【相続】不要な不動産の寄付を自治体は受けてくれない?!
相続って財産を承継することになることですが、中には承継したくない土地や建物もあります。
自分でも他の相続人でも使用することがないような土地、建物です。
山林とかがある場合、相続人もどこの土地なんだか分かりませんという人も結構います。
不動産に対しては、毎年固定資産税の負担が発生します。
中には先祖から代々受け継いできた土地だから自分が手放すわけにはいかないという意識の人もいて、そういう人の場合はそのまま自分の次の代まで税金を負担し続けることは承知済みです。
しかし、そういった人ばかりではありません。
もういらないからその土地や建物のある自治体に寄付することを考える人もいます。
その自治体にある土地をその自治体に返すというイメージだからその自治体も受け取ってくれるだろうと期待するのです。
何人もいる相続人がみな寄付に了解してくれるだろうかと、こちらのことばかりが気になります。
相続人全員が了解してくれたとして、さあ、自治体に寄付しますとやっと伝えたとします。
自治体は喜んで受け取ってくれるのでしょうか。。。
おそらく、喜んでもくれないし、受け取ってもくれないでしょう。
以前に相談を受けたことがあるのですがその自治体は受け取らないという態度でした。
考えられることとしては、不動産を管理するコストがかかります。
別にそのままおいておけばいいじゃないかと思うかもしれません。
ただ、放っておいても雑草が生い茂って近隣から苦情が出ることもあります。この除草の労力、費用もバカになりません。
廃棄物を投棄されることだってあるかも知れません。
何らかの一定の管理のコストはやはりあります。
その上、自治体としても寄付を受けなければその住民から固定資産税を取れるわけです。
自治体としては税収を確保したいと考えるのだと思われます。
それでは国は?国なら受け取ってくれるのでは?と思う人もいます。
国も同じでしょう。
理由は自治体と同じです。
例えば相続財産管理人という業務があるのですが、ある人が亡くなって相続が開始された場合で、その相続人が全員相続放棄することがあります。
その場合には誰も管理する権限のある人がいないので、弁護士が裁判所から選任されたりします。その申し立てはたいていが不動産に抵当権を設定している金融機関です。競売の申し立てに当たって裁判所の書面を受け取る権限のある名宛人となるべき人が必要なので選任費用を負担してまで申立てをします。
この相続財産管理人の業務で、最終的に財産が残ってしまう場合は、国庫に帰属すると規定されています。
要するに国が受け取るというものです。
しかし、国は不動産のままでは受け取らないのです。
売却してお金に変えてそのお金を受け取るというのです。
こちらは売れないから国に帰属させたいわけですが、国は帰属させるから売ってくれというのです。
一休さんが殿様に対して屏風に描いた虎を捕まえるから屏風から虎を出してくれと求めるようなものです。
それはできないんです。
このことからして、国が相続人の不要となった不動産の寄付を受けてくれるとは到底思えません。
寄付する側は代金を支払ってもらうわけではなく寄付だから大丈夫だと考えたとしても、寄付される側は迷惑だということです。
実務上どうにもならなくて困ったことになる問題を前回に続けて取り上げました。読んでいただきありがとうございました。