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詩とおもう(スケッチ)

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情景やら心象やらを集めました。
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2019年11月の記事一覧

コーリング(2019.11.12)

ひろげた羽根から降りそそぐ光 名を呼ぼうとする背中 ひかり 光 ひかり 誰かに招かれたのだと 信じさせる 信じるに足る 光あれと ひろげた羽根から吹きわたる風 呼ばれた名を聞いた耳 ひかり 光 ひかり 経巡る粒子であると 立ちのぼる 水蒸気とともに 光あれと ただ一羽の 鳥と ただひとつの 空と ただ満ちる 光と 降りそそぐ 吹きわたる その名を呼ぶ 光あれと

なぐさめ(2019.11.9)

細くたなびく 薄青い空 詩人が 波を聞いたあたり いつもみる じっとりと息苦しい夢を そこへ送ってみる 汗は乾いているし 靴だって履いているけど わたしの耳にも 打ち寄せる波が 塩辛くない波が 汗を洗い 靴を濡らし 砂浜に投げ出した あの夢が 波に巻かれて 睫毛が乾いたころ もう一度靴を履いた 細くたなびく 薄青い空 詩人が 波を聞いたあたり

『アテネのタイモン』感想にかえて

10/31のマチネを観てきました。世田谷シアタートラムにて。 普通に感想を書こうかと思っていたのですが、どういうわけか詩がひとつ出来たので、そっちにします。たくさんの見巧者が優れた感想を書いていることでしょうし、今の世の中ちょっとググれば大抵のことはわかった気になれるので、詳細はそちらへ譲ります。 痕跡(2019.11.1) あなたが抉った穴は あなたしか埋められないのだから 鳴りやまぬ風の音を 聞き続ける耳を 底知れぬ穴の奥を 見つめ続ける目を 塞ぐこともできないのだ