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米金利上昇と米株上昇はどこまで続く?ドル円は150円トライするか

米株ダウ・S&P500は史上最高値を更新

10/11(金)ダウ平均、S&P500は再び史上最高値を更新。大統領選挙前、米国株式市場は好調です。(チャートはクリックで拡大します)

上段:ダウ平均 S&P500 SOX指数
下段:NASDAQ ラッセル2000 ダウ輸送株

米国金利は上昇基調にありますが、株式市場は金利高を意に介さず。12日は金融株の決算が悪くなかったことから市場に安心感が広がったと解説されています。

※JPモルガン・チェース(JPM.N)第3四半期決算
2%の減益(129億ドル)も投資銀行業務好調で、純金利収入が増加で1株当たり利益は市場予想を上回る。1株利益は4.37ドル(予想4.01ドル)

※ウェルズ・ファーゴ(WFC.N)第3四半期決算
貸し倒れに備えた引当金の額が前年同期の12億ドルから10.7億ドルに減少。利益が予想を上回る。1株当たり利益は1.52ドル(予想1.28ドル)

先週発表された米9月CPI(消費者物価指数)はコアがやや強含むも、米新規失業保険申請件数の悪化から、11月FOMCでの利下げスキップはなさそうだ、という機運が強まった=0.25%の利下げがあるとの安心感からリスク選好相場が継続しているものと見られます。そこへ始まった業績相場、決算が悪くなければ売る理由もありません。

米金利上昇でも株高、いつまで続く?

しかし、これだけ勢いよく米金利が上昇しているのに、株がこのまま上がり続けるのでしょうか。特に長期金利上昇が止まりません。

米国債利回り

今回の利上げのフェーズ(コロナ後)で金利高でも株高だった時期がありました。23年5月~23年7月までのおよそ2ヶ月間。黄色の◯で囲った期間ですが、長期金利はこの2ヶ月で3.3%から4.07%まで上昇しましたが、株式市場も堅調でした。しかし、その後長期金利が4.9%まで上昇する過程では株は大きく崩れています。4.1%超えあたりからでしょうか。
そして現在の長期金利が4.1%台ですね。

S&P500と米長期金利(日足)

2022年は1.7%超えから株式市場は崩れ始めています。常に株が耐えられなくなる閾値が同じということはありません。22年より23年のほうが高金利への耐性が高まっていますし、それは現在24年も同様であれば4.1%に到達したからすぐさま米株売り、ということではないということですが、しかし、4.2%、4.3%とますます金利が上昇していけば、どこかで株式市場が息切れすると思うのですが、それがどのレベルなのかハッキリとはわかりません。足元の金利上昇が始まったのは9月FOMC(9/17)以降。まもなく1ヶ月になろうとしていますね。

米大統領選は減税~財政拡張が懸念も足元は株高の反応、
日本は増税~利上げリスクを孕む選挙

タイトルに懸念、と書きましたが、株式市場にとっては懸念ではなく現在のところ好材料のようです。減税は経済にプラスなのは言うまでもありませんが、財政拡張はマネーサプライの膨張、流動性の増大に繋がりますので株やゴールドなどのリスク資産にとってはプラスでしょう。ただし、債券市場では悪い金利上昇のリスクでもあり、足元の長期金利上昇は大統領選挙後の世界を織り込み始めた可能性もあります。悪い金利上昇=米国債の信認低下が格付け機関の米国格下げにつながれば、その時は株も売られるのでしょう。まだ少し先の話です。

とはいえ、年明けには債務上限問題が。23年1月財務資金が枯渇し、債務上限に達しました。債務上限とは、米政府が国債発行などで借金できる債務残高の上限のことで、上限を超えての国債発行には議会の承認が必要。承認が得られず、国債発行ができなくなれば元本償還や利払い資金の調達がストップ、いわゆるデフォルトに陥ってしまいます。ということで債務上限の適用を2025年1月まで停止する法案が可決、23年はこの問題が先送りされましたが、新しい大統領が就任する1月にこの期限がきれるのです。年末~年始の米国株には注意が必要でしょうか。2011年はこの債務上限問題を巡って格付け会社S&Pグローバル・レーティングスが、米国債格付けをAAAからAA+に引き下げています。

一方で日本の今回の選挙ですが、石破首相は選挙戦中は増税、利上げを封印する方針のようですが、本音は異なるようです。

上記記事、ハッキリと利上げ、増税に言及しているというわけではありませんが、石破首相は選挙後また発言が変わりそうに見えます。後は日銀次第ですが。

またこの週末の日曜討論では、消費税に関して今は引き上げることも下げることも考えていないと発言されていましたが、石破首相の消費税に対する考え方を聞く限り、将来引き上げる事はあっても下げることは絶対にないのだなぁと思った次第。景気の良い米国が減税で選挙戦を戦っているのですが、日本では減税を掲げる政治家はごくわずかです。

この日米の違いが株価に現れていると考えることもできます。
このチャートはコロナショックの安値からのS&P500とTOPIX。上げ幅はコロナ禍の財政支出の大きな差もあって米株のほうが圧倒的に強いのは仕方がないとして、直近の値動きの違いは日銀の利上げと、自民党総裁選~総選挙に絡む混乱が日本株の上値を抑えていると考えています。選挙は買い、のアノマリー、現在のところその通りにはなっていますが・・・。

コロナショック以降のS&P500とTOPIX

期待された中国の財政政策、12日会見は失望か

中国の景気刺激策で爆騰していた中国株市場ですが、財政政策が不発で急反落となっていました。12日に財政政策について会見をする、というので期待されていたのですが、会見は刺激策の規模が明確にされず市場の期待に応えるものではなかったようです。チャイナ緩和マネー期待で買われてきたアセットは週明けの一段安に注意でしょうか。日本株市場にダイレクトに影響するともおもえませんが、中国関連企業とされる銘柄群は失望売りとなる可能性も。

上海総合指数日足

ドル円、150円目前で上値重く推移

ドル円相場ですが、あれだけ強い米9月雇用統計の数字を受けても意外と上がりませんね。150円台には200SMA、90SMA、7/3~9/16の下落幅に対しての半値戻り水準が重なっており、ここはかなり強い抵抗となると見られますが、もっと早くにこのレベルをトライするかと思っていました。雇用統計の日は大きく上昇しましたが、先週は意外と勢いがありませんでしたね。

ドル円日足

ひとつには長期金利が上昇を続けていても、短期金利の上昇が止まっていることがあげられそうです。短期金利はFFレート(米政策金利)動向を織り込んで動きます。長期金利は将来のインフレリスクや悪い金利上昇懸念などで上昇が続いていますが、米金融当局者は利下げスタンスを変えておらず、11月FOMCでも0.25%の利下げがあるとのコンセンサスが醸成されつつあります。週末のCME FedWatchは0.25%利下げ織り込みが89.5%、利下げ見送り織込みは10.5%程度です。

CME FedWatch

短期金利(2年もの国債利回り)は上昇が止まりました。やはり米国は継続して利下げするだろうという観測が広がっているためでしょうか。

米国債利回り

週末発表されたミシガン大学消費者信頼感指数も、11月利下げを正当化する内容だったかと思われます。消費者信頼感指数は悪化していました。

・10月ミシガン大学消費者信頼感指数
  結果:68.9(予想:71.0、9月:70.1)悪化⇩
・1年期待インフレ率
  結果:2.9%(予想:2.7%、9月:2.7%)⇧
・5-10年期待インフレ率
  結果:3.0%(予想:3.0%、9月:3.1%)

また、生産者物価指数PPIも利下げをスキップさせるような内容ではなかったと思われます。

・9月生産者物価指数
結果:前月比  0%(予想:+0.1%、8月:+0.2%)⇩
結果:前年比+1.8%(予想:+1.6%、8月:+1.9%←+1.7%)
・生産者物価 コア指数
結果:前月比+0.2%(予想:+0.2%、8月:+0.3%)
結果:前年比+2.8%(予想:+2.6%、8月:+2.6%←+2.4%)

PPIは前月比0%、伸びは8月+0.2%から予想以上に鈍化しています。前年比では+1.8%。伸びは8月+1.9%から鈍化し2月来で最低でした。予想は上回ったものの、2カ月連続でFRBのインフレ・ターゲット2%を割り込んでいます。

エネルギーや食品を除いたコア指数は前月比+0.2%で予想通りも8月+0.3%から伸び鈍化。前年比は+2.8%で8月+2.6%から伸びが予想以上に拡大し6月来で最高となっています。コア指数の伸びは気になりますが、しかし、利下げを見送るほどの強い内容だったかというとそうではないでしょう。

今週も、米金利動向からは目が離せません。ドル円を見る上では短期金利動向、株価を見る上では長期金利のどこまでの上昇に耐えられるかという点に注目です。

本邦通貨当局からの牽制発言にも注意

再び円安が急速に進み、物価高・悪い円安という批判の目が政府に向けられては総選挙に結果に響きかねない、という思惑もあるでしょう。先週も本邦通貨当局から為替市場への牽制発言が。

10/7(月) 三村財務官
為替市場の動向は緊張感を持って注視していく
10/7(月) 加藤財務相
急激な変動は企業活動にもマイナスで国民生活にもプラスにならない
10/10(木)神田内閣官房参与
緊張感を持って強い警戒を続けていく

150円台を超えるような円安が進行するようなら更に強い牽制発言が出てくる可能性には注意が必要です。選挙前に実弾介入が入るとは思えませんので、牽制発言にどれだけ効力があるかはわかりませんが、数十銭円高に動くくらいの影響はあるでしょう。

ポンドドル1.3117ドルショート、
ユーロドル1.10444ドルショート継続中

今週の主な予定

■10/14(月) スポーツの日日本市場休場
●ノーベル賞受賞者発表(経済学賞)
●中国9月貿易収支

■10/15(火)
●衆議院議員選挙公示(27日投開票)
●独10月ZEW景況感指数(18:00)
●米10月ニューヨーク連銀製造業景気指数(21:30)

■10/16(水)
●8月機械受注(8:50)
●米9月輸出物価指数(21:30)
●米9月輸入物価指数(21:30)

■10/17(木)
●9月貿易統計(8:50)
●8月第三次産業活動指数(13:30)
●ECB定例理事会(ラガルド総裁会見)
●米9月小売売上高(21:30)
●米前週分新規失業保険申請件数(21:30)

●米10月フィラデルフィア連銀製造業景気指数(21:30)
●欧ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、定例記者会見(21:45)
●米9月鉱工業生産(22:15)
●米9月設備稼働率(22:15)
●米10月NAHB住宅市場指数(23:00)
●米8月対米証券投資(10/18 5:00)

■10/18(金)
9月全国消費者物価指数(CPI)(8:30)
●中国7-9月期GDP(11:00)
●中国9月鉱工業生産(11:00)
●中国9月小売売上高(11:00)
●中国9月固定資産投資(11:00)
●米9月住宅着工件数(21:30)
●米9月建設許可件数(21:30)

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