![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/110486883/rectangle_large_type_2_24e2bcd7d3b49a8d46001e9047234b4b.jpeg?width=1200)
《⑤十人十色の自己決定》北欧留学に学ぶ障害者福祉の在り方《デンマーク人にインタビュー》
背が高くて笑顔が素敵。
毎朝声をかけてくれる、
同じテーブルグループの
アシスタントティーチャー、ミケル。
先生からの信頼はもちろん、
誰とも隔たりを感じさせない
親しみやすさが彼の人気の秘密でもある。
そんな彼の秘密を探った。
![](https://assets.st-note.com/img/1689010601328-muHXgf5B9l.jpg?width=1200)
いつでも、どこにいても、
誰に対しても
名前を呼んで声をかけ、
ハグをした後に
『ハーイ、調子はどう?』と
聞いてくれるミケル。
彼にとっては当たり前のことかもしれない。
でも、これを毎日できることは
私にとって尊敬に価するほど
すごいことだと思っている。
私なら、
そんな気分じゃないときだってある。
朝のテーブルではデンマーク語が行き交う。
最初の頃は新鮮な感覚。
中盤になると
勝手に疎外感を感じてみたり、
気分が良いと
自分でデンマーク語を話してみたり。
誠に勝手な人間である。
でも、
私にとって毎日のように
英語で話しかけてくれる彼には
些細なことも話しやすかった。
そして、いつも
変わらずに声をかけてくれる彼に
ただただ本当に感謝していた。
休憩時間、
いつも彼の周りには必ず誰かがいる。
きっと彼の声かけに、その人柄に
私と同じように
気づくと夢中で話してしまうからだろう。
彼に《サポートするにあたって
気をつけていることは? 》ときいてみた、
その答えがまさにそうだった。
「僕は、
コミュニケーションをとり続けることを
意識しているかな。
その時だけじゃなく、
継続的にって意味でね。
僕と話すことで少しでも
ストレスを取り除くことができたらって
思ってるんだ。
話を聞いている時は、
相手の頭の中にいるイメージで、
何を考えているのか、
何を伝えたいのかを考えてる。
それから話を聞いた後で、
自分の意見を少し話したりするかな。」
自分自身の変化について
《ホイスコーレでの生活を経て
自分自身が変わったことは?》
「最初にここへ来た時は、正直
(障害のある仲間に対して)少し驚きがあった。
でも、今はなんにも無くなった。
アシスタントやヘルプティーチャーを
経て、自分自身にも自信がついたし、
考え方もすごく成熟したと思う。
今は障害を持つ子供たちの
支えになる仕事ができたらって
思っているからね。
ここに来て、
コミュニケーションの大切さや、
相手の気持ちを考えること、
それを活かして
良い方向に持っていけるように
サポートしてあげることを学んだ。
ただ単に、
コミュニケーションをとるだけじゃなく、
相手と自分の間に
スペースが必要だと感じたら
少し離れて見守ることも
彼らのためなんだって
気付けたことも僕の学びかな。」
いつもみんなから愛される
彼の秘密はここで学び、実践し、
考える彼の努力が
着実に実り続けているからだろう。
彼の言葉から出た「成熟」という言葉。
ここで学び、生活を共にした後
得られるのは仲間や
自立生活へのヒントだけではない。
また、それが何かは、
生活する生徒それぞれが
違う意見や答えを持つだろう。
だからこそ、私は
ここでの生活を多くの人に、
体感してほしいと切に願う。
相手に敬意を持ちつつ
自分の意見をしっかり持つ
エネルギッシュなデンマークの若者に
感化される毎日なのである。
人生は短い。
冒険は、
したいと決めたその日から
始まるまでのインターバルを
準備期間とする。
続けるか、諦めるか。
それとも見えない何かに流されるか。
そんなことを
日々考える学生生活だった。
ミケルはこの年の
ベスト・オブ・ザ・ヘルプティーチャー
にノミネートされ見事、1位となった。
その時の、彼の写真を添えて。
![](https://assets.st-note.com/img/1689011659763-4pQcjFY3dT.jpg?width=1200)
今シリーズの記事について
《十人十色の自己決定》は
「健常者と障害者」
という目には見えない隔たりに
疑問を感じながら飛び込んだ
北欧デンマークにある
エグモントホイスコーレンでの学生lifeは
「環境さえあれば、障害なんて越えていく」
まさにそんなワクワクドキドキが
止まらない日々だった。
エグモント卒業間近にふと考えた
「障害のある人の自己決定」について
障害のあるユーザーをサポートする
様々な人にインタビューした。