『Adagio』について (Hiroko's Monthly Tune Project #9)
何らかの楽曲を月イチで発表する私のプロジェクト、Hiroko's Monthly Tune Project ( HMTP )#9、2020年7月の曲『Adagio』について。
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noteのこちらの過去記事からも購入できます。
3月に公開した『惑星』、6月に公開した『Allegro (Act 2)』と同じく、2009年『われよぶ声す耳すませ』という自主制作CD-Rに収録した曲。
2010年に、Sony Music Publishingで私のプロモ用音源をリミックスしてもらったとき(たぶん)に書いたと思われる曲解説がこちら。
2009年7月4日に渋谷7thFloorで石橋英子×アチコさん、矢野絢子さん、沢田ナオヤ×外山明さんと共演した印象深いライブがあるのですが、そのライブの日の前日にできた曲です。鍵盤の前でAllegroを弾き終わった瞬間、「あ、この先に進みたい」と思ったときに「I'm a humble servant of you.」 という一文がふっと思い出されて(これは多分高校の教科書に載ってたネルソン・マンデラの演説の一部だったと思うんですが)、謙虚で(むしろ敬虔で)愛情に満ちたサポーターのことを歌いたい、ここで、と思いました。ガイダーではなく、サポーターのことを。流れるように出来ていった。
『Allegro (Act 2)』もそうだけど、『Adagio』は自分の中のもう1人の自分に名前をつけて呼びかけているような曲。
そして、『Allegro (Act 2)』が自分の内側にいるもう1人の自分への呼びかけだとすると、『Adagio』は逆に内側の自分からの呼びかけのような感じかもしれません。
でも「内側の自分」と一口に言ってもいろんな側面があって。アレグロが陽だとするとアダージョは陰、太陽と月のようなイメージです。
そんなわけで、『Allegro (Act 2)』も『Adagio』も自分に話しかけたり自分に話しかけられたりしている歌なわけですが、だからといって歌うとき自分について考えているかというと全然そんなこともなく、むしろ自分のことは忘れてよく知る誰かに話しかけているような気持ち。
「自分」とか、「内側の自分」とか、考えるほどよくわからず捉えどころがないですが(そしてわかる必要も別にないと思っていますが)、ただ、生まれて死ぬまで片時も離れず人生につきあってくれてるただ1人の人って、結局自分自身なんだよなあと思うと、捉えどころのない自分も健気に思えてなんだか愛しく感じます。