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内田副総裁発言で市場は落ち着きを取り戻せるか?

内田日銀副総裁「市場が不安定な状態で利上げはない」 

注目された函館での内田副総裁の講演ですが午後の会見をまたずに、午前にの講演内容が10:30頃に日銀のHPにUPされ、マーケットが反応しました。
函館市金融経済懇談会における挨拶」https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/data/ko240807a1.pdf

「当面、現在の水準で金融緩和をしっかりと続ける必要がある」
「金融資本市場が不安定な状況で、利上げをすることはない」
午後の記者会見では
「市場の変動が急激だったこと自体は事実だ。『当面』がいつまでかということはともかく、これまでよりも慎重に考えるべき要素が生じていると思っている」と述べ、追加利上げについては慎重に検討する考えを重ねて強調しました。先週31日の日銀会合後の植田総裁会見と比べると明らかに日銀からのメッセージは「ハト派」転換しています。

植田総裁は「経済・物価情勢が見通しに沿って推移すれば、引き続き金利を上げていく」と0.5%の壁も意識しないと利上げサイクル入りしたことを強烈に印象付けましたが、内田副総裁は「(見通しの実現には)ここ1週間弱の株価・為替相場の大幅な変動が影響する」としており、植田総裁の会見を受けた市場変動が大きかったことを認め、「見通しやその上下のリスク、見通しの確度が変われば、当然金利のパスは変わってくる」と話されました。市場が不安定な状況が続けば利上げはできない、と受け止めた市場は大きく反応しました。ドル円相場は円安方向に走り出し、日経平均も一時上げ幅1100円を超える場面もありました。
終値では+414.16円まで上げ幅を削っていますが。大引け 35,089.62円

日経平均 下落幅に対し38.2%の戻りを達成し頭を叩かれた

ドル円相場は144円台から147.90円台まで急伸しました。

ドル円15分足

日足でみるとまだこのレベルですが。38.2%戻りも達成できず。

ドル円日足

日銀の信用は失われた?市場は落ち着きを取り戻せるか

植田総裁はタカ派メッセージを市場に送りましたが、それによってあまりにも市場が大きく反応してしまったため、慌てて内田副総裁が火消しに回ったという印象が否めません。なにより市場に発するメッセージがチグハグであることが問題です。これは野村の木内 登英氏のレポート。

植田総裁は、政策金利の水準は名目値で見ても実質値でみてもなお十分に低いことから、先行きも追加利上げを進める考えを示した。また、金利引き上げが遅れれば、後により大きな幅での利上げを強いられ、経済の安定を損ねるとも説明していた。つまり、政策が後手に回ってしまう「ビハインド・ザ・カーブ」のリスクを指摘していたのである。

ところが副総裁は、「わが国の場合、一定のペースで利上げをしないとビハインド・ザ・カーブに陥ってしまうような状況ではありません」と追加利上げを急がない姿勢を強調したのである。わずか1週間のうちに。総裁と副総裁が全く逆の見解を述べたことは大いに問題ではないか。日本銀行は、金融市場の環境変化に合わせて説明をころころと変えるのではなく、金融市場や国民に信頼されるより安定し、一貫した説明に努めて欲しい。

今日の日本株の上昇とドル円上昇は、あくまで売りまれた分の揺り戻しの範疇でしょう。日経平均は1100円上昇から上げ幅を削っています。上値の重さの背景には個人の信用取引の追証発生に伴う損切りも影響していたようですが、今日の内田副総裁の「市場が不安定な状況で利上げすることはない」という発言を、市場が落ち着きを取り戻せば利上げできる、と受け止めた向きも多い印象で、決して安堵できるものではないと思われます。日経平均VI(ボラティリティインデックス)もいまだ45と高い水準にあります。(8/5(月)は85まで上昇、ブラックマンデーが日本でも起きたに等しい)

日経VI

目当ての株が投げ売られて安くなった、これをコツコツ拾っていこうというレバレッジのかからない現物株投資にはいいタイミングではあると思いますが、これだけVIが高いと機関投資家が積極的にリスクを取れる環境にありません。日経平均は38.2%戻りを達成し上値を抑えられた格好ですが、まずは38.2%戻りレベルの35,500円超えできるか、ここを超えたところで200SMAが走る36,800円レベルを超えられるか、ですね。通常歴史に刻まれるような急落があった後はボラティリティが落ち着くのに1~3ヶ月はかかります。しばらくは上へ下へと方向感のない値動きが続くと思っています。ボラが低下してようやく機関投資家はリスクテイクできる環境となるわけで、大口の買い手はまだ静観の時期でしょう。そう考えると、先週植田日銀総裁会見後に広がった「10月にも追加利上げ」というのは現時点では難しくなったと考えられます。

米国のリセッション警戒は後退しつつあるも、、、

今夜の米株市場も比較的しっかりした推移ですが、高く始まって上げ幅を削る展開であり、崩れたチャートが上昇トレンドへ回帰する勢いはありません。

米主要株価インデックス

日本市場に比べればVIXも急低下、強気派が株を買っている姿が見えないことはないのですが…VIXは8/5に65くらいまで上昇しましたが、現在24.23

VIX指数

確かに雇用統計の失業率悪化でサームルール発動、景気後退懸念が急激に膨らんで10月は0.5%の利下げになるとか、緊急会合を開いて利下げすべきなどの過度な悲観が広がりましたが、雇用統計の数字の悪化はハリケーンの影響があったなど見直す声も出てきています。米国株市場の8/5(月)の下落は東京発のブラックマンデーの煽りを食らっただけで、米国市場の強さは続いているという見方も根強いですね。

「景気減速の重大な証拠はいくつかあるが、データが近い将来のハードランディングを示唆しているとは思わない。どちらかといえば、経済には力強さがある」

金利もご覧の修正高

米国債利回り

ただ、これまで米国株市場を牽引してきたマグニフィセント7のチャートを軒並みトップアウトしており、米株がここから買えるとは思えません…。

マグニフィセント7とブロードコム

波乱はまだ終わっていない、と考えており米株市場は戻り売りではないかと思っています。日本株市場もかな。ドル円も・・・

今日は内田副総裁のコメントが報じられドル円が急上昇を始めたタイミングでドル円145.58円で飛び乗り、先程147.21円で手仕舞いました。現在ノーポジ。リスクテイク方向の円キャリーポジションが積み上げられていくという落ち着いた環境にはありませんので、しばらくはデイトレ~スキャルでしょうか。とかなんとか書いているうちに日経先物が下げ始めました。しばらくは上へ下へと乱高下する相場ですので、資金管理は重要ですね。
ひろこのX

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