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マドモアゼルノンノン

 これは、もう、私のファッション感の根幹をなしたともいえるほど、影響を受けたデザイナー・荒巻太郎氏のお店。原宿の端っこにあって、小さな店のエントランスの可愛かったこと。その後、店をチェーン展開してしまって残念な形になってしまったけれど、原宿の端っこに構えていた店は本当に胸キュンだった。荒巻さんもいつもいて、不愛想でちょっと怖くて、ドキドキしながら品ものを選んだっけ。
 なんでマドモアゼルノンノンを知ったかといえば、学校の錬成会。まあ、祈りのワークショップです。それに、前述の高橋佳子ちゃんと、戸室令子ちゃんが、胸か背中にイギリスやアメリカの国旗のデザインのあるセーターを着ていて、肩から腕にかけて、mademoiselle nonnonと編み込んであって。もう、心臓をズキュンと射貫かれたほど、可愛いと思った。ところが高いわけです、もちろんのことながら。当時でセーターが3万円くらいだったのかなあ(不確かな記憶ですが)。ついに買えなかったなあ。
 初めて訪れたのは、これまた母と。悩みに悩んで薄いブルーのタータンチェックのシャツを買ってもらった。地味といえば地味な一品だったけれど、チェックの美しさに心惹かれて決めたのをよく覚えている。
 その後、自分でも買いに行くようになって、主に買ったのはストライプのTシャツ。赤と白とか、黄色と白とか、緑と白とか。胸にマドモアゼルノンノンとプリントされていて。それをジーンズのミニスカートに合わせたな。nonnonと織り込まれた赤地のジャガード生地のノースリーブのワンピースは本当に宝物だった。自分で言うのもなんですが、これが似合ったんです。今でいう勝負服っていうやつかな。
 話が戻りましてその練成会には、戸室令子ちゃんは、タイダイ(むら染め)の素敵なTシャツも着ていた。45年も前で、Tシャツ1枚が1万円以上と、まったく手の出ないものだった。それは、今も代官山に燦然と輝くハリウッドランチマーケットの品。ランチがLaunch(牧場)であることを知ったのは初めて店を訪れたときのこと。てっきりLunchだと思っていたから。でもやっぱり買えるものはなかったな。1975年に千駄ヶ谷に創業した、日本にいち早くアメリカンカジュアルの魅力を紹介した店である、と、今、ネットで調べ、それがちょうど15歳のときのわけだから、16か、17で着ていた令子ちゃんはやっぱりすごい。
 ところで、マドモアゼルノンノンの創業は東京オリンピックが行われた1964年。原宿にあったセントラルアパートの一角で産声をあげたのだそう。日本における初のブティックとも言われたとか。


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