風人バースの設定を考えてみる
鳩舎2号「鳥人バーズ特集」の発行の目途が立ったので、次号のことを考えてみる。
嬉しいことにすでに3号の原稿に着手している人や雑誌を必ず入手したいという人もいて、評判(といっても身内間なのだけど)の大きさに驚き。
元々「花鳥風月」の巻という構成になっていて、産みの苦しみを味わった初号、新規メンバーを加えて大幅に改変された2号(手間を掛け過ぎた1号のレイアウトをもっとライトに、そして洗練された感じに)、それを踏襲した3号、4号となっていく予定で作業的には楽になっていくはずなのに主催の頭を悩ますものがある。それが「テーマ」である。
この「鳩舎」が普通の文芸誌と違うところはオリジナル設定で小説あるいは漫画を描き始めるところかもしれない。これまでも花人バース、鳥人バースと続いてきたのだが、次号になって初めて「風」という無機物、あるいは概念的なものに当たってしまった。
「風人バース」とはなんなのか?それを作りだすのもクリエイターとしての腕の見せ所かもしれないが、個人がやってる雑誌に投稿する参加者にそこまで負担させるのはいかがなものかと自分なりに考えてみた。
これから設定が変わる可能性もあるが、一先ず書いてみて人様にインスピレーションを与えることができるかどうかを試してみたい。
なのでここもうちょっとこうした方がいいんじゃない?という意見を忌憚なく言ってもらえると嬉しい。
舞台は日本(個人的なイメージ花人バースがヨーロッパで鳥人バースが中国だったので)
風人と呼ばれる種族が存在する世界。しかし姿を見る事ができるのはほんの一部の限られた人間のみ。幽霊や妖怪の類のようにも思われるが個人に害するのみならいざ知らず、風人が与える損害は村や町、時には国家規模にまで及ぶ。
太古の昔から風人に脅かされてきた人々は風人を忌み嫌いながらも崇拝し人格と神格を与えてきた。また風人をどのように説得するか、調伏させるかは長年の課題でもあり、風人と交渉できる人間、操ることができる人間は特に尊ばれた。
風人は恐れられる存在だが一方で自然に恵みをもたらす存在でもあり、風人は雷人と婚姻を結ぶことにより雨を降らすことができると信じられていた。なので一部の村では雨産みの儀として捕まえてきた二人を結婚させる、あるいは風人・雷人に見立てた村の者を結婚させる儀が行われていた。
風人には種類があり明確に区切られるわけではないが、タツミなど吹く方角によって決まる名称、オロシなど吹く場所によって決められる名称、ナガシなどの吹く季節によって名付けられる名称がある。中でも暴風を伴うアラシは嫌われている一方で罪や穢れを払うとされるシナトは人々から慕われている。
【簡単な設定と用語】
風童/風子/風童子…風の子供。力が弱く普通はそよ風程度の力しか出すことができない。風童(かぜわらべ・かぜわらし)は成長によって姿形を変えると伝えられるが、その姿は心を許した人間にしか見えないとされる。純粋無垢な存在で大多数は人間と接触しないまま風人になるが他者との交流で人格が育まれていく場合があり、人間に育てられた風童は恵みの風にも病をもたらす風になるともされている。
風人…風童の成長した姿。人格が宿るのは稀なことであり多数の風人は目的なく空中を漂い続けている。しかし強い力を持つ風人には意思が芽生えることがあり意図的に人間に危害を加えることもある。また中には人間に祀られて風神となる者もいる。時に天災を引き起こすが生命を育む存在でもあるので基本的になくてはならない存在である。風人から雨人や雷人が生まれるといった伝説も伝えられている。
風詠み(かざよみ)…風人と交流できる人間のことをいう。風人の行く方角を占ったり、風人の意思を人間に伝えることができる。数が少ない分重宝される存在だが、その多くは短命だともされている。
風師(かざし)…風人を操る人間のこと。風詠みの中でも風人を思い通りに動かすできる特殊な人間だけがなれる職業である。風袋という風人を閉じ込めることができる袋を持ち風童を売り捌いたり、風切鎌で風人の威力を弱めたりして生計を立てている。人によっては風師自身が風神であると恐れられる場合がある。
風祭り…風神に感謝を捧げるための儀式であり風祝子が儀式の担い手である。風祝子と風神が夫婦になることで風鎮の効果があるとされまた豊穣を祈る目的でも行われる祭りでもある。風祝子は風詠みしかなれないとされる。
風送り…悪い風神を送る儀式であり風師によって風神が鎮められる。
風産み…風詠みを生贄に捧げることで風人を人工的に生み出す儀式である。風詠みは風人として生まれ変わり村を守護すると信じられた。雷産みとセットとされ雨産みの儀を行う村もあった。
基本的には風人と人間が触れ合うことで変化する設定だけど、風人同士がくっついて雷雨になったり風雨になったり暴風になったりすることもできる設定にしてみた。
風神に生贄を捧げる風習が調べてみると実際にあったりしたので入れてみたいけどなるべくハッピーな創作が見たいです。
追記
風人→雲人→雨人→雪人→雷人みたいな進化や分岐をがあったら面白そう。それか雷人はもう宇宙からの来訪者みたい感じ
【頂いたコメント】
かんす@La_kansuさん
風人バース設定さらっとだけど読んだ!面白そう! 舞台が日本風と局地的にしたいなら、そこを深堀りしたらよりよくなりそうだなと感じました。 あくまでフレーバーだったらそこまで考えなくていいかもしれない
・風人による被害は世界規模である ・なぜ舞台はそこなのか →他の地域では風人を退治するのが主流。舞台の地域では神と定義、崇拝し、共生を図ってきたので特殊な地域とされている →外国から逃げてきた風人、退治しようとする人間が来るとすれば舞台は日本だけどキャラデザに幅は持たせられそう
ちなみに私の癖を素直に出力すると風人と旅をする人間のロードストーリー風味になりそう(癖の大半の根源がど○ろの百鬼丸の人間)
そういえば服装は和装ベースになるのだろうか…? 和洋折衷?混在?
らいぶらりあんさん@3U5OnvWUaIjfE55
個人的な気になる点箇条書きメモ ・風の名前が沢山あるということで舞台設定が日本? 勝手なイメージだと風は北欧で月が日本のようなイメージ。(とはいえ北欧的な創作ができるかといえば否)
・風詠みが短命なのはなぜ? そう言われているだけで実は長生きしている者も居る? 解釈次第感。楽しそう
・意志を汲み取れる者が風詠みだけなら、一般人が風と触れ合い変化を起こさせるまでになるのは非常にドラマチックになりそう。
・風は寿命がある印象がないが、成長があるということは命の期限もある? 風の死とは? そういえばひとところに留まり続けた風はそれでも風と呼べるのだろうか? 風とは
・姿の視認については人間目線での記述が多いが、風人同士の視認は余裕で可能そう? 人格が芽ばえることがごく稀な彼ら同士が出会ってくっつくというのも不思議な感覚。人間が介在せずに風人同士の愛情を描くとしたらどうしたら良いだろう、考えるのが楽しい気がする。
・雷人が所々に出てくるが、雷人とは? かなり局所的刹那的に現れる目映い人のような。
・(どこかにごくひと握りの「雨人」がいませんか?)
・風送り失敗して壊滅した村落などありそう。 総じて: 楽しそう。
球鞠十三さん@Koomery13
風切り鎌って風習も実在するんすよね。この世界だと悪性の風から澱を切り離してリセットするための儀式になってそう
風切り鎌って風習も実在するんすよね。この世界だと悪性の風から澱を切り離してリセットするための儀式になってそう
矢木羽研さん@yakiuken
使えるかわからないけど、シベリアの少数民族で、物語の最後に「私は風を殺した」という慣用句を必ず使うというのを聞いたことがある
明良さん@LUSA_LUCA
風人は強い個を持つ者に引き寄せられやすく、守護たりえることもあるが、人間は往々にして欲深いため、特に我が強いと同等の厄災ももたらしてしまうため、風人に憑かれた人間はいずれ破滅し、風人も去る。 一方で、弱い個の者には、気まぐれで寄り添うことがあり、ほんの少しの小さな幸運を与えて消える。 強風とそよ風みたいな。
風師のなかには、悪徳な者もいて、ここに近く風の厄災が来ると予言めいたことを言い、捕らえた風人を強制的に力をふるわせ、預言者のように振る舞う輩もいる。または己の風人に情が湧いてしまい、力を弱めてしまう者もいるので、取り扱いは繊細で無情でなければ続けられない。
冬原雪美さん@huyuharayukimi
風人を霊体に例えるなら、風詠みは霊能力者とかに当てはめると、考えやすい気がして、風童が純粋無垢であるって魂が子供のままなのかな……人格が宿るのは稀って事は、魂と曖昧な肉体ってイメージかな。風師はあくまで風人を閉じ込めてるのか、それともお互い納得してるのか……
風詠みが短命が多いの、本人が風人に近い素質とかだったりするのかな……強い霊感ある人はあの世に近いとこに存在してるみたいな感じで、人だけど……みたいな……人間だから人格もあるけど、魂が……
風師に心許してるなら閉じ込められてると言うよりある意味守られてるのかもしれない……ってなるけど、じゃあ閉じ込められてるって言い方になると意図的に危害を加える方の風人を捕えてるのかな……んん???
夏井あらめさん@l4fVftNJR_3334
悪意あるなら雷神になってそう 善意ならまだ風神まではギリいるけど雷はほぼ敵対者へ向けるものではあるので
雷を味方に向けるシチュってどんなのがあるんだろ? お話として見てみたい
イメージ案としては
①人間が苦労して自殺(ここに風読みの人々も含まれる)
②その中でも疲れ切って死後の安寧に辿り着けなかった、魂が透明な人々が風人に
③本能からか温かな魂を得る感覚からか自然と手を差し伸べる
④透明な魂の風人から色を持った新しい人間へ転生する
そもそも覇気も生気も希薄なのかも風読み勢 それで読めるというかうっすら死にかけてるから感じ取れる的な こうかくと死に際に霊感を獲得するアレになるけども
今浮かんだんだけど
「心が透明になってしまった風人でも人の心を再獲得したら人間になってしまう、そのトリガーになりやすいのが恋」
とかは面白そう