「完全版 科学小説 熱力学的エントロピーの正体」その4 ひーろまっつん 松尾浩一
しかしながら、ここで一つの疑問が出てくると思う。
それは、熱量Qの発生源であるが、物質の持つ内部エネルギーが発生源となって発生する熱量と、物質の持つ運動エネルギーや位置エネルギーによって発生する熱量の区別が必要であるかどうか?という疑問である。
その疑問を解消するには、物質の運動エネルギーや位置エネルギーによってもたらされる熱量は、どのように生まれる熱量であるのか?ということを、きちんと考える必要があるであろう。
例えば、物質の運動による摩擦という現象は、非常に大きな熱量をもたらすが、摩擦による熱量は、物質同士が擦れ合う時の運動エネルギーによって、発生する熱量であろうと推測できる。
この摩擦のエネルギーの基になる運動エネルギーは、一体どこから発生した運動エネルギーであるのかを考える必要がある。例えば、内燃機関のピストン運動による摩擦によって発生した熱量について考えてみよう。
この場合は、運動エネルギーの源となっているのは、ガス物質の燃焼爆発によって発生する動力や熱量が基となり、それを運動エネルギーに変換して得られる運動エネルギーである。
つまり、ガス物質の燃焼爆発によって発生した運動エネルギーによる摩擦により発生した、熱量であるということになると思う。
それはつまり、その運動エネルギーの基となっているエネルギーは、ガス物質の持つ内部エネルギーであることになる。
つまり、この場合の熱量Qの発生源は、基はと言えば、物質の内部エネルギーによるエネルギーであると判断できることになると思う。
つまり、どのような場合であっても、熱量の発生の源は、物質の持つ内部エネルギーに行き着くことになると考えた方がいいと考えられる。
もう一つ例を挙げてみよう。
人間が、人力によって、水槽内でスクリューを回転させて、熱量をもたらす場合である。
この場合については、人力の源は何か?ということを考える必要があると思うが、この場合にも、人間が運動をするためには食物による糖分や油分や、水分、ミネラル、ビタミン等の摂取が欠かせない。
つまり、人力による場合についても、その基を辿れば、物質に行き着くことになる。つまり、物質の持つ内部エネルギーに、すべてのエネルギーは行き着くと考えられることになる。
つまり、熱量Qの源となるエネルギーは多々あるが、全てのエネルギーの源となっているのは、物質の持つ内部エネルギーに行き着くことになるのであるから、私のこれまで説明して来た、内容については、全て、正しいことが理解できると思う。