自己紹介|フリーランスとして独立した理由
2014年の夏
わたしにとってのターニングポイントは、間違いなくここだった。
初めてデンマークに行った時のことだ。
その頃のわたしはファッションの専門学校の常勤教師だった。
デンマークにはミンクのファーのことを学びに、学校代表として出張で訪れていた。
幸福度の高い国 デンマーク
初めて行った北欧のデンマークは、フランスやイタリアとはまた違う、優しい空気が流れていた。
人々が穏やかで、とてもゆっくり時間が流れている。
約10日ほど、首都であるコペンハーゲンにあるファーを扱う会社にお世話になっていた。
北欧ならではのデザイン性の高いオフィスは居心地がよく
こんなところで毎日穏やかに働いている人たちのことを羨ましく思った。
わたしの働き方
羨ましく思った理由は、仕事の空間だけではなく、仕事との向き合い方だった。
仕事に対しても、彼らは常に穏やかだった。
この頃のわたしは、朝から夜遅くまで働くことが普通で
休みの日も仕事を持ち帰って働いていた。
いや、この頃だけではない。
今まで、会社員時代は常にそうだった。
時には、朝5時に起き、終電で帰り1時前に帰宅するような仕事をしていることもあった。
いつ寝ていたんだろう?と自分でも思う。
わたしにとって、働くということは
それが普通なんだと思っていた。
早朝に起き、夜中まで働く。
休みの日は体力温存のために1日中寝るか、溜まった仕事を処理する。
恋人との時間よりも、仲の良い友人との時間よりも、家族との時間よりも、
仕事のために時間を費やすことが、当たり前で正解だと思い込んでいた。
何のための働くのか?
残業することが普通だったわたしは、
デンマークでも同じように、残って作業をしようとしていた。
ところが、会社のトップに「NO!」と止められてしまった。
彼が言うには仕事が終わる時間になったら、とっとと帰って、家族や友人との時間を大切にするのがデンマーク人の常識だそうだ。
その時に彼は言った。
「日本人はなぜ働くために生きているんだ。
僕たちデンマーク人は、生きるために働いているんだよ。」
衝撃が走った。
わたしは人生の優先順位がわからなくなっていたのだ。
わたしは働くためだけに生きて、本当に大切にしたいことを二の次にしていた。
この頃から自分の働き方や仕事について考え始めるようになり
独立して自分のペースで大切にしたいものを優先できる環境を作りたいと思うようになった。
それから約2年、わたしは働き方を変えるため、フリーランスになった。
自分が一番、学びや経験として
時間をかけてきたもの・お金をかけてきたものはやっぱりファッションだったので、ファッションに関わる仕事に就きたかった。
そして新たに学びを深め、パーソナルスタイリストになった。
自分を見つめ直すきっかけ
毎日、全力疾走で必死だったわたしは、自分自身と向き合うことや見つめ直すことができなかった。
ふと、立ち止まるきっかけを与えてくれたのは、デンマークという国では当たり前の思想だった。
自分にとって大切なもの、これからも続けていきたい仕事は何なのか
初めて考えた瞬間だったのかもしれない。
この時に出逢ったトーマス・アンダーソンさんには感謝の想いでいっぱいである。
↑ 最終日にプレゼントをいただいた
何がきっかけで人生は変わっていくのかわからない。
でも、だからこそ楽しい。
フリーランスになった理由は
自分と向き合った時に、大切にしたいものが仕事以外にもたくさんあったから。
そのための時間と自由が欲しかったからなんだと思う。
その時間と自由が増えた今、仕事は昔よりも数倍楽しくなった。
わたしに、その気付きを与えてくれたデンマークという国には、もう一度訪れたいと思っている。