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ドル金利上昇でもドル上昇が鈍いワケ

世界の緩和でリスクオン?!日経平均1055円超上昇

26日(木)これほど日本株市場が上昇するとは。明日、自民党総裁選ですが、株式市場は特に警戒していないようです。今日の日本株上昇の背景としては
1)3月期決算企業中間配当の権利付き最終売買日
 ~配当の権利取りを狙う個人投資家の買い
2)配当再投資への思惑買い
 ~機関投資家が将来に受け取る配当金を先回りして投資
3)米半導体メモリーのマイクロン・テクノロジー急伸
 ~25日発表24年6~8月期決算、
 売上高過去約10年で最高の伸び・強気の業績見通し
4)米国利下げ、中国景気刺激策など世界の緩和
~米国0.5%利下げ、
~中国利下げと株価、不動産支援策
等が挙げられますが、明日27日の日経平均株価における配当落ちによる影響は、約280円程度と想定されています。通常であれば権利取りの翌日は軟調となるケースが多いのですが、明日はあまり下げずに上昇が続くかもしれません。総裁選リスクを除外しての話ですが。というのも、今日は東京引け後に中国がさらなる財政出動、スイスの利下げなど緩和方向のニュースが相次いでおり、これがリスク資産をさらに押し上げていると見られます。日経平均先物は39130円台にまで上昇しています。(AM1:35)

中国2兆元財政出動?スイス3回目利下げ~ゴールド上昇

・新たな財政刺激策の一環で今年約2兆元(2844億3000万ドル)相当の特別国債を発行する予定であることが関係者の話で分かった
・消費刺激を主目的に1兆元、地方政府の債務問題対応の支援に向けて1兆元発行
・2人以上の子どもを持つ世帯を対象に、2人目から1人当たり月額約800元(114ドル)支給

まだ確定事項ではないのですが、早ければ今週中にも発表される可能性があると報じられています。香港ハンセン指数は更に上昇しています。

香港ハンセン指数

中国の景気刺激策で世界のリスクマネーが日本から中国へ回帰してしまう可能性を警戒していましたが、今日の値動きをみていると杞憂のようです。中国の短期リバウンドを狙うヘッジファンドら投機筋が中国に向かっているようですが、リスクを嫌う長期資金は中国を選択しない=日本を選好するのかもしれません。

・政策金利を0.25%引き下げ1.00%にすると発表。今年3回目の利下げ。
・2025年のインフレ予測を1.1%から0.6%に、
 26年の予測を1.0%から0.7%にそれぞれ下方修正。
・ジョルダン総裁「中期的な物価安定を確保するため、今後数四半期で追加  利下げが必要になる可能性がある」→追加利下げ示唆

世界が緩和に向かっていることがゴールド上昇に拍車をかけています。

今年、ゴールドの上昇は日米の株式を上回っています。
米利下げだけでなく地政学要因や米財政問題(米格下げ警告)なども材料とされていますが、今日の上昇などは中国の利下げと景気刺激策、スイスの利下げの影響もあったように思います。マネーの膨張はゴールドの上昇をもたらすのです。

リスク選好で、クロス円上昇継続

ドル円上昇は意外と地味ですが、ユーロ円、ポンド円、豪ドル円、キウイ円などクロス円の上昇が加速。ポンド円は200SMAを突破。ユーロ円はレジスタンス突破です。これはリスク選好相場の特徴です。

ドル/円 ユーロ/円 ポンド/円
キウイ/円 豪ドル/円 カナダ/円

昨日はドル独歩高でしたが、ドル高は持続しませんでした。今夜ドル金利がこれだけ勢いよく上昇しているのにもかかわらず、どちらかというとドルは軟調です。

米国債利回り ドル金利反発基調続く 短期金利も上昇

通貨インデックスで俯瞰してみると、ドルはあまり動いていません。ドル以外の通貨が強い。リスクオン相場なので円は選好されていません。つまり緩やかに円キャリーが起こっているものと推測されます。

米経済指標好結果で米金利上昇か

今夜は米国経済指標が強く、これがドル金利上昇につながったものと思われます。
・米新規失業保険申請、4カ月ぶりの低水準
~前週比4000件減の21.8万(予想22.3万件)
~4週移動平均は22.475万件に減少、6月以来の低水準

雇用が減速しているにもかかわらず、申請件数は減少傾向。
合法的な就労資格がない(不法移民)はそもそも失業保険の受給資格がない
ということが影響しているとの指摘も。(州によって扱いが異なる)

耐久財受注はそれ程いい数字というわけではありませんが、横ばい予想が+0.2%。

さらに確報値とはいえ米4-6月期GDPが強かったことや、GDP年次改定が強かったことなどが金利上昇に拍車をかけたと見られます。

・2020年4-6月(第2四半期)から23年にかけての実質GDPは平均で5.5%増加。従来公表されていた数字は5.1%増。
・2023年末までの5年間で、米経済は従来発表値より2942億ドル(約42兆5200億円)多く成長していた。上方修正分の約3分の2は個人消費の上方修正によるものだという。

GDPは過去の指標ですが、足元のGDP予想も強い。アトランタ連銀のGDP予測モデルGDPNOWではQ3のGDP予想が2.9%です。0.5%の利下げなど必要なかったのでは?考える向きもあるでしょう。FRBは今労働市場の減速を警戒しており、この点からみれば後手に回らぬよう大幅利下げ決定は理解できるのですが、市場は大幅利下げによる将来のインフレを警戒し始めたという指摘もありますね。長期金利上昇が止まらぬ背景です。(財政懸念という指摘もありますが)

リスクオンで「ドル安、円安」相場
ドルキャリーでドル金利上昇でもドルは上がりにくい?

クロス円に比べるとドル円相場の上昇は地味です。ドル金利上昇で下値は固いものの、リスク選好相場となるとドルキャリーも旺盛になるためドルは売られやすくなるためです。これは1ヶ月ほど前のBloomberg記事ですが、米国の利下げがドルキャリーを活発化させるとの指摘。

ヘッジファンドは8月5日以降、ブラジル・レアルやトルコ・リラといった新興国通貨を購入するためにドルを使っている。ドルは3月以来の安値で推移している。

8/5は8/2に発表された米7月雇用統計の失業率悪化を受けて米国の9月利下げが確実視され、ひょっとすると緊急利下げもあるかも、と緊張が高まった日ですね。日本では令和版ブラックマンデーがあった日でもあります。この日以降、ヘッジファンドはドルキャリーで新興国通貨を選好しているというのですが、新興国通貨だけでなくポンドやユーロ、豪ドルなど主要国通貨でもドルキャリーが活発化している可能性がありますね。

今日は昨日の急落で手が出なかったドルストレート通貨が反発してきたのを見て、豪ドルドルを0.6831ドル、ポンドドルを1.3366ドルでロング。
ポンド円を192.88円でロング。
144.38円ドル円ロングは同値撤退。

原油下落、サウジ原油100ドルの非公式目標撤回

・過剰生産に対応するため一部の加盟国がより大きな減産を行う計画が9月以降に実行されれば、12月から原油の供給量を増加させる
・OPECプラスは12月から1日当たり18万バレルの自主減産の縮小を予定している。
・サウジアラビアは12月に予定通り自主減産を縮小、1バレル=100ドルという原油価格の非公式な目標の撤回に同意している
・市場シェア回復のためではなく、少数の国が自主的な減産を段階的に廃止するための取り組みの一環

OPECプラスは、2016年12月から協調減産を開始。2014年から続く原油価格の下落に対応するために実施されていますが、2020年のパンデミックで1日あたり約970万バレルの大規模減産を実施して、原油価格の下落を支えています。2023年には、主要産油国であるサウジアラビアやロシアが自主的な減産強化に踏み切っています。(追加で日量360万バレルの減産)この自主減産を12月から縮小していく、原油100ドル目標は撤回する、というニュースですね。そもそも米国が世界一の産油国でOPECプラスが生産を減らしても需給が逼迫することはありません。米国は原油高となればインフレが加速し不満が高まりますので原油価格を抑えたい。つまり米国が原油価格をハンドリングできる時代となったために(シェール革命以降)もはや原油価格の不当な高騰はなくなったとも考えられます。
今日のニュースを受けて、原油価格はさらに下落していますね。

WTI原油価格

原油価格の定位安定は、日本にとっては大変いいことです。22年はロシアのウクライナ侵攻などもあって原油価格が130ドルにまで暴騰しましたが、この時、日本は貿易赤字が急拡大し急激な円安に見舞われました。

原油価格とドル円

原油などのエネルギーは長期契約であることが多いため、必ずしも原油相場と現在の為替レートが一致して動くわけではありませんが、原油価格に遅れてドル円が動くのがわかります。貿易赤字が拡大すれば円安になるということですが、このまま原油が下がっていけば円安圧力は小さくなっていきますね。

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