書店の陽菜ちゃん

秋。

M書店。
朝。

電話が鳴る。
陽菜が出る。

保「日経トレンディの11月号、置いてますか？」

陽菜「あります」

保「いくらですか？」

陽菜「550円です」

保「取り置きお願いします」

陽菜「いつ頃おいでになりますか？」

保「今日中に取りに行きます。
　　失礼ですけど、お名前、何とおっしゃいます？」

陽菜「“ヒナ”といいます」

保「Sといいます。よろしくお願いします」

電話を切る陽菜――。

午後。

M書店。
店内。

保「日経トレンディ、取り置きお願いしたものですが――」

陽菜「こちらになります」

陽菜、胸に「鈴木」の名札を付けている――。

保「ひょっとして電話に出た“ヒナ”さん？」

陽菜「そうですが……」

保「珍しい苗字だなーと思って」

陽菜「“鈴木”が二人いるので、
　　　“ヒナ”って言うことになってるんです！」