【仕事】税理士試験って何?
今回は税理士試験について取り上げたいと思います。
自分が弁護士の資格に基づいて税理士登録をしたことから,本来の試験では何があるのかについて興味があるのと,また,税理士登録をしたと誰かに伝えると試験に合格したのかというような反応があるのでやはりどんな試験なのか知っておきたいと思ったからです。
国税庁のホームページでは次のとおり記載されています。
会計学の科目2つと税法の科目3つの合計5つです。
会計学のうち簿記論と財務諸表論は,簿記の基本書や財務会計の基本書を読んでみると,簿記は技術,会計(財務諸表論のことと理解しています)は理論と説明されています。
簿記は技術というのは,簿記上記録が必要な取引についてこれを認識し,そして金銭に置き換えて測定するという過程を記録する方法だということです。
要するに取引を仕分けするなどすることです。
それはすなわち複式簿記のルールを身につけることです。
財務諸表論はこうした簿記のルールを理論的に説明する学問です。
簿記論は計算すること,財務諸表論は計算の前提となる理論を説明することです。
弁護士は通常,電卓で計算するとかについて苦手意識がある人がほとんどだと思います。
これに対して会計資格を有している人は通常,電卓で計算することの方が好きで得意で苦にならない人がほとんどだと思います。
逆に理論的なところに取り組むのは弁護士は好きで得意で,会計資格を有している人はあまり好きでも得意でもない人がほとんどだと思います。
税法の科目については,全部受験する必要はなく,前記の中から3つで良いのです。
3つで良いということは,自分が選択した3つ以外の科目は手薄になりがちだということだと思われます。
もちろん税理士になってからいくらでも自分が選択した科目以外の科目の勉強はできるでしょう。なので決してできないわけではないと思います。ただ,そういった勉強をしていない場合はできない科目もあるということです。
弁護士もそうですが,登録後に勉強する人としない人とでは違いが自ずと出てきます。
勉強しない人というのは怠けている人と思われがちですが,仕事が忙しい場合には勉強が疎かになってしまいます。仕事は怠けていませんが勉強を怠けている状態です。こういう状態の士業は非常に多いものと思います。
さて,例えば税理士試験科目の一つである相続税法ですが,これは選択しなければ勉強しないので,相続税の申告ができない税理士もいるようです。
一般的に弁護士と関係が近そうな科目は,相続税法と国税徴収法でしょう。
相続税法を理解する前提には民法の相続法の規定の理解が必要不可欠です。
相続税の申告書が何らかの事件の証拠として用いられることは珍しいことではありません。
ただ相続税の申告書を弁護士がきちんと理解しているかといえば決してそうではないでしょう。それくらい弁護士は税務に疎いのが通常です。
次に,国税徴収法がなぜ弁護士と関係が近いのでしょうか。
弁護士の業務の一つに破産管財人というものがあります。弁護士がみなやっているわけではなく,やっている弁護士はやっているという業務ですが。
これは破産法に定められた役割で,破産した故人または法人の財産を管理し,それを売却して債権者に弁済するという業務です。
この業務に従事する上で国税・地方税も関わるわけです。
国税・地方税も破産者から税金を回収しようとします。
時には破産者の債権回収の際に破産の申立人又は破産管財人と敵対することもあります。
こうした場合の規律(ルールのこと)を定めているのが破産法で,国税徴収法は典型的には破産に至る前段階での規律を定めています。
この国税徴収法ですが,税理士の試験科目になっているということを知っている人はどこまでいるでしょうか。
また,税理士で国税徴収法が得意だという人がいるのでしょうか。
あまりというか全然聞いたことがありません。
ちなみに私は税理士試験ではなく司法試験の選択科目というものを破産法を選択しましたので,破産法は好きで得意な分野になります。
国税徴収法も破産法の前段階を典型的な場面とした法律なので,税理士試験の科目として選択したわけではありませんが,通常の税理士よりは好きで得意な範囲には入るのではないかと思います。
そうすると,税法科目の中で残る2つが一定程度のレベルにあれば税理士資格に相当するものと言えるのかもしれません。
例えば所得税法ですが,これは私は弁護士として独立後は自分で調べたりするなどして申告してきましたし,今回税理士登録するに当たっても理論,計算の両面で勉強してきましたので,一定のレベルにはあるように思っています。
そうすると残る1つを何に照準を当てるかという感じでおります。
税法科目の中では所得税のように所得を捉えた課税を定めた税法が好きなのでこの性質を有する法人税法に照準を当てて勉強,実践を深めていきたいと思います。
また,弁護士業務にも関係する相続税法も力を入れていきたいところです。
本日はここまでとします。読んでいただきありがとうございました。
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