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【全記録】ホタルの里・福地(しろち)の手作り米プロジェクト(福地のタウエーズ ) in 岡山県・備中高梁

こんにちは、横山です。
このページでは、岡山県高梁市の「ホタルの名所」として有名な「福地(しろち」地域で2023年春から開始した「ホタルの里の手作り米プロジェクト(福地のタウエーズ!)」について紹介します。

4月〜9月までのお米づくりの記録を順に紹介していきます。


ホタルの里・福地(しろち)とは?

田植えをしたのは岡山県高梁市の福地(しろち)という地域です。JR備中高梁駅からは車で15分ほど。
福地(しろち)は、ホタルの名所として有名です。5月の終わりから6月にかけては、ものすごい数のホタルが飛び、幻想的な光景が広がります。

画像引用:ソトコトオンライン
田んぼのすぐ横を流れる清流・福地川
福地小学校・幼稚園

そんなホタルの里・福地で、耕作休眠地(1年間)となっていた知り合いの田んぼを、みんなで耕すことにしました。

4月上旬の田んぼ。広さは約一反。雑草が生い茂る。
これはなかなか手強いぜ!

機械に頼らず、手作業でお米づくり!その理由は?

今回は、機械をほぼ使わず、昔ながらのやり方で手作業でお米づくりに挑戦してみました。
理由は単純で、田んぼの持ち主のNさん(仮称)が、トラクターやコンバインなどの機械を売ってしまったからです(笑)
ないものは仕方ないので、みんなで力を合わせて手作りでやりましょう、というノリになりました。まあ、日本人なら一度はお米づくりしてみたいよね、という気持ちもありました。

「無農薬・化学肥料なし」の3つの理由は?

また、田植えをするのに農薬も化学肥料も使わないでやりましょう、ということにしました。
1つは、田植えの前に「泥んこ遊び大会」をしたい、ということで、小さい子どもも安心して遊べるように(絶対泥が口に入るし)、という理由。(その後の田植え作業等も)
2つ目は、ホタルの名所なので、ホタルにやさしいお米づくりをしたいよね、という理由。
最後は、別に農家ではないので、まあ別になしでもいいか、という理由(笑)。農薬なし・化学肥料なしで稲作をしたらどうなるのか、実験してみてかった、以上、という感じです。

備中鍬で「田おこし」

最初にやるのは「田おこし」です。
田んぼの土を掘り起こし、土を柔らかくほぐします。
当たり前ですが、現代では機械(トラクター)で耕します。
それでは面白くないので、今回は、かつての高梁市の特産品であった『備中鍬(びっちゅうぐわ)』を使って耕すことにしました。

これが備中鍬。三つ鍬(みつぐわ)とも言う。
左が備中鍬。右が普通の鍬。

備中鍬とは、江戸時代の終わりに、高梁市(旧・備中松山藩)の財政を立て直した偉人・山田方谷(ほうこく)が特産品として売り出し、幕末に全国で圧倒的なシェアを誇ったという伝説の農機具です。(※今は普通にホームセンターとかでも売っています。)
とにかく「革命的に堀り起こしやすい」というのが特徴、と高梁市の子どもたちは学校で習い、博物館っぽいところにも展示されています。が、機械が発達したこの令和の時代において、実際に広い田んぼを耕す狂人はいません。
そこで、普通の鍬と備中鍬で、どちらが耕せるのか、実際に試すことにしました!笑

高梁城南高校の生徒も参戦!備中鍬VSノーマル鍬
圧倒的な備中鍬の掘り起こしパワー!
気持ちいいくらい、よく掘れる!
丸2日かけて、一反の田んぼを堀り起こしました!
耕す前の雑草だらけの田んぼ
備中鍬で耕した後。
備中鍬の勇者たち。ちなみに次の日に来た学生は1人に減りましたw

泥んこ遊び大会

田おこしの次は、5月のGW中に2日間「泥んこ遊び大会」を開催しました。

田んぼバレー
田んぼ綱引き
田んぼビーチフラッグ
ちびっこからおじさんまで、泥に塗れる。泥が温かくて気持ち良かったです
何かを成し遂げたような泥まみれのおじさん
子ども心に帰りはしゃぎすて、このあと腰を傷める大学生
めがねが・・・
2日間、延べ60人以上に参加してもらいました

2日間、延べ60人以上が参加。なかには、横浜からわざわざ参加してくれた親子もいました。
田植えはわりとしますが、泥遊びはなかなかできる場所がないので、貴重な機会となりました。
また、みんなで泥遊びをすることで、田んぼの土がトロトロになります。「代かき」という工程がわりにもなるのです。

田植え
次に、いよいよ田植えです。周りの田んぼより二週間ほど遅れての田植えとなりました。

稲の苗。農協から買います。品種は「ひとめぼれ」。
苗は全部で20枚。
みんなで並んで田植えをしていきます。
昼過ぎからは小雨が
田植えの日のお昼はバーベキューをしました

小雨の降るなか丸一日かけて田植えが無事に終了しました。
一反で苗が20枚と聞いていたのですが、手植えだと間隔が広くなるため、実際には苗10枚に留まりました。

田植え後の福地をドローン撮影

上空から撮影してもらいました!圧巻!

草取り

田植えをしてしばらくすると、無農薬なので、雑草が生い茂り出します。ここから稲刈りまで延々と続く草取りが始まりました。

手前が草取り後。奥(上半分)は草取り前。びっしり生えます。
明治・大正時代の「草取り機」も登場!
稲の間を押していき、土を掘り起こして、根こそぎ草を取っていきます。
めちゃくちゃ重いので重労働です(涙)
草を巻き取って取る、こんな農機具も活躍!
ひたすら草を取り続ける
金髪も草を取りまくる
無農薬だから?生き物がたくさんいました
カミキリムシの仲間?
オタマジャクシも鬼のようにいました(笑)
最終的には手で雑草を取ります
写真を撮るときだけ笑顔(笑)
毎回、これの3〜4杯分くらいの雑草が取れます
しかし、1週間もしないうちに元どおり(涙)
草を取っては、また生え、の繰り返しが9月まで続きます
左が「ヒエ(雑穀)」で、右が「稲」です。
最初はほとんど見分けがつきませんでした。
来る日も来る日も雑草やヒエを取り続ける日々が続く

6月上旬、田んぼにホタルが・・・

6月に入ると、田んぼのすぐ横の川でもホタルが舞出します。
スマホだと上手く撮れていませんが、すぐ目の前に数百匹どころではない物凄い数のホタルが現れます。

スマホ撮影ではこれが精一杯。

綺麗な川にしか住めないホタルがこんなにたくさんいる場所で、その川の水を使いお米づくりをできるのはとてもラッキーです。

田植えから1ヶ月、稲に異変が・・・

田植えから1ヶ月ほど経つと稲に異変が起きました。
異変と言っても、良い意味の異変で、なぜか肥料をいれていないのに、肥料を入れている周りの田んぼの稲よりも大きくなってきたのです。

6月後半から稲が謎の急成長
他の田んぼと比べて緑色も濃く、大きくなった
わかりづらいですが、奥が普通の田んぼ。
手前がうちの田んぼ。緑の濃さが違う。

理由はよくわかりませんが、途中から急成長して、先に植えたはずの周りの田んぼの稲を追いついてしまいました。

稲の花が咲く!

7月の中旬になると、稲の花が咲きます。

とうとう稲の花が!(写真は7/22)
花が咲いても、雑草取り・ヒエ取りは続く
これはヒエ(雑穀)。容赦無く刈ります。

今年は梅雨明け以降、ほとんど雨が降らず、猛暑でした。
なので、草取りは早朝(5時〜9時くらいまで)か夕方(17時以降)しかできず、その時間帯にせっせと草取りしていました。

とうとう実りが!

そうこうしているうちに、とうとう稲の実(=お米)が実り始めました。ちょっと感動!

とうとう実りが!(7/30)
ちゃんと粒も入っている
それ以上に繁殖するヒエたち(涙)
稲をかき分け、ヒエを片っ端から刈り取ります
夕暮れの田んぼ

黄金色に色づいてくる稲穂

8月に入ると、徐々に稲が色づいてきます。

だんだんと黄色く色づいてきます
実が大きくなり、こうべを垂れるおなじみの姿に
毎週ごとにどんどん成長、色づいてきます
(葉っぱがバッタに喰われています)
8月の終わりには、美しい黄金色に

稲刈り

そしていよいよ稲刈りです!
ここまでが長かった・・・。

十分に大きくなり、収穫を迎えました。
奥は前の週に刈り終わった隣の田んぼ。
粒もなんだか大きくたわわに実っています
鎌で手刈りをしていきます
イエーイ!
喜ぶのも束の間、広大な田んぼをひたすら刈ります
初日はめちゃくちゃ蒸し暑かったです。
特に稲の近くは、土と草の湿気が物凄くサウナ状態。
刈った稲は、紐で束ねます。
束ねる作業がまた大変。豆だらけになる人も。
束ねた稲は、はで干しにしていきます
刈って刈って刈りまくる!
初日、なんとか半分刈り終えて、はで干し完了!

稲刈り2日目

2日目は高梁市・布寄(ふより)地区の社会福祉法人P.P.Pさんが手伝いに来てくれました。
大学生も応援に。最初の頃は元気(笑)
2日目は灼熱の暑さでした。
刈ったら縛る、の繰り返し
刈って
刈って刈って
刈って刈って刈って
刈って刈って刈って刈って
あと少し!
最後のひと刈り!刈り納めです!
P.P.Pの皆さんは午前中まで。ありがとうございました!

しかし、刈って終わりではない・・・

これを全て干したら完了です(涙)
しかし、2日目は灼熱で夕方まで作業中断
刈って縛った稲を運びます
ひたすら運びます
運んで干します
終わったああああああああああ!
整然と並ぶ稲、壮観です
立派なお米が実りました

天日干し(二週間)

稲刈りをしたら、二週間ほど天日干しで乾燥させます。
コンバイン(機械)の場合は、収穫(刈り取り)と同時に脱穀までするので、その日のうちに、乾燥と籾摺り設備のあるライスセンターに持ち込みます。
今回は、昔ながらのやり方で、天日でじっくりと乾燥させます。そうすることで旨味や甘味も増し、美味しくなるのだそうです。

収穫したばかりの稲
刈りたてはまだ緑が残っています
一週間もすると、黄金色に
天日干しの二週間、雨もほぼ降らず、よく乾燥できました。
ここで長雨・台風が来たりすると、お米がダメになることも・・・
完全に黄金色に。美しい秋の稲です。

脱穀

天日干しを終えたら、次は脱穀です。
市内でお借りしてきた、昔ながらすぎる脱穀機を使い、脱穀(稲穂から米だけを外す作業)をしていきます。

昭和初期?くらいの脱穀機。年季入りまくり。
昔のミシンのように足で押して回転させ、手作業で脱穀していきます
これがなかなかに難しい。米も飛び散ってしまいます。
関東から遊びに来ていた中学生も脱穀に挑戦!
たまたま海士町から来ていたおじさんも挑戦!

全ての工程の中で、脱穀が一番大変かもしれません。
物理的な手間も時間もかかるし、技術もいります。
植えて終わりの田植えが、一番楽な気がしました。
昔の人はここまで苦労して、やっとこさお米が食べられたのだと思うと、感慨深いものがありました。

籾摺り〜精米

やっとこさ、と書きましたが、実際はまだ食べられず、脱穀したお米を「籾摺り(籾殻を外して、玄米の状態にする)」があります。

ここでも大昔の農機具が登場
手で回して風を起こして、藁と籾付きのお米に分けます
落ちたお米も一粒一粒拾い集めます
脱穀後の籾付きのお米です
これだけ収穫できました!
収穫できたお米をライスセンターに運びます
一週間ほどで、籾摺りが終わり玄米の状態に
やっと見たことのあるお米の状態に
精米機にかけて白米に!粒がぷっくりして大きい!

ようやくお米を食べられる!感動!

ここまでの果てしないプロセスを経て、やっと、やっと、お米が食べられます。

研いでみたら、ものすごくいい香りが!
田んぼの横で炊いてみました!
おこげもできて、いい感じ!
食べちゃうよ!食べちゃいますよ〜!
こ、これは・・・!
う、う、うまい〜〜〜!!!
これまで手伝ってくれた皆さんにお米を進呈
顔がにやけている
一番頑張った高校生にもプレゼント!

藁まき(来年に向けて)

これで終わりかと思いきや、来年に向けての準備があります。脱穀した稲の藁(ワラ)を、田んぼに満遍なく巻いていきます。

コンバインで収穫するとその場に藁が落ちるので、藁まきの手間がない
これも手作業で藁を均等にまいていきます。
この藁が土の栄養になり、来年の実りに繋がります

最後に!

ということで、4月から9月にかけての、ホタルの里・福地(しろち)での手作りでの米作りの記録をお届けしました。
大変だったけど、みんなで取り組む米作りは楽しく、達成感はとてつもないものがありました。
お茶碗一杯のご飯にたどり着くことが、こんなにも大変だということ。昔の農家さんの苦労と、機械の偉大さと(笑)、両方が身に染みました。
最後に、田んぼに関わってくださった全ての皆さまに感謝をお伝えします!ありがとうございました!来年も懲りずにやりましょう(笑)

おつかれさまでした!


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