ドル高加速もドル円膠着~ユーロ・ポンド下落加速
ユーロ下落でドル高加速、欧州景気減速でECB利下げ加速?
ドル円が膠着状態。短期では小さな三角持ち合いを形成しているように見えますので、今週あたりどちらかに抜ければトレンドができそうな気もしますが、足元では方向感のない値動きに終始しています。
そんな中売り込まれているのがユーロとポンド、そしてNZドルです。
円は足元ではあまり売られていませんね。通貨インデックスの足元の値動きを確認すると、相変わらずドル独歩高。これだけのドル高でもドル円相場が上がらないでいるのはむしろ上値が重いとも言えます。
先週金曜は欧州PMIが軒並み悪化でユーロ売りが加速しました。
仏:11月製造業購買担当者景気指数(PMI)
⬇️結果 43.2 予想 44.5 前回 44.5
:11月サービス門購買担当者景気指数(PMI)
⬇️結果 45.7 予想 49.0 前回 49.2
独:11月製造業購買担当者景気指数(PMI)
⬆️結果 43.2 予想 43.0 前回 43.0
:11月サービス門購買担当者景気指数(PMI)
⬇️結果 49.4 予想 51.6 前回 51.6
欧州:11月製造業購買担当者景気指数(PMI)
⬇️結果 45.2 予想 46.0 前回 46.0
:11月サービス門購買担当者景気指数(PMI)
⬇️結果 49.2 予想 51.6 前回 51.6
というわけで欧州の景気はもともと悪かった製造業だけでなく、サービス業PMIまで50を下回るなど急速に悪化。これを受けて、来月12月のECB理事会では0.25%ではなく、0.5%の利下げがあるのでは?との折込が50%に上昇しました。
ECBの利下げ織り込みが0.25%⇒0.5%に。来年1.5%の利下げが織り込まれているということは、現在の政策金利が3.4%ですので1.9%まで下がる見込みというわけで、米国は12月の利下げが0.25%、もしくはスキップの可能性、来年4回の利下げで3.75%まで政策金利が下がる見通しですが、これが4回ではなく3~2回に減るなら4%程度までしか米金利は下がらないかもしれないというのが、現状の市場の折込ですから、ドル買いユーロ売りが加速するのも無理はありませんね。
ちなみに来年日銀は1%まで利上げする可能性が指摘されていますから、欧州との金利差がわずか0.9%に縮小するわけで、ここからユーロ円を買うのは無理筋かと。
そしてこれは、政策金利予想を最も織り込む短期金利推移。欧州圏イタリア、フランス、独の金利が急低下、一方で米国短期金利が上昇を続けており、英国を上回りました。日本も水準は低いもののトレンドは金利上昇ですね。ドル金利上昇と円金利上昇でドル円はあまり動かない。
ドル金利上昇で、欧州金利低下なのでユーロドルが下がるというわけです。NZや英国の短期金利も低下を強めていますから、NZドルやポンドの下落も加速しているというわけね。
英国のPMIも悪化、英金利低下
英国:11月製造業購買担当者景気指数(PMI)
⬇️結果 48.6 予想 50.0 前回 49.9
:11月サービス門購買担当者景気指数(PMI)
⬇️結果 50.0 予想 52.0 前回 52.0
UK firms report first contraction since 2023 after budget, PMI shows(英国企業、予算案発表後2023年以来初の縮小、PMIが示す)
ポンドドルの下落も勢いを増しています。
NZにも大幅利下げの可能性台頭
NZの政策金利は4.75%。英国、米国と並んで先進国では最も高い水準にあります。先週、財務相高官が12/17に発表される半期に1度の経済財政見通しが下方修正される可能性が高いと発言したことで、NZドル売りが加速したものと見られます。そもそも、次のRBNZは会合では大幅利下げの思惑が広がっています。
NZは今年8月に、2020年3月以来、4年5カ月ぶりの利下げに踏み切りました。この時は0.25%引き下げ政策金利を5.75%⇒5.25%へ)そして10月に0.5%の大幅利下げを決定します。さらに今週27日のRBNZ会合で0.5%、もしくは0.75%の利下げもあるかも、ということでNZドル売りが加速しているんですね。
クロス円も下落したが、リスクオフではない
クロス円通貨の下落は教科書的には「リスクオフ相場」と解説されることもありますが、先週のクロス円下落は前述したユーロ円、ポンド円、NZ円に限った通貨ペアで起きており、ドル円は膠着、豪ドル円、カナダ円もほとんど下がっていません。
ドルストレート通貨でユーロやポンド、NZドルが売られたため、クロス円通貨でも下落したということですね。ドル円が下がっていればリスクオフの可能性も出てきますが、そのドル円は、ドル金利上昇、ドル高に支えられ下落していません。豪州は今回のフェーズで1度も利下げをしておらず豪州経済は底堅い為売られていないのです。
米株は再上昇開始、PMIも強かった
ドル円が下がらないワケは、米短期金利が先週さらなる高値を更新するなど米国の利下げ織り込みがジリジリ低下しているためです。このまま短期金利が上昇すると再び逆イールドになっちゃうんじゃないの・・・?
先週発表された一連のPMI,米国PMIは製造業もサービスも前回を上回る結果だったのです。
米国:11月製造業購買担当者景気指数(PMI)
⬆️結果 48.8 予想 48.8 前回 48.5
:11月サービス門購買担当者景気指数(PMI)
⬆️結果 57.0 予想 55.2 前回 55.0
先週は木曜日に発表された米10月中古住宅販売件数も好結果でしたし、米利下げを急がなくてもいいとしたムードが更に高まったと見られます。
なんとCME FedWatchを確認すると、12月に利下げした後、来年は6月に1回のみの利下げが織り込まれているだけです。
米国は来年1年をかけても0.25%しか利下げせず、政策金利は4.00-4.25%までしか下がらないというのが直近の折込みです。まあ、この金利先物市場の折込というのは目まぐるしく変化するのですが、これが足元のドル高の背景ですね。その割にはドル円は上がっていないとも言えますが、これは日銀もまた12月の利下げが織り込まれ始めているからということでしょうか。
今週の主な予定
■11/25(月)
●10月百貨店売上高(14:30)
●独IFO企業景況感指数(18:00)
■11/26(火)
●10月企業向けサービス価格指数(8:50)
●米9月FHFA住宅価格指数(23:00)
●米9月ケース・シラー米住宅価格指数(23:00)
●米10月新築住宅販売件数(24:00)
●米11月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)(24:00)
●FOMC議事要旨(11/6、7開催分)(11/27 4:00)
■11/27(水)
★★NZ準備銀行(RBNZ)政策金利発表(10:00)
●米7-9月期GDP改定値(22:30)
●米10月耐久財受注(22:30)
●米10月NAR仮契約住宅販売指数(24:00)
●米10月個人所得(PCEデフレーター)(24:00)
前年比前回2.1% 予想2.3%
●米10月個人消費支出(24:00) 前月比0.3%予想 前回も0.3%
前年比2.8%予想 前回は2.7%
■11/28(木)
●米休場(感謝祭)
■11/29(金)
●10月失業率(8:30)
●10月有効求人倍率(8:30)
●11月東京都区部消費者物価指数(CPI)(8:30)
●10月鉱工業生産指数(8:50)
●10月商業動態統計(8:50)
●11月消費動向調査(14:00)
●米ブラックフライデー
ドル円ショートは継続のまま。
ポンドドル1.2628ドル、
ユーロドル1.0478ドルで売り参戦
NZドルも狙い目。