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球面レンズと非球面レンズ in 光のふるまい3

1.面屈折力と曲率半径

基本的な球面レンズの話として、面屈折力と曲率半径の話をします。

レンズのカーブはXカーブとかよく使われますが、
レンズカーブとは面屈折力の事です。

レンズの屈折力をn、曲率半径をr(単位はメートル)にした時、
面屈折力は以下の式で表せます。

面屈折力の計算式

rは移項して以下の式で表せます。

曲率半径の計算式

透明な球面には光を曲げる屈折力があります。
(正確には光速を遅くする力)

この式の成り立ちを書いているとキリがないので、
まあ、そんなものと思って下さい(;´∀`)。

屈折率1.523のレンズで4カーブの場合を計算してみます。

屈折率1.523の4カーブは半径13.08cmの球面から出来ているのが
分かります。これで裏面が6カーブなら-2.00Dのレンズになります。

計算して1カーブから8カーブまでを作図してみました。

1カーブ~8カーブ模式図

眼の回旋にとって楽なのは4カーブから5カーブとされています。
表面カーブを4カーブのままで強い度数にするには、
裏面カーブを深くしていけば良いことになります。

しかしそうすると、レンズが厚くなるのを避ける事ができません。
表面のカーブを浅くすればレンズを薄くすることができます。
しかし、カーブがフラットに近づくほど非点収差や歪曲収差が出てきます。

屈折率の強い素材を開発して使えば薄くすることができます。
しかし、冒頭の計算式を見れば分かりますが、
屈折率を上げると曲率半径は変化します。

簡単に言ってしまえば、同じ4カーブでも屈折率の強いほうが
曲率半径が大きくなるのです。同じ4カーブでも1.80素材の
曲率半径は20.00cmです。
これは1.523素材の2カーブと3カーブの間くらいです。

結局、単に高屈折率素材を使っただけでは
カーブのフラット化は避けられず、非点収差や
歪曲収差の発生を避ける事ができないのです。

そこで出てきたのが非球面レンズの発想です。


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