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米国ノーランディングシナリオ復活

米国「ノーランディング」シナリオ復活

米9月雇用統計の数字を受けて米国のリセッション(景気後退)懸念が薄れ、ノーランディングシナリオも再浮上。ノーランディングとは経済成長が続き、景気後退は起こらないというものです。

米金融当局は利下げに関する市場予想や自らの予測に縛られるべきではないとの指摘が相次いだ。エラリアン氏は「インフレは死んでいない」と警鐘を鳴らした

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-06/SKYAIPT0AFB400?srnd=cojp-v2

経済成長が続くノーランディングシナリオは悪いことではありませんが、インフレ再燃の懸念が出てきます。また、インフレ警戒から利下げが手控えられれば、今度はそれが景気を冷やしより大きな景気後退のリスクにつながるという可能性もあります。

「インフレ懸念再燃で米当局は利下げを控える可能性もある」が、その場合は当局が金利を「あまりにも長期間、高過ぎる水準」に維持するリスクが高まり、最終的により大きな景気下降を引き起こす事態になりかねない

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-06/SKYAIPT0AFB400?srnd=cojp-v2

11月FOMCでの利下げスキップ織込みはなんと18.5%にまで上昇しています。雇用統計直後の先週金曜日は2.5%程度でした。

CME FedWatch

米国の長期金利は再び4%台を回復してきました。
長期金利=10年国債利回り。

米国債利回り

ドル金利が猛烈に上昇しているため、日米金利差は拡大。これが足元のドル円相場を押し上げています。5月~7月の2ヶ月間は投機筋の円キャリー取引加熱で金利差から乖離してドル円相場は円安が進行していましたが、足元では金利差に素直に反応する相場に回帰しています。

ドル円と日米金利差(10年国債)

1ドル150円水準へ接近、本邦当局から口先介入も

ただ、今日10月7日(月)のドル円相場は上値が重かったですね。5分足を見ると、日米金利差拡大(ドル金利上昇)でもドル円相場が弱かったことが確認できます。

ドル円5分足と日米金利差(10年)

9/16には139円台にまで円高が進んだドル円相場が、今日は149円台まで上昇したこと。わずか3週間で10円もの円安ドル高が進んでいます。

ということで今日は財務官と財務大臣から
為替市場への牽制発言が入りました。

■三村淳財務官
「為替市場の動向は緊張感を持って注視していく」
■加藤財務大臣(Bloombergインタビューで)
為替相場について「急激な変動は企業活動にもマイナスで、国民生活にもプラスにはならない」

150円レベルで実弾介入が入るとは思えませんが、新政権からも為替市場への牽制発言が出てきたことでドル円相場の上値を重くしたと考えられます。

また、10/1に発表された日銀短観の事業計画の前提となる想定為替レートは2024年度通期で1ドル=145.15円(6月調査144.77円)です。145円より円高となると企業収益は為替部分でネガティブとなりますが、145円を上回ってくれればプラスとなってきます。来年3月末時点の企業の為替予約(フォワード)ポイントを考えると、148円よりドル高円安の時点でドル売りをすれば、企業は想定為替レートを上回る水準で為替をおさえることができるため、今日は日本の実需(輸出企業)らのドル売りが入っていたのではないか、という観測があります。

実需のドル売り円買いが金利差を無視してドル円を動かすこともある、ということです。ただし、これは短期のノイズのようなものでトレンドを作るものではないと考えています。輸出の売りが延々に続くわけではありません。事業計画に沿って年度内の為替予約が出切ってしまえば、それで終わりです。それは個々の企業によって異なるので正確に把握することはできないのですが。

もう一つの理由として考えられるのが、今日はクロス円の反落が大きくなったこと。ポンド円、豪ドル円は90SMA(青ライン)を超えられずに反落。NZ円は200SMAを超えられず反落。ドル円は200SMAと90SMAがデッドクロスです。リスク選好相場ならクロス円上昇基調が続くはずですが、どうも雲行きが怪しいですね。

ドル円、クロス円日足

日本株、リスク選好強まり大きく上昇も上げ幅を削る展開

日経平均は3日続伸で一時900円高となりましたが、終値では697.12円高と上げ幅をやや削っています。このまま総裁選で示現した高市トレードの高値39829円を超えられるでしょうか。

10/7(月)日経平均 697.12円高 39,332.74円

今日は石破茂首相が衆院代表質問で「デフレ脱却を確実なものとするべく、岸田内閣の経済政策についてさらに加速させ、賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現を図っていく」と発言したことで、900円高があったようですね。総裁となる前の発言は完全に封印したようですが、選挙後に信任を得られたとしてまた変節するのでは、という警戒がないわけではありません。

今日は村上総務相も、衆院代表質問で「アベノミクス」について野党から問われ「デフレでない状況をつくり出し、国内総生産(GDP)を高め、雇用を拡大したと評価がなされている」と述べています。これまで村上氏は安倍氏を国賊と呼び、株価の乱高下や円安についても「アベノミクス(安倍政権の経済政策)の負の遺産だ」アベノミクスに反対の立場をとってきた方ですが…?!

このまま日本株上昇が続くには米株も堅調に推移しなくてはなりませんが、今夜米株は上値が重く、半導体セクター以外はマイナス圏での推移です。

世界の株価 AM1:00

利下げスキップリスクを警戒しはじめたのか?金利があまりに猛烈に上昇していることは株価経はネガティブではありますね。ただ1%に満たない下落ですので、売られているということでもありません。ここから7-9月期の企業決算発表が本格化しますので、業績相場を前に様子見となっているのかもしれません。

ポンドの下落余地は大きい?


・英ポンドは今年に入り他の主要通貨をしのぐパフォーマンスを誇ったが、市場の信頼が崩れつつある。
・ベイリー総裁は、インフレが抑制された状態にとどまる場合、利下げについてより積極的なアプローチを取る可能性を示唆した
・CFTCのデータによれば、ヘッジファンドや他のレバレッジドファンドの強気ポジションは過去6年で最も積み上がった状態に近い。

先週BOE(英中央銀行)のベイリー総裁が積極的な利下げに言及したことで下落したポンド。まだまだネットロングが高水準。

IMM通貨先物ポジション CFTC建玉明細 ポンドネットロングは6年ぶり高水準

ポンドドルを1.3117ドルで売り参戦。
ユーロドル1.10444ドルショート継続。
明日は日本の毎月勤労統計に注目。実質賃金はプラスを維持しているか?

止まらぬ原油高、


困ったことに原油上昇が加速しています。これはインフレ圧力の高まり~ドル金利上昇圧力であり、日本の貿易赤字拡大~円安要因にもなります。

WTI原油

10/1イランがイスラエルに爆撃を行ったことで、イスラエルの報復が警戒されています。

「イランの日量200万バレルの原油供給が半年間途絶えると仮定した場合、石油輸出国機構(OPEC)が不足分を迅速に補充すれば北海ブレント原油先物価格は一時的に1バレル=90ドルまで上昇してピークを付け、OPECが不足分を補充しなければ25年のピーク時には1バレル=90ドル台半ばになると推計している」

これがブレントオイルのチャート。足元で80ドル台にまで上昇してきました。GSは90ドルまで上昇する可能性をレポート。

原油オプション市場では11月期限の100ドルcallが過去最大に膨れ上がっています。今夜の米株は原油高を嫌気し始めた可能性もあるかも?!



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