたい
と何度も発したがそれは無視し、

大丈夫ですよ、一緒に待ちましょうね
と何度か声をかけると

○○クリニックに通っています

と、聞き覚えのあるクリニックの名を口にした。


地元、もしかしたら全国的にも有名なクリニックで、私も紹介状をもらったことがあり(通院はしなかったが)、またこどもが家庭内暴力で収集つかなくなった時期に「病院へ行きたい」と懇願したため精神科、心療内科を転々としたのだが、最終的に行くことになったクリニックだ。

自費、予約なし、時間は無制限。

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