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旅ってやっぱり良いなぁ〜、と思う日々

ニースからローマ経由、カターニアまでイタエアウェイズで行ったのですが、ロストバゲージにあい、荷物が届かないままシラクーサまでバスで行ったことは前回書きました。

カターニアの空港ではシラクーサまで荷物を運ぶ手配をしなければいけないので、荷物が手元に届くのは2日後だと言われ失意のどん底に。
というのも、ロストバッゲージのために用意したのは1日分の洋服だけ。
下着に至っては、1日ぐらいなら水着で代用しようと、水着を持っていただけでした。

前にも書きましたが、イタエアウェイズがロストバッゲージで補償してくれるのは一日50ユーロだけ。

50ユーロって、日本円で6500円ぐらいなのですが、何が買えます?!

化粧水だって安くても2000円ぐらいするし(日本のコンビニのように小さいパッケージで売っているものはありません)、ブラジャーだって(ユニクロで買っても3000円ぐらい)結構な値段します。安い下着買ったらもう終わり。。。
とにかく50ユーロは最低限必要なものを買う金額、ってことなのでしょうか。

化粧用品はこんなこともあろうかと持っていたので必要ありませんが、洋服は1パターンしかなく、暑さで汗だくな私は、この服を何日着なければならないのだろう、と落ち込みました。

シラクーサのホテルに着き、ロストバゲージにあったことを伝えると、レセプションの男性が笑って言います。

「ああ、よくあるんですよね。他のお客さんもロストバゲージにあったと言って、この紙をあずけていらっしゃいます」

見ると、私達が空港で渡された紙と同じものが、カウンターの端に。

「そのお客さんって、何日前に到着した人ですか?」

私の問いに、「昨日ですよ」との返事。

そうか私達は明後日だから、彼らの荷物は明日に届くのね。

そんなことを思いながら、その日は過ごしました。
夜になると、夫に私たちの荷物が見つかり、カターニアへ送る、というメッセージが届きました。
夫は本当に無くなってしまうんじゃないかと、最悪なことまで心配していたようですが、そのメールが届いたことで、一安心したようでした。

とにかく見つかって、カターニアに向かっているからいいか、と安心しながらも、1日早く着いた人たちの荷物と一緒に送ってもらえるかもしれない、とちょっと期待しながらその日は眠りました。

次の日、汗の匂いが気になり、仕方なく洋服を買うことにしました。
幸いなことにセール中。
しかも、イタリアなのでカラフルです。
いつもは黒中心の洋服なので、この際ちょっとカラフルな洋服を買うのも良いかもしれない、と上下セットアップ、コンビネゾン、七部袖のシャツを購入しました。
しめて170ユーロ。日本円で2万円ちょっと。
これが安いのか、高いのか、何回着るかによることにして、今まで着なかったような洋服が買えてよかったということにします。

しかし、その日は私たちの荷物は届きません。
次の日も、荷物は届きません。そして次の日も・・・。

私たちの荷物がカターニアについたって言ってたんじゃないの?!

買った洋服も、だんだん汗の匂いが気になり始めました。

なんやねんこの国、と悪態をつきたくなりましたが、そこは我慢。
カウンターに並んだ荷物と、滞在中荷物が届かなかった人もいた、と言っていたことを思い出しました。

私たちも、シラクーサからカターニアに帰った時に荷物を受け取るのかもしれない

そう諦めながら次の日朝ご飯を食べていると、隣の人が大きな声で電話をしています。
聞くつもりはないのですが大きな声なので、内容が全部聞こえてしまいます。

「ああ、キャプテン。昨日シラクーサに着いたんだ。今ホテルで朝ごはん食べてるから、一緒にどうだ」

楽しそうに話していましたが、声色が急に変わります。

「え?!なんだって?? ちょっと待て、今法務を頼んでいる人に連絡するから」

その後の話を聞いて、椅子から落ちそうになりました。

「今シラクーサに来たんだ。マルセーユからうちの船に乗って来た家族がいたんだけど、その人たちが降りて、シラクーサで給油するんでそれの支払いをしたら、僕もその船で帰るよ。ああ、給油代の1万7千ユーロは払った、それは大丈夫だ」

えええええ!給油だけで約200万円?!家族で借りた船だから、そんなに大きな船ではないはずなのに。

「それは良いんだけど、雇ってる女性が辞めたいって言っていて。フランスで契約したから、ここで降ろして良いのか、それとも連れて帰らないといけないのか、調べて欲しいんだ」

あぁあぁあぁあぁ〜

他にも問題があったようで、ゆっくり朝食も食べずに方方に電話をかけまくっていました。

そう言えば、私たちより1日前に着いた人もまだ荷物が届いていないようだし、この人も問題がいっぱい。問題が私たちよりも大きい人はたくさんいて、でも普通の生活をしていたらこんな人たちには会えなくて、人生って色々あって面白い、なんて思うと、旅って良いなぁ〜と感じました。

おかげさまで4日後に荷物が届き、着替えができました。
荷物を開けた時、嬉しくて笑ってしまいました。
こんな小さなことでも幸せだって感じられるようになった私は、歳をとったのでしょうか。それとも、汗臭さにもう飽き飽きしてしまっただけでしょうか。

それもこれも、旅のせいだと、私は思うのです。
いつもとは違う非日常的な毎日。

やっぱり旅って、良いですね。

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