「経済力学」新しい学問構築に自ら挑む その11
§8. 経済は、可逆的な変化になるため、エントロピーは増大しないと考えられると思います。しかし、経済の中に矛盾を持ち込んだ場合、エントロピーは果たして増大するのでしょうか?それとも一定のままなのでしょうか?
私は、この様に思います。例えば、物理変化や物理的な反応というのは可逆性が確認されています。それに反して、化学変化や化学反応においては可逆性が確認できない場合が多々あります。つまり、熱力学エントロピーという概念において、必ず、エントロピーが増大するのは、化学的な反応や化学的な変化に限られると考えられます。
そして、経済において、この化学反応や化学変化に該当するのは、物やサービスの生産にあたると考えられます。それを販売という取引を通して、経済においては、流通させているのです。つまり、経済においては、お金の流れと、物やサービスの販売という流れは、相反する流れを作り出しています。それが、経済における可逆性であると考えられます。つまり、交換という取引が、経済における可逆性だと言えると思うのです。
また、人々の労働も、お金に変えることができます。この場合も、人々の労働とお金を交換する事で、取引が成立する場合です。しかし、この交換の場合は、可逆性があるとは決して言えません。
つまり、経済の中にも、実際には、可逆性がある場合と可逆性がない場合の2種類の取引形態があると考えられます。
つまり、人々の労働という行為には、可逆性が認められないのですから、その場合のエントロピーは常に増大していると言えると思います。また、物やサービスの生産という行為にも、可逆性は認められないため、エントロピーは常に増大すると言えると思います。
そして、経済において、可逆性が認められるのは、一次産業(製造業)ではなく、二次産業(販売業)に限られていることになります。
つまり、これらの事実から、ミクロ経済においては、必ずしも可逆性があるとは言えないことが理解できると思います。
しかし、マクロ経済においては、経済には、景気という波が存在し、また、経済はマイナス成長することも、現実として、わかっているために、可逆性があると考えられるため、経済というお金の流れには、ミクロとマクロという2つの観点から経済を見ることが特に重要になってくるのだと思います。
そして、マクロ経済においては、可逆性があると考えられるために、エントロピーは増大しないと考えられますが、そこに矛盾を持ち込んだ場合、エントロピーは、果たして増大するのか?という答えは、私が、考案した、経済学エントロピーの定義式
ΔecoS = Δ2s /G[s:秒、G:お金の絶対的価値]
に、実際に、マイナスの値のエントロピーを代入することにより、理解できるものと思います。つまり、
−ΔecoS = Δ2s /G
として計算を試みます。
例えば、0から1時間あたりのエントロピーを計算してみると、
−ΔecoS = 7200 − 0 [s] /G
∴−ΔecoS = 7200 /G
となります。
この式の結果から、経済学エントロピーは定数で表されるため、一定であることが理解できると思います。しかし、この結果は、矛盾していることが理解できると思います。なぜならば、この計算結果は、時間自体も、マイナスになることは考えられない概念であり、Gがマイナスでなければ成り立たないためです。しかし、Gはお金の絶対的価値ゴールドなので、マイナスにも、ゼロにも、絶対になり得ません。
つまり、マクロ経済に矛盾を持ち込んだ場合には、お金の絶対的価値がマイナスにならなければ、成立しないことになるため、経済に矛盾を持ち込んだ場合には、経済システム自体の故障状態を表すことになるのです。そして、経済に矛盾を持ち込み、そのままの状態を維持している場合には、経済が全く成長ぜず、そして、経済が衰退していく結果を招く可能性があることも理解できることになるのです。しかし、エントロピー自体の大きさがマイナスである場合には、この計算結果は、成立することになります。しかし、エネルギーというものは、すべて、物質の持つ内部エネルギーに起因していると考えられるため、全て、プラスの値でしかないと考えられます。しかしながら、マイナスのエネルギーというものが、経済には、存在する可能性もあり、その場合には、マイナス同士の掛け算が可能になるため、経済にプラスの効果をもたらすことも考えられます。つまり、経済にはリスクというマイナス要因が常に存在するため、マイナス同士の掛け算により、経済が、逆にプラス転換して活性化することも、考えられることになるのです。
ここで、私が定義した経済学エントロピーの定義式において、右辺を考えてみたい。私が定義した経済学エントロピーの定義式では、お金自体がする仕事は2倍の単位時間[s]の変化量で表され、それを、絶対的金銭価値ゴールドGで割った値であることが理解できる。つまり、お金のする仕事を絶対的金銭価値ゴールドGで割った値は、お金自体の価値を表すことになる。そして、絶対的金銭価値ゴールドGは、経済における矛盾を実行した場合上昇することがこれまでの経済的観測から理解できていると思う。つまり、絶対的金銭価値ゴールドGの値が、経済的に矛盾した状態をずっと継続していると、どんどん上昇する結果を招くことが理解できる。つまり、経済におけるマイナスのエントロピーというエネルギーは、どんどん、絶対的金銭価値ゴールドGの値を上昇させるエネルギーとなることがわかると思う。つまり、その場合、お金自体の価値をどんどん目減りさせることになりうる。
つまり、経済的に矛盾した状態からは、絶対的金銭価値ゴールドGの値の上昇を招き、お金自体の価値をどんどん低下させるのである。
現在、アメリカは、この経済の矛盾状態から、ようやく脱し、通常の状態に戻す作業の真っ最中であるが、他の国々がこれに追従できていない現状がある。そしてイギリスは、現在、国内のインフレに対して国家の財政的インフレをぶつける経済政策に打って出ていると思う。そして、どちらの方が有効な政策になるのか、その答えは、絶対的金銭価値ゴールドG、つまり、金の価格だけが差し示していると私は考えている。
しかし、ここで考えてみてほしい。この日本においては、現在、日銀への預け入れ金利において、マイナス金利の導入がなされている。また、異次元緩和もお金の価値を下げる行為である。つまり、私の定義した、経済学エントロピーの定義式の右辺の分数の分子が、お金のする仕事、つまり、金利に該当し、Δ2s/Gは、お金自体の価値に該当する。そして、それがマイナスの場合を式で表すと、
−ΔecoS = −Δ2s / G
と表すことができる。つまり、矛盾した状態が成立していることになる。しかし、その日本経済への効果を見た場合、マイナスのエントロピーの効果となり、エントロピーがマイナスで表される場合は、系の外部へのエネルギー放出と系の外部から内部に対する仕事をもたらす場合をマイナスで表すと、熱力学の約束事で定められているのであるから、お金の持つエネルギー自体が日本から海外に放出され、そして、系の外部から系の内部への仕事という結果をもたらすのであるから、日本への仕事の結果をもたらすと考えられる。これは、現在の、日本における、海外(米ドル等)へのお金の流れを表しており、また同時に、日本企業への大きな利益という結果を招いていることも表していると考えられる。
そして、経済におけるマイナスの大きさのエネルギーというのは、投資リスクであるという見方をすれば、今現在の日本の状態で、国や日銀が投資というリスク行為を行った場合、プラスのリターンが得られる可能性は非常に大きいと言えるだろう。
しかし、現行の日本の法制度上においては、日本の国が、現在の国民生活に対する投資を怠れば、その結果、日本国民の更なる貧困化が進み国民生活の破綻を招くだけであることは容易に推測できる。そして国による国債の発行という行為は、日銀による債券投資となりうる行為である。つまり、国債の発行という行為は、国の借金では決してないのである。それは、国による投資という行為なのだ。
つまり、日本の国と日銀とが、それぞれタッグをきちんと組み、国は、国債の発行によってベーシックインカム制度導入による国民生活への投資と、日銀による上場企業へのETF投資を、並行継続的に行うならば、それぞれの投資リスク同士の掛け算となり、その結果として、日本国家の経済成長が、プラス転換するための大きな可能性になると、私は考えているのです。
現在の日本政府が国民への投資を全く行わないために、今現在の日本経済の衰退を招いているのです。プライマリーバランスの維持よりも、国民生活を守るための国による投資が、何としても必要なのです!
そして、最初の問に戻りますが、経済に矛盾を持ち込んだ場合に、エントロピーは増大するのか?ということについて言及するならば、エントロピーが増大するのは不可逆変化の場合になります。しかし、経済に矛盾を持ち込んだ場合には、経済にマイナスの効果をもたらすことは、わかると思います。それがリスクというものなのです。
しかしながら、リスクは、経済に、マイナスの効果をもたらしますが、リスク同士の掛け算にできれば、それは、可能性に変えることができ、プラスの効果をもたらすのです。
現在の日本経済において、経済におけるリスク同士の掛け算にするためには、これまで、日本経済において、日本の国は、上場企業への一方向の投資を行ってきましたが、その結果、日本経済は、大打撃を受け、マイナス成長にまで、陥るようになっています。日本経済は、上場企業だけで成り立っているのではなく、国民の消費活動がなければ、経済は立ち行かなくなるのは当然のことでしょう。そのため、国からの国民への直接的な投資が必要不可欠なのです。お金の流れで見る経済のトライアングルで私が示したように、国から見た、日本経済の方向は上場企業だけではなく、国民の側にもあるのです。つまり、企業側への投資だけでは、決して、うまく行かないのですから、国民の側への投資が必要不可欠であることが、十分理解できるのです。
そして、国からの投資が、上場企業と国民の双方に実行されるならば、投資リスク同士の掛け算となり、日本経済への現在のマイナスの効果をプラスの効果に変換できる方法は、それしか方法はないと言えると私は思うのです。
そして、そのようにして、日本の国の責任において、国民の消費活動の足かせとなている消費税をまずは廃止して、その上で、富の再分配を行わなければ、日本経済は、日本の国が、経済に矛盾を持ち込んだことで、不可逆変化に陥ることになり、このまま、日本経済は、衰退の一途をたどることにもなりかねないと言えるのです。