『宇宙戦争』(読書感想)
H・G・ウェルズ 著 中村融 訳/創元SF文庫(小説)
2023年11月29日読了。
言わずと知れたH・G・ウェルズの傑作SF。
もしも地球に火星人がやってきたら…の話。
1898年発表。昔の作品は、人の考え方とか話し方が偉そうに感じられて読むのがすごく苦手だけどこれは面白かった。
新訳版(2005年)というのも大きいのかもしれない。
文筆を生業とする「私」が火星人襲来のコトの顛末を回想するかたちで話が進み、その語り口が落ち着いていて、品がよく、読んでいて気持ちがよかった。
けっこう怖かったとかパニクったと言ってるんで、そんなに勇敢ではない人っぽいのも面白い。
人類側が、宇宙人が来たら交渉するとか戦うという発想じゃないのも新鮮で、なんか…なんかいいぞ!と思った。
あと、別行動の弟のエピソードは少しアクティブなので一粒で二度おいしいお得感がある。
弟と共に行動する女性のひとりもなかなか勇敢で機転も効いて、マッチョな感じがチャーミングな人物だった。
本のだいぶ終わりの方になっても新キャラが登場したりと、サービス精神旺盛な作品です。
これは兄から支給された本なのですが、ウェルズ面白いんじゃないかと思ったので、これを再読してみた。
『透明人間』
H・G・ウェルズ・著 南山宏・訳 金成泰三・画/フォア文庫(小説)
怪奇小説の古典にしてSFの名作!(と書いてある)
ウェルズは全部ちょっと時代劇なので(ウェルズにとっては「現代」だけど)すごく自分向きだと気づいた。
ウェルズいいよ、ウェルズ〜。
『宇宙戦争』も『透明人間』も、描かれていない部分を想像したくなる。
そんなところが、いろんな人に映像化される要因なんだろうなと思った。
(私は宇宙戦争の主人公の弟の普段とか、透明人間が透明人間になる前の日常とかを想像するのが楽しい。そしてそれらは全て蛇足なので書かないウェルズは偉い)
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