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【税務】法人の贈与は何ももらわないのに収益となる?!
個人が骨董品を贈与する場合、贈与を受ける側の贈与税が問題になることはあっても、贈与する側は何ももらわないので、何らかの所得があったとして所得税が課税されるということはありません。
では、法人の場合も同じでしょうか。
何ももらわないのだから所得にならないということで良いでしょうか。
何も租税法のことがわからなければそうなるでしょう。
法人税法では、個人が贈与する場合と同じようにしてくれません。
贈与の場合であっても収益となり、所得になって課税されます。
根拠規定は次のとおりです。
所得を構成することになる益金の額に算入すべき金額は、無償による資産の譲渡に係る収益の額とすると定められています。
そしてこれは、譲渡をした資産の引渡しの時における価額に相当する金額とすると定められています。
譲渡の対象物の時価ということです。
時価というのは公正な評価額です。
合理的な妥当な相応の金額ということです。高すぎず安すぎずという金額です。
多少の幅があるのではないかと思っています。
その幅の範囲内であれば税務署も課税してこないでしょうし、範囲外であれば課税するということですね。
冒頭の事例の骨董品の場合は骨董品の時価に相当する金額について、贈与だから相手方から対価は何ももらっていないにも関わらず、もらったものとして、収益になるということです。
ここ、租税法のうちとりわけ法人税法の理解に苦しむことの1つです。
文献で趣旨を確認したわけではありませんが、法人税法では株式会社が法人の典型ではありますが、株式会社のような営利を目的とする法人ではない法人であっても収益の事業には課税するという姿勢であることからして、法人というその存在そのものが営利を目的としているのであるから、たとえ贈与という無償の譲渡であっても、営利を目的としたことに最終的究極的にはつながるという意図でやっていることでしょうとして、課税の対象とする、としたのではないかと理解しています。
なので、無償で何かあげても対価があったものとして課税されてしまいます。
理解に苦しむところであるからこそ、知っておいた方が良いと思い、取り上げました。今回はここまでとします。読んで頂きありがとうございました。
第二款 各事業年度の所得の金額の計算の通則
第二十二条 内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。
2 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。
第三款 益金の額の計算
第一目 収益の額
第二十二条の二 内国法人の資産の販売若しくは譲渡又は役務の提供(以下この条において「資産の販売等」という。)に係る収益の額は、別段の定め(前条第四項を除く。)があるものを除き、その資産の販売等に係る目的物の引渡し又は役務の提供の日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入する。
2 内国法人が、資産の販売等に係る収益の額につき一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて当該資産の販売等に係る契約の効力が生ずる日その他の前項に規定する日に近接する日の属する事業年度の確定した決算において収益として経理した場合には、同項の規定にかかわらず、当該資産の販売等に係る収益の額は、別段の定め(前条第四項を除く。)があるものを除き、当該事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入する。
3 内国法人が資産の販売等を行つた場合(当該資産の販売等に係る収益の額につき一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて第一項に規定する日又は前項に規定する近接する日の属する事業年度の確定した決算において収益として経理した場合を除く。)において、当該資産の販売等に係る同項に規定する近接する日の属する事業年度の確定申告書に当該資産の販売等に係る収益の額の益金算入に関する申告の記載があるときは、その額につき当該事業年度の確定した決算において収益として経理したものとみなして、同項の規定を適用する。
4 内国法人の各事業年度の資産の販売等に係る収益の額として第一項又は第二項の規定により当該事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入する金額は、別段の定め(前条第四項を除く。)があるものを除き、その販売若しくは譲渡をした資産の引渡しの時における価額又はその提供をした役務につき通常得べき対価の額に相当する金額とする。