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『五龍世界WOOLONG WORLD Ⅱ 雲谷を駈ける龍』

壁井ユカコ/ポプラ社(小説)

装画 羽住都  


『五龍世界WOOLONG WORLD Ⅰ 霧廟に臥す龍』の続編。
主人公が一巻のユギから碧耀ヘキヨウに交代。活発で熱血なユギが気に入っていたので、碧耀が主人公では話が重くなるのではないかと危惧。しかし変わらずひょうきんな話で面白かった。

碧耀は歳若い祇女。ゆえに世を儚んでいたり自分の意志というものに乏しかったりする。
それを人に責められ、自分でも悩んだりして、そんな部分が成長するのも物語のテーマかもしれない。
でも最後のほうに出てきた「最初っから芯は強い娘だった」というセリフにこそ共感するので、碧耀の成長話だったとは書かなくていいかなと思う(書いたけど)。
そんなことを踏まえて感想をどんぞ。


碧耀は身請け先に向かう途中山賊に襲われ、新しい迎えが来るまで山間の村に身を寄せる。
村は天子様の勅許を得た異国人が、鉱山を開いたことによって龍脈が乱れ、危機に瀕していた。
龍脈とは物語の舞台、五龍大陸の礎となっている龍の屍の血管のこと。
中域の人々はこの流れを大切にすると健康長寿になり、財を得て繁栄、無視すれば災いを招くと信じている。過去には龍脈が堰き止められたことで滅んだ都もあったという。
鉱山を開いた極東の国の人間や西域ペルシャ人はこれを信じていない。
どちらが本当なのか分からない、そう信じているからそう見えてしまうだけかもと思っていると、ギリギリのところで本当に龍の力は存在するみたいなファンタジー度がちょうど良かった。

あとアクション(戦い)の場面がかっこいい。棒術、柔術、イー(狗の妖怪みたいなもの)を使った戦い方。
長ったらしくなくてキレがある。
そして今回も自転車の存在が光ってた。

heki-YO!

左慈

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