【人生】出生届違反とコロナ入院等違反
別の投稿で出生届について述べましたが、今回はさらに深堀してみたいと思います。
まず、出生届の根拠規定は何でしょうか。
戸籍法という法律が根拠になっております。
出生の届出は14日以内にしなければならないと定められております(49条1項)。
これ、違反すると刑罰ではないのですが、5万円以下の過料に処せられる可能性があります(137条)。
過料というのは、所定の手続の実効性を高めるために刑罰を科すほどまではしないけれど一定の制裁を与えようとする場合に定められるものです。
逆に届出しようとしたのに受理しないとか記録しない時は市町村長に10万円以下の過料が科せられることになっています(139条)。
一般の市民の2倍までを想定して、市長としての責務を重要視していますね。
この過料についての裁判は簡易裁判所がすることになっています(140条)。
どこまで厳密にやっているんでしょうか。少なくても犯罪であってもそうであるように犯罪以上に全てが科せられているものではないでしょう。
弁護士になる前の司法修習生のときに過料の裁判をみたことがありません。
ほとんどの事例で何もなされていないのではないかと想像いたします。
最近ではコロナ関連のニュースにおいてもありましたね。刑罰にはしないけれど過料を科すことにしたものが。
コロナの患者が入院拒否した場合に50万円、保健所の調査を拒否した場合に30万円以下の過料を科すことができることとされました(いわゆる感染症法)。飲食店などの事業者に対しては、緊急事態宣言時の時短、休業命令違反に30万円、蔓延防止措置等重点措置時の時短命令違反に20万円以下の過料を科すことができることとされました(いわゆるコロナ特措法)。
もともと刑罰を予定していたところ、それをやめて行政罰にしたものです。行政における実効性確保のための制裁という位置付けにしたものです。
前述した出生届違反の場合の金額と比べるとはるかに高額に定められていることがわかると思います。
歴史的に感染症の患者に対する人権侵害がなされてきたことから、刑罰を科すことだけでなく行政罰を科すことも批判がされているところです。
あと少しだけ出生届に戻ります。
医師、助産師が出産に立ち会った場合、出生証明書を作成して添付しなければならないものとされております(49条3項)。これがあるから、産婦人科で出産したときは出生証明書を出してくれるんですね。
この出生証明書は出生届の用紙の一部分となっていて、産婦人科で出してもらって残りの欄を記入すればそれが出生届になるのでそれを出せば足りることになります。これとは別に出生届の用紙を市役所に取りに行く必要はありません。
他にもこういう条文があります。病院、刑事施設その他の公設所で出生があつた場合に、父母が共に届出をすることができないときは、公設所の長又は管理人が、届出をしなければならない(56条)。
これ、結局産んだ人やその配偶者が届け出することができない時は、これらの長か管理人が届出をしなければならないんですね。
また、出生の届出は、出生地でこれをすることができます(51条)。
戸籍をおいている本籍地ではなくても、生まれた自治体で届出できるんですね。近いところの方がしやすいですからね。
出生届一つを取り上げても色々ありますね。今回も読んでいただきありがとうございました。