米小売売上高悪化でドル一段安、米連休前の手仕舞い?貴金属急落

予想を下回る悪結果となった小売売上高でドル金利一段の低下
先週は12日のCPIでドル金利急上昇・ドル高となったのですが、13日のPPIを受けてドル金利が急反洛、そして14日の小売売上高が予想を大きく下回ったことでドル金利一段の低下で、ドル売りが優勢となりました。結局、トランプ大統領就任からドル安の流れが続いています。
1月の米小売売上高は市場の予想以上に減少。
ここ2年近くで最大の落ち込み。
2025年に入り消費が急減速したことが示唆された。
13分野のうち9分野で減少。
自動車やスポーツ用品、家具で落ち込みが目立った。
・米・1月小売売上高
前月比▼0.9%(予想▼0.2%、12月:+0.7%←+0.4%)
・自動車除く
前月比▼0.4%(予想:+0.3%、12月:+0.7%←+0.4%)

先週注目されたパウエル議長の上下院での議会証言はほぼノーイベント。マーケットの反応はほとんどありませんでした。先週はトランプ関税のニュースではなくCPI,PPI,小売売上高といった米景気指標に素直に反応してドル円が動いた週となりました。ただし、今回の小売売上高の悪化はカリフォルニアの山火事などの影響もあると見られ、来月はその反動での消費増があるかもしれませんので、一時的な低下と見る向きがないわけではありません。13のカテゴリーのうち9つで減少が見られたため、一時的ではないと見る向きもありますが。

日足で確認すると200SMAを再び割り込んできました。
上値が切り下がる下落トレンドを形成しています。

とはいえ、200SMAは完全に横ばいですので、円高のトレンドが強いという環境でもありません。
関税は4/2発動か、影響を確認するまでの楽観?
先週はドル金利が上昇して下落する行って来い。この先どちらに向かうかは米指標次第と見ていますが、関税賦課の影響をまだ市場はどこまでお離婚できるかは定かではありません。1ヶ月先伸ばされたカナダ・メキシコの25%の関税、そして14日トランプ大統領は自動車への関税を4/2頃に発動すると発言していますが、市場はそれに反応した様子はありません。

トランプ米大統領は14日、新たに自動車への関税を明らかにすると述べた。
自動車への関税は、日本やドイツ、韓国の大手メーカーの一部が標的となる。輸入車は昨年、米自動車市場全体のおよそ半分を占めた。
EUは報復の構え。
日本は、米国に対象からの除外を要求。
日本への自動車関税賦課が実現してしまうとその影響は無視できるものではありません。トランプ大統領は消費税も関税とみなす趣旨の発言を行っています。主にVAT付加価値税=消費税が高いEUを想定している発言と見られますが、日本も調査対象ではあります。
消費税(付加価値税、VAT)が高い国では、輸入品に対して関税だけでなく消費税も課されるため、米国から見れば「米国の輸出品に対する追加的な負担」、つまり米国輸出品が高くなります。一方で、EUや日本から米国への輸出品はEUや日本国内の消費税分が免除されるため、米国内で競争力を持つ価格で販売されます。消費税は国内取引にのみ課税され、輸出取引は「輸出免税」の対象となりますから、輸出取引では売上に対する消費税が課されないどころか、国内で仕入れた商品やサービスに支払った消費税(仕入れに係る消費税)が還付されています。これが経団連が消費税率引き上げに前向きな背景でもあります。経団連の過去の提言では、2025年度までに消費税率を19%に引き上げる案が示されたこともあり、毎年1%ずつ増税する計画が議論されていたりします。彼らは消費税が還付される側の企業ということね。
この点をトランプ政権は「不公平」と捉え、輸出企業への還付を「輸出補助金」「不正なリベート」と批判しているのです。
トランプ政権からの圧力で日本の消費税が下がる、、、なんて展開は期待しすぎですが、確かに高い消費税は輸出企業への補助金のような役割をになっていますので米国からすれば不公平だというのもわからないでもありません。ただ、対中包囲網を敷く同盟国として日本は重要な立ち位置にありますので、日本に対しては厳しい措置が取られることはないだろうという楽観のほうが大きい印象ですね。
関税発動のマーケットへの影響がまだ読み切れないので、何とも言えませんが、しかし、トランプ大統領が就任してから、ドル金利はピークアウトし、ドルインデックスは低下基調にあるということは事実として受け入れなければなりません。

ドルカナダ1.4296ドルショート、
ユーロドル1.04144ロング、
ドル円154.39円ショート継続です。
NOTE
気になる記事。
アナリストの予想を下回る見通しを提示する企業が増えている
次の四半期以降の見通しを発表した企業の中で、アナリストの予想を下回る見通しを提示した企業の方が数が多い。ブルームバーグ・インテリジェンスがまとめたデータによると、各社の見通しは今月、アナリスト予想との比較で、2016年以来の低水準に落ち込んだ。現在も1年ぶりの低水準となっている。
「今年に入ってからの不確実性はここ数年で最も高い。経営陣はより控えめなガイダンスでその状況を乗り切ろうとしている」
あくまで見通しを低く出す企業が多いということであり、高金利持続の可能性、トランプ関税の影響などを考慮したもので、「控えめな見通しのおかげで達成すべきハードルが下がるため、株価上昇の舞台が整うことになるという面もある。」と記事にあるように、業績が見通しを上回れば株価上昇の材料となるかもしれません。
オレンジジュース先物価格が急落

月足でみるとこんな感じ。

オレンジの主要産地であるブラジルで果実の生育に悪影響を及ぼす病害「かんきつグリーニング病」が蔓延、干ばつにも見舞われたことで深刻な在庫不足となったことで急騰していたオレンジジュース先物市場ですが、フロリダ州では病気への耐性の強い品種が導入されるなど防疫対策が進んだことで、25年の生産量は前年同期比18%増加予想だとか。ブラジルでも降水量の増加により作柄が改善し、輸出が増加に転じていることで、投機ロングの投げが出ている模様。
投機筋撤退はオレンジジュースだけか?
貴金属も軒並み急落した金曜日
週明け17日はプレジデントデーで米国市場が休場となります。3連休を控えたポジション調整と言われればそれだけのことかもしれませんが、このところ急騰していたゴールド始め貴金属、非鉄が週末14日金曜日に急落して取引を終えています。

週末は小売売上高悪化でドル金利が低下、ドルインデックスも下落していました。9月FOMCでの利下げ織り込みが高まったという日でしたが、教科書的に言えば金利低下、ドル安はコモディティ上昇となるはずです。順調に回復していたカッパー(銅)価格の包足陰線は不気味ですし、シルバーの上ヒゲも気持ち悪いですね。これがなにか暗示的な値動きでないことを願います。
今週の主な予定
■2/17(月) プレジデントデーで米国休場
●日本10-12月期GDP(8:50)
●日本12月第三次産業活動指数(13:30)
■2/18(火)
●独2月ZEW景況感指数(19:00)
●米2月ニューヨーク連銀製造業景気指数(22:30)
●米2月NAHB住宅市場指数(24:00)
●米12月対米証券投資(2/19 6:00)
■2/19(水)
●日本12月機械受注(8:50)
●日本1月貿易統計(8:50)
●日本1月首都圏新規マンション販売(14:00)
●日本1月訪日外客数(16:15)
●米1月住宅着工件数(22:30)
●米1月建設許可件数(22:30)
●米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(1/28~29開催分)(2/20 4:00)
■2/20(木)
●米2月フィラデルフィア連銀製造業景気指数(22:30)
■2/21(金)
●日本1月消費者物価指数(CPI)(8:30)
●米2月製造業購買担当者景気指数(PMI)(23:45)
お知らせ
2/19に日本貴金属マーケット協会代表、池水雄一氏との共著
「今こそ、ゴールド投資!」が発売されます。
ゴールドをポートフォリオに。
金投資の基礎から現在の上昇の背景、今後の見通しに
ゴールドの買い方まで解説しています。
なぜゴールドが強いかはこの本を読めばわかります!
▼新著の詳細・購入はこちらから(Amazon)
https://amzn.to/4jJ0GH5

👉️💓ブログランキング!💓
いつもご覧いただきありがとうございます。
👉️ひろこの X