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着こなしの美意識
小学校2年の学芸会での英語劇。歌も踊りもからきしダメな私はその他大勢のあひるの子供役。衣装はクリームイエローのカーディガン。確か、それは自前で揃えたものだった。それを家で着てみせたとき、叔母(父の妹。初の姪っ子である私をこよなく可愛がってくれて、昭和の大家族のご多分にもれず一緒に暮らしていた)が、「カーディガンはね、第一ボタンだけ留めて、あとは開けてひらりと着るのが洒落ているのよ」と。私はいたく影響をうけ、そうか、その方が素敵なんだと、当日、第一ボタンだけを留めて本番に臨んだら、ほかの子供たちは皆、ボタンを全部留めていた。そのとき、私の方が素敵と、マウントをとったか、あ、やばい、とボタンをすべて留めたかは、ちょっと覚えていないのだけれど、みんなと違ったことだけは鮮明に覚えている。そのとき初めて、洋服には着こなしというテクニックがあり、それいかんで素敵にもなり、野暮ったくもなるということを学んだのでした。
多分小学校5~6年。遠足のときに、シャツにズボンという指定。クラスの中でも格好よさが際だっていた柳田佳代子ちゃんが、カフスを一つ折り返していた。それがたまらなく粋に思え、私もそっと真似して、黄緑と白のギンガムチェックのシャツのカフスをそっと折り返したのをよく覚えている。