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いつまでも大好きなお店


紀の善さんの閉店。

突然すぎるお知らせに、
仕事帰りは疲れて声も出ないのに
そのときは思わず声がでて、
「わたし声出せるんだ...」とダブルで驚いた


「大好きな紀の善.....」

と想いを馳せると、
紀の善で出会った甘味とそのときの私が
今でも新鮮さを帯びて蘇る

近代美術館で「民藝の100年」をみた帰りに寄って食べた杏あんみつ

うっとりするような優しい甘さのあんみつ
と酸味のある杏。
初めて紀の善に触れた、初めてのお味。


おうちで楽しんだ抹茶ババロア

甘さが控えめも控えめなあんこと
フレッシュな生クリームは言うまでもなく、
ここまで真っ直ぐに妥協なく
抹茶のほろ苦さを伝えてくれる
抹茶の甘味がこの世にあるのかと
紀の善の信念をひしひしと感じた。


そして、私の第二の故郷となった東京へ
一時帰省したときに食べた白玉ぜんざい。

とぅるとぅるきゅるきゅるした白玉を
口に入れるとあまりにも無垢な赤ちゃんすぎて
「撫でさせていただきます」
「噛ませていただきます」
となり、スプーン置きをみては「今日も白玉仕様ですね」と思うのだった。


紀の善に行くたびに、
迷って選ばなかった甘味の方に
名残惜しさもありつつ、
「次来たときはあれを食べよう」
と考えながらお店をあとにするのは、
「またここに来れるんだ」
と紀の善に行く口実ができたようで
うれしかった。

けれど、その「また今度」は叶わなくなり、
永遠はないんだと改めて思い知った。
 

もう二度とあの味には出会えないこと、
これから出会うはずだった甘味とも出会えないこと、
それはとても悲しくて切ない。

それでも、すてきな思い出をくれた紀の善さんに感謝して、
思い出まで消えてゆかないように
これからも愛していきたいな。


紀の善さん、本当に長い間お疲れ様でした。
いつまでも大好きです。


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