2026年開学 「京都センテニアル・パーク大学」物語
2026年午年🐴ある日の昼下がり。
ベン・M・馬場は、芝生の上に寝っ転がり、空を仰いでいた。
左手にはぎっしりと文字が整列して書かれてあるスケッチブック、右手にはペンを持っている。
雲が流れていく。
両翼を広げ、地上を見下ろし、目を光らせている鳶もいれば、
群れを成す鳥、
2羽で戯れる小鳥達もいる。
みな自由自在に大空を楽しんでいる。
そのはるか上空を、巨大人工鳥とも言える飛行機が、スーッと尾を延ばすように飛んでいる。
「伊丹空港に行くのんか?
関空か?
もっと遠くかもしれへんなあ…」
「馬編に、
…飛行機と、雲の絵文字✈️☁️で…
コントレイル」
スケッチブックに書き留めた。
馬場のスケッチブックには、馬編と馬場による作製文字で、こう読むという具合に、たくさんの馬編文字が整列していた。
馬場は、この春開学したばかりの「京都センテニアル・パーク大学」の総長である。
「京都センテニアル・パーク大学」は京都市伏見区淀にあり、京都競馬場に隣接している。
余談であるが、京都競馬場は、2025年に開設100周年を迎えることから、 2020年11月以降開催を休止し整備工事を行ってきた。
そしてついに、902日ぶりとなる2023年4月22日(土)にグランドオープンしたのだ。
お察しの通り、この大学は馬に関連する大学である。
競馬歴史学部、競馬未来予想学部、WINS開発学部、引退馬研究学部、ホースセラピー学部がある。
馬への敬愛と、競馬を深く愛する者が集い合う、待望の大学だった。
しかし、馬場自身、まさか学歴のない自分のような者が総長になろうとは夢にも思っていなかった。
ただ馬を愛する心だけは半世紀以上変わらない。
その気持ちが買われてか、長きに渡る数々の実績が認められ、関連機関で定められた規定により就任に至る。
そして今ここに、馬場の最初の試練が訪れていた。
入学者数が思っていた以上に少なく、来年度以降の受験者数と入学者数をいかに伸ばすか、大学の魅力の伝え方を考えていたのだ。
馬場は、大学事務局に任せっきりになどはしなかった。
共に苦楽を分かち合い、大学をいつもいつも真新しく築き続けていきたいという考えだ。
「さて、どうしたもんかな」
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