利上げについて

昨今の株価暴落を受け、利上げがやり玉に挙げられている。僕も株価の下落で一定の損失を被った人間だが、安易に利上げを批判はしない。

今回の10bpsから25bpsへの利上げは15bpsだけの利上げであり、大騒ぎするようなものではない。しかし、これだけ為替や株が反応しているのは、将来のさらなる利上げの可能性を織り込みにいっているとしか考えられない。

日銀が利上げをしたのなぜか。関連する植田総裁の発言を引用する。
「消費者物価の基調的な上昇率は・・・徐々に高まっていくと予想」
「2%の物価目標の持続的・安定的な実現という観点から金融緩和の度合いを調整することが適切であると判断」
「政策金利の変更後も実質金利は大幅なマイナスが続き緩和的な金融環境は維持される・・・」

そして今後の金融政策については
「今回の展望レポートで示した経済・物価の見通しが実現していくとすればそれに応じて引き続き政策金利を引き上げ・・・」

ではその「経験・物価の見通し」とは簡単に言えば経済も物価も上昇していくという見通しになっている。

つまり植田総裁が言っていることはこうだ
・今後も経済と物価が上昇していく場合→利上げする
・経済と物価が上昇していかない場合→利上げしない

したがって経済が好転していかない場合には利上げされないし、利上げする場合には経済が好転しているのだから大騒ぎする必要がない。

利上げは金融市場には大きな影響を及ぼすがそもそも経済にとっては重要だろうか?

世界の常識と言われる「マンデル=フレミング効果」では、資本移動も為替も自由な場合、財政政策は役に立たないが金融政策は役に立つ。

しかし金融政策に過度に期待しすぎている人が多いという印象を受ける。

経済成長の本質とは何か。それは社会を構成する人が昨日より今日のほうが大きな付加価値を生み出すことだ。その付加価値は物価が上がれば名目としては上がるが物価以上に上昇しなければ意味がない。そして物価以上に付加価値を上昇させるため必要なのは生産性を上げることだ。したがって、意味のない仕事をやめ、顧客に提供する価値を高めていくしかない。

金融政策は経済と社会を好転させるうえで主要な政策とみなすべきではない。重要な政策ではあるが、金融政策ですべてが決まると考えるのは明らかに間違っている。そして財政政策にはあまり意味がない。

結局のところ、人々や組織の生産性を上げ、また、経済社会活動のボトルネックになっている規制を撤廃し、政府や官僚が国民目線の判断をしていくこと。それが日本再生のカギになる。そのためには、国を作っていく人が大切であり、教育の質が国の盛衰を決める。


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