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株から債券へ資金シフト?~海外投資家の日本株ヘッジ外しとは

リスクオフの様相再び?ドル高、円高、スイス高

リスクオフ、というほど株が大きく崩れているわけではないのですが、今夜はナスダック指数を除く米主要株価インデックスが下落基調。

米主要株価インデックス

VIX指数も20以下に落ち着いて来ていますので、リスクオフというのはそぐわないですね。SOX指数のH&S形状が完成してしまうリスクは怖いですけれど。

VIX指数はおちついてきた?

しかしながら通貨市場では極めて典型的なリスクオフ時の動きとなっています。「ドル高、円高、スイス高」です。
⬇️これは通貨インデックス比較。今夜9/9(火)はポンド、ユーロ、オセアニア、カナダなどが下落。リスクオフ時に上がるとされるドル、円、スイスだけが上昇しています。

通貨インデックス比較

これまた教科書的ですが、リスクオフ時は株から債券へ資金シフトするとされていますが、今夜は米金利も一段の低下、株から債券へと資金移動しているのかも?!

米国債利回り 

これはリスクオフ、というより「景気後退」を織り込み始めた市場の潮目の変化だと日経新聞が記事にしていましたね。確かに株の下落は緩やかでリスクオフと呼ぶほどの混乱は見られません。淡々と高値圏にある株を手仕舞って債券に資金シフトするリバランスが進められているだけかもしれません。

潮目が変わったのが今年7月末の米連邦公開市場委員会(FOMC)だ。パウエルFRB議長は、物価の安定と雇用の最大化というFRBの2つの使命のうち、労働市場への目配りを鮮明にした。

市場の関心は景気に移り、景気減速への警戒から債券市場で債券利回りは低下して価格は上昇する一方、株価は業績悪化への警戒から下がりやすくなった。景気指標に一喜一憂し「株安・債券高」「株高・債券安」のどちらかになる傾向が強まっている。

市場の関心は「景気後退」粛々と株から債券へ資金シフト?

市場の関心が「景気後退」にシフトした~確かに景気が良ければ原油はここまで下がりません。OPECプラスは10月から予定されている減産枠縮小を先延ばしにする方針を明らかにしていますが、それでも下げ止まる気配がありません。中国の需要が減退している模様で、今日は中国景気リスクについてのニュースが沢山でていましたね。

WTI原油先物価格

政府の支援策にもかかわらず、中国の住宅不況は8月に一段と深刻化

中国不動産株推移

5月、政府支援期待で不動産株は急反騰していましたが、足元でその上昇のすべてを失ってなお下落が続いています。また下落しているのは不動産関連株だけではありません。

一番下を這いつくばっているのがCSI300指数、中国株です。

政府系ファンドが何十億ドルもの資金を投じて株価を下支えしようとしているが、ほとんど効果がない。投資家は当局に対し、より強力な景気刺激策を講じるよう求めているものの、当局はこれまでのところ、過去に経済と株式市場の持ち直しに寄与したような大型景気対策の実施に意欲を示していない。

コロナ禍以降、世界をインフレが襲いましたが、中国だけはデフレに。

中国経済が「間違いなくデフレに陥っており、恐らくデフレの第2ステージに入っている」

中国経済が良くないことは今に始まったことではありませんので、驚きはありませんし、今更マーケットに悪影響が及ぶほどのインパクトはないと思いますが、やはり中国に売上がたたないというのは世界景気を押し上げる力が弱いということであり、デカップリングで済まされる話でもなさそうです。

世界の金利が低下、上昇バイアスにあるのは日本のみ

そうそう、なぜこんなにドル金利が低下しているのに、ドル高なの?という疑問もあるかと思います。リスクオフ時は株などのリスク資産がキャッシュ化されるから、という教科書的な答えもありますが、ドル金利が低下すると、それに連れて世界の金利が低下してしまうんですね。金利が下がっていないのは追加利上げ観測のある日本だけです。そりゃ円高にもなりますね。

世界の短期金利

ドル円145.83円売り継続、豪ドル円97.81円売り継続。
ユーロドル1.1081ドルの売りも継続しています。


今日気になったニュースはこちら。

・日本株に投資する海外投資家の一部で為替ヘッジを外す動きが出ている
・ JPモルガン・チェースBNPパリバUBSグループなど欧米投資銀行の間で最近、為替ヘッジを外した日本株投資戦略を顧客に勧める動きが相次いだ
・円安は日本の輸出セクター企業の業績を押し上げる半面、ドル建てベースの日本株の資産価値は目減りするためだ。この悩みを和らげる一つの手段が為替ヘッジ付きの投資~

・円安トレンドが続くと海外から日本株に投資した場合、円安で日本株は上昇が見込めるものの、為替では損をしてしまいます。海外投資家は手持ちのドルを円に換えて日本株を買うためですが、この為替の損をヘッジするために、海外投資家は日本株を買うのと同時にドル円を買って為替で損をしない方向にポジションを取ります。しかもドル買いを行えばスワップ(金利差収入)も得られるとあって22年からの日本株上昇とドル円上昇が綺麗に相関して上昇した背景には海外投資家の為替ヘッジの影響も大きかったとみられています。

ところが、このヘッジを外す動き、あるいはヘッジをしないで日本株を買う動きが出てきているというのです。ヘッジを外すということはすなわちドル買い円売りポジションの解消ですから円高圧力になります。そして今後ヘッジをしない、投資家が増えれば円安ドル高となる圧力は低下していくということになりますね。日本株は上昇してもドル円はあまり円安にならないという地合いとなるかもしれません。ただし、円安圧力が大きくないとなると輸出関連株は大きなパフォーマンスが見込めないということにもなりますが、、、

NOTE

今週木曜日はECB理事会。欧州の利下げが見込まれています。その後の利下げについてECBからどのような声明が出されるかが注目です。

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