「耕さない田んぼ」の苗づくり
昔から、農家さんには「苗半作」という言葉があり、
“良い苗をつくることができれば、その年のお米づくりの半分は成功したようなもの”いう意味を持つそうです。
半分でもかなり重要だということが分かりますが、岩澤先生は“苗8作”と言っていたそうなんです。
たけしくんも、冬の田んぼづくりから水を張るまでの間と
苗づくりにはひときわ神経をつかっています。
田植えをしたら一切田んぼの中には入らず、あとは見守るだけ。
そんな大事な苗について、お話ししますね!
◆岩澤信夫先生って?
たけしくんが2007年から稲作を学んだ恩師で、「冬期湛水不耕起移植栽培」を確立した、知るひとぞ知る、どえらい先生。
2012年、わたしがたけしくんと千葉県神崎町で出会ったすぐあとに、先生は亡くなり、わたしは一度もお会いしたことがありません。
◆「冬期湛水不耕起移植栽培」3つのキーワード
めちゃめちゃ簡単に言うと…
“冬期湛水と不耕起で生き物のフィールドを用意し、
耕していない固い土に丈夫な苗を植えることで
肥料・農薬・除草剤を使わず稲が育ちます”
この、②と③に関係しているのが苗づくりなのです。
耕していない固い土に、ひ弱な苗を植えたとしたら…
稲本来のポテンシャルを引き出すことができません!
丈夫な苗を植えれば…
◎根にストレスがかかり太くなります!
◎自分の力で肥料分を求めて根を張っていき、たくましい稲に育っていきます!
ここで言う、丈夫な苗とは
イネの生理にあった、葉が5枚以上に育った苗(成苗)で、
手植えの時代に作られていた苗のこと。
ちなみに慣行農法では、機械移植のために開発した稚苗(葉の数が2.5枚の頃)を田んぼに植えます。
◎1980年、東北で深刻な冷害が起きたことをきっかけに、
“冷害に強い稲づくりの基本は、昔ながらの成苗にある”と気づいた岩澤先生は、
箱育苗で機械化に対応した成苗をつくる研究を始めました。
苗を徒長させないように低温管理し、丈夫な身体をつくると共に、
成苗を、稚苗と同じ草丈になるように育てることで、
田植機で植えることが可能なのです。
根の張り方も、穂の付き方も、こんなに違ってきます。
これは岩澤先生の右腕・藤崎農場さんのつくる完璧な苗!4枚積み重ねてもご覧の通り!!
岩澤先生の育苗法は『低温育苗』と言い、
その名の通り
・発芽時の温度設定が慣行農法よりも10℃低く(20℃〜25℃)
・徒長しないように温度管理(初期21℃、1葉展開後は昼の25℃、夜は10℃以上、2葉展開後は水苗代またはプール)します。
※慣行農家さんの「加温育苗」に対して、「低温育苗」ということになります。
種まきの準備で約25日間、種まきから田植えまで約50日間、じっくり時間をかけて、低くて太く、丈夫なカラダを持つ成苗をつくります。
たけしくんの苗づくりも、岩澤先生の育苗法に基づいています。
▼育苗の手引きはこちらから購入できます