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個性的なお洒落を愉しむお客さまとの会話から、3weyのセットアップ・アクセサリーが誕生

「作るのは好きだがお店に立って接客するのは苦手」というは作家は少なくない。 私は直接お客さまと会ってお話しするのが大好き。 売場に立つことは出会いのチャンスを与えてくれる場でもあるし、お客さまから学ばせて頂くことも多い。 会話から新しいアイディアが産まれることもある。

昨年日本橋丸善で初めてお会いした、私にとっては息子のような年齢であろうK氏。 和装が好きとのことで昨年は小さなとんぼ玉7つを組み込んだ羽織紐をお買上げ頂いた。

今年の丸善での展示会初日、和装で私の羽織紐を付けてお出かけ下さった。 こういうのは作家冥利に尽き、本当に有難い。 和装だけでなく、民族衣装風の着こなしを楽しんでいるのだと、色々と楽しくお話させて頂いた。 流行ではなく、自分の好きなものを身に纏う、なんと素敵なお洒落だろう。 私の作品を好んで下さるかたは、大概価値観や好みが私と合うのだ。 工芸、民藝、民族衣装、茶道具、仏教美術、好きな音楽、読んだ本、どこかしらに共通の好みが見つかれば、そこから話はどんどん膨らんでゆく。

今年の出品作品をご覧頂き羽織紐は用意が無くてごめんなさい、と思いながら「ネックレスもお好きな色合いの物があれば、トップの部分を羽織紐に仕立て直すことも出来ますよ」とご提案。
そこでK氏の目に留まったのがこの赤+モノトーンの連ネックレス。
私と元スタッフたちが作った玉を連ねた数年前の作品、今まで手に取って下さるかたは多いけれどなぜかご縁に恵まれなかった子。伝統的な和装には派手かもしれないけれど、このかたならきっと使いこなして頂ける!?

4年ほど前に仕立てたモノトーン+赤のネックレス
ビーズは私以外にも当工房旧スタッフ3人の手によるもの

この日は新作のワイヤー仕立の赤いネックレスと玉虫色のピンブローチをお買上げ頂いた。 連のネックレスは気に入っているし、羽織紐にするのも良さそうだが、余ったビーズはどうなるのか? ネックレス兼用羽織紐に作り変えるというのはどんな状態になるのか、私の下手な説明ではうまく伝えることが出来なかったようだ。

だが私の中で、仕立替えはすでに決定事項。 最終日までにまたお越し頂けたら見て頂きたいし、お気に召さなくても他の展示会でお客さまへのご提案用に見本として手元に残したってかまわない。
K氏は休日も誂えた浴衣の引き取りで日本橋に来るから、また顔を出しますと閉店時間間際にお帰りになった。

さぁ、翌日はさっそく実演用テーブルで作業を開始。 切って繋いで、通し直して・・・

3分割にされたネックレス
①は男性用羽織紐サイズ ②は一連ブレスレットのサイズ
余ったビーズとアジャスターチェーンの③は何のため? 答えは下記に!

連結部分の金具はどうするか?

ネックレスの留め金に使用する金具は数種類あるが、長さを調整するアジャスターを付けるなら、金具は下記の「ヒキワ」か「カニカン」を使用する。

こういう留金です(カニの缶詰じゃないのよ~)
これは首の後ろ、見えないところには良いけれど、表に使いたくない
繋ぎのフック・パーツを真鍮ワイヤーで自作

見える部分にヒキワやカニカンを使いたくない、という些細なこだわりから、真鍮ワイヤーで金具を自作することにした。アンティークな雰囲気で自己満足かもしれないが、これで納得。

パターンその1,①+②+③で長めのネックレス
パターンその1、お客さま着用写真
赤い玉のチョーカーは初日にお買上げ頂いた作品
パターンその2,①を羽織紐に使い、②+③+Aマグネットで2連ブレスレット
パターンその2,お客さま着用写真
パターンその3,①+③+Aでショートネックレス、②+Bでブレスレット

これ以外にも、②はブレスレットの他、女性用サイズの羽織紐で使えるし、工夫しだいで組み合わせて楽しんで頂けるように手首や首回りの寸法を考えてアジャスターの長さを割り出し・・・と知恵を絞って仕立てた。
丁度良い寸法と着けやすさのためにマグネットを、2種類用意したのがミソ。 仕立て直すことで旧作が楽しく応用範囲の広いセットアップになったと自画自賛している。

こんな風に、とんぼ玉・ガラス製のビーズは仕立直しながら数十年、数百年、数千年?にもわたって楽しむことができる、今風にいうならSDGs・サスティナブルな素材なのである。

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着用写真がある通り、K氏にはお気に召して頂きました。 お買上げ当日は長めのネックレスで、最終日には別の着こなしでお顔を見せて下さいました。 番傘や山葡萄と古布のバッグ、帽子、小物にも拘り流行にはとらわれず個性的なお洒落を楽しむK氏のお気に入りに加えて頂き光栄です。

長い投稿にお付き合い頂き、ありがとう御座いました。
ネット通販サイトはあまり更新できていませんが、noteやインスタの作品、気になるものがありましたらメール、メッセージ等でご相談下さい。

ガラス工芸作家 林 裕子

〒930-0151
富山県富山市古沢237-3 富山ガラス個人工房4号棟A
蜻蛉玉丙午/KOGURE Glass Works

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