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甲板の先に座ってひざ抱えバルパライソの地図を眺めた サルスベリ散り敷く雨はしとやかに昨夜の映画の女優の怒り
今すぐに死んだとしてもイエティの足跡ほども凹ませられない しずしずとハイブリッド車あらわれる平安京の牛車のごとく
赤と青ふたりの背中がきっとある信号機の裏蓋を見る 一年後ポプラは無言で立っていたオレンジ色の街灯の下 眼の底に滲む光は仄青く眠れぬ夜は常夜灯消す