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石破ショック、タカ派スタンスの軌道修正は評価されるか
石破新総理誕生でドル円3円急落、日経平均先物2000円下落
1位高市氏、2位石破氏で決選投票へ。この時点では高市氏勝利への期待への高まりからドル円相場は146.46円まで円安ドル高が進行。ところが決選投票の結果、石破氏が逆転勝利。この瞬間、ドル円相場は3円もの急落、円高進行となりました。まるで為替介入でも入ったかのような値動きです。
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その後の欧州、NY時間にも反発は鈍く、結局NYクローズでは142円台へと下落。高値から4円もの円高となった総裁選でした。ここまでの変動は予想外でした。1回目投票で1位だった高市氏がそのまま勝ち抜くと考えていたマーケット関係者も多かったものと思われますが、石破氏が金融市場から如何に警戒されているかを示しています。ドル円日足チャートもおいておきます。
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高市総裁誕生への期待から、27日(金)の日本株市場は全面高となりました。日経平均が終値で3万9000円を上回るのは7月31日以来およそ2カ月ぶり。4万円大台回復が目前というところで東京市場の取引が終わります。石破氏勝利が伝わったのは15:20頃。東京市場がクローズした後でした。
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日経平均先物の取引時間は日中取引が8:45から15:15、夜間取引は16:30から翌日の6:00です。石破氏勝利報道の直前に先物市場の取引も一旦休止されたことで、日経平均先物チャート、大きく窓が空きました。16:30に再開した際には37000円台へと急落してしまいました。
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日経平均先物、日足です。高値から2000円超の下落です。つまり週明け月曜日はまず、先物にサヤ寄せする格好で日経平均の2000円安は覚悟。
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新総裁誕生、選挙という流れは閉塞感からの開放、新政策への期待から通常ご祝儀相場的な上昇があるものです。これほど市場に警戒されている新総裁というのは珍しいですが、それも仕方ありません。これまで石破氏は自らの著書で日銀による異次元金融緩和下で「国家財政と日銀財政が悪化した」と指摘してきたこともあり、タカ派と捉えられています。つまり、日銀の利上げを後押しすると考えられています。また、金融所得課税の拡大、法人税増税などにも言及してきました。財政規律を重視する=増税を必要と考えているということで、日本経済成長に水を指すリスクがあり金融所得課税で貯蓄から投資への流れを止めてしまうリスクがある、というわけです。少なくとも高市氏勝利期待で買われた分は剥落するのは当然の流れだったでしょう。
石破総裁、発言を修正、当面は緩和路線継続の見込み
しかし、マーケットの拒絶反応に驚いたのか、石破氏はこの週末のメディア出演で発言を大きく修正しています。
「緩和の方向性は維持しなければいけない。デフレ脱却を断言できない中、ここで金利をうんぬんかんぬんとは言ってはいけない」と述べ、政策金利の引き上げに慎重な姿勢を示した。
石破氏は「『貯蓄から投資』の流れは決して止めてはならない」とも強調。経済対策に関し「民間需要が少ないときは財政出動しないと経済が持たない」と述べた。
金融政策:早期利上げを後押しするということはない
増税:貯蓄から投資の流れを止めない=金融所得課税増税も当面ない
財政政策:需要不足なら財政出動に言及
というようにマーケットフレンドリーなスタンスに軌道修正しています。民間需要が少ないときは財政出動、と発言していますが、というなら今、まさに需要不足です。
内閣府は17日、日本経済の需要と供給の差を表す「需給ギャップ」について、2024年4〜6月期にマイナス0.6%だったとの推計を発表した。金額にすると年換算で4兆円程度の需要不足となる。~前回推計値の年換算3兆円程度(マイナス0.6%)から不足額が拡大した。
「需給ギャップ」がマイナスになっていることを「デフレギャップ」とも呼びます。これは景気の停滞や不況を示しており、物価が下落する要因とされています。通常、このデフレギャップを解消するためには政府が景気刺激策などで需要を調整する必要があるのですが、4兆円もの需要不足である中、日銀は利上げに踏み切ったというわけです。デフレ脱却宣言も出ていないフェーズでの利上げには疑問を呈する声も大きいですが、為替を意識したというなら、金融を引き締める代わりに財政出動で需要を刺激する必要がある局面です。ところがその重要な局面で財政規律重視、増税を掲げる新総裁が誕生したというのが市場のアレルギーとなったわけですね。しかし、この考えを修正したということです。本気で言っているのかどうかはわかりませんが、市場がこうした石破氏の軌道修正を前向きに捉えるなら、日本株が下げ続けることはないでしょうし、為替市場の円高も限定的となると思われます。
週末、石破総裁は財務大臣にアベノミクスを継承すると訴えて総裁選を戦った加藤勝信氏を起用する意向を固めたと報じられています。
これは前向きに評価できるかもしれませんが、今後、石破総裁の一挙手一投足に市場は神経質に動くと思われます。そもそもが引き締め、緊縮を訴えていたわけですからその片鱗が垣間見える発言があれば市場は敏感にネガティブに反応すると思われます。当面は慎重に行くと思いますが。。。
大和証券の木野内 栄治氏は最新のコラムでも日経平均24000円までの下落のリスクについて言及しています。日銀の追加利上げのリスクもあっての話ですが、こうした弱気見通しも出てきてしまったのが今の日本市場がおかれた状況です。金融政策、財政政策がマーケットにとってどれほど重要かということですね。
今週は米国経済指標にも注目、ISM製造業景況指数と雇用統計
石破ショックがどこまで日本市場に影響し続けるかは予想が難しいので、それに加えて重要な米国の経済指標について。先週金曜日は注目のPCEデフレータが発表されました。8月個人所得、個人支出がいずれも予想を下回る内容となったことがドル金利を低下させています。
★PCEコアデフレータ(価格指数)(前年比)
前回2.6% 予想 2.7% 結果 2.7%
★ PCEコアデフレータ(価格指数)(前月比)
前回 0.2% 予想 0.3% 結果0.1%⬇️
★ PCEデフレータ(価格指数)(前年比)
前回2.5% 予想2.3% 結果2.2%⬇️
~伸びは3年半ぶりの低水準
★ 個人所得(前月比)
前回0.3% 予想0.5% 結果0.2%⬇️
★ 個人支出(前月比)
前回0.5% 予想0.3% 結果0.2%⬇️
急反発していた米金利が反落。
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年内はあと2回、11月と12月のFOMCでどの程度の利下げが実施されるかに注目ですが、米指標、特に労働市場の指標の悪化が見られれば、再び0.5%の利下げの可能性がある、と市場は読んでいます。現状でも11月の0.5%利下げ織込みは53.3%で0.25%利下げ織込み46.7%を上回っています。今週は、JOLTS求人件数やISM製造業景況指数や雇用統計など重要経済指標が発表されます。
今週の主な経済指標
9月30日 (月) ――
日本
★8月鉱工業生産 (8:50) 前月比 前回3.1% 予想▼0.9%
前年比 前回2.9% 予想▼1.5%
・8月自動車輸出実績 (13:00)
・8月建機出荷額 (13:00)
海外
★中国9月製造業PMI (10:30) 前回49.1 予想49.5
・中国9月サービス業PMI (10:30)
・中国9月財新製造業PMI (10:45)前回50.4 予想50.5
・中国9月財新サービス業PMI (10:45)前回51.6 予想51.6
・ドイツ8月小売売上高 (15:00)
・ドイツ9月消費者物価指数 (21:00)
・米国9月シカゴ購買部協会景気指数 (22:45)
10月 1日 (火) ――
日本
★8月完全失業率 (8:30)
★8月有効求人倍率 (8:30)
★日銀金融政策決定会合の主な意見(9月19~20日分、8:50)
★日銀短観 (8:50)
★臨時国会召集、新首相の指名
海外
★中国、香港(国慶節、~7日)
・ドイツ9月製造業PMI[確報値] (16:55)
・ユーロ圏9月製造業PMI[確報値] (17:00)
・ユーロ圏9月消費者物価指数 (18:00)
・米国9月製造業PMI[確報値] (22:45)
★米国9月ISM製造業景気指数 (23:00)前回47.2 予想47.7
・米国8月建設支出 (23:00)
・米国8月JOLTS求人件数 (23:00)前回767.3万 予想769.3万
★副大統領候補テレビ討論会
10月 2日 (水) ――
日本
・9月マネタリーベース (8:50)
・9月消費動向調査 (14:00)
海外
・ユーロ圏8月失業率 (18:00)
・米国MBA住宅ローン申請指数 (20:00)
★米国9月ADP雇用統計 (21:15)
・米国石油在庫統計 (23:30)
10月 3日 (木) ――
日本
・日銀「需給ギャップと潜在成長率」
・野口日銀審議委員、金融経済懇談会出席
海外
・ドイツ9月サービス業PMI[確報値] (16:55)
・ユーロ圏9月サービス業PMI[確報値] (17:00)
・ユーロ圏8月生産者物価指数 (18:00)
・米国新規失業保険申請件数 (21:30)
・米国9月サービス業PMI[確報値] (22:45)
★米国9月ISM非製造業景気指数 (23:00)前回51.5 予想51.5
・米国8月製造業新規受注 (23:00)
・米国8月耐久財受注[確報値] (23:00)
10月 4日 (金) ――
日本
・9月輸入車販売 (10:30)
・9月車名別新車販売 (11:00)
海外
★米国9月雇用統計 (21:30)
NFP 前回14.2万 予想13.0万
失業率 前回4.2% 予想4.2%
平均時給 前回0.4% 予想0.3%(前月比)
前回3.8% 予想3.7%(前年比)
石破ショックで192.88円ポンド円ロングは193円に引き上げておいた逆指値がヒットし、ポジション消滅。195.95円まで上昇したのですが、利食いしようとは思いませんでした。こんな急転直下の下落は予想していませんでした・・・。ポンドドルロングはほぼ同値撤退。
豪ドルドル0.6831ドルロングだけ残っています。
今週ここからの戦略は週明けの値動きを見てからですね・・・。
NOTE
中国当局は人工知能(AI)半導体を巡り、米エヌビディア製ではなく中国産の製品を購入するよう国内企業への圧力を強めている。
報道を受けてNVIDIA株やや反落。
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三角持ち合いを上に抜ければ非常に強いチャートですが、ひとまず阻まれた格好です。仮にNVIDIAがこのまま失速するとしたら半導体市況全体への影響もありそうですので、今後の値動きに注意。