「校内通貨」で子どもをモチベート?
日本の教育が目指しているもの
平成29・30・31年改訂学習指導要領にて、以下のような方向性が示されている。
個人的には素晴らしい方向性だと感じる。実際の社会で生きて働くことを幼少の頃から学び、思考力や判断力、表現力などを人生や社会に活かそうとする。まさに理想と言えるのではないだろうか。
素晴らしいけど問題だと感じること
方向性は素晴らしい。だが、私の周りでは学校教育に対する疑問や不満を口にするシーンを目にすることが増えてきたように感じる。
そして、自分の子供の教育を考えると私も疑問を感じている側にいる。自分なりに考える問題は2つ。
① 養っている力に足りないものがある
② 子どものモチベーションの観点
問題①養っている力に足りないものがある
課題は、実際に行われている「教育」自体にあると考える。
▶日本の教育イメージ
「記憶する」→「正解を出す」という単純作業の繰り返し
これだけでは、社会に出てから役に立つ理想とする力は養えていないと、多くの人が感じているのかもしれない。
文字が読め、計算ができる。難しい問題にも答えるために勉強する。なぜこれでは足りないのか。
▶日本の教育課題点
社会で生きる力として必要なのは、「正解を出す力」だけではなく「答えを出す力」である。
教育でほぼ「正解を出すこと」のみ磨く結果、未知の状況では答えを出すことができない人間に成長する。
= 方向性右下と真逆に進んでいる
分かりやすい例として、この問題の答えを出せるだろうか。
▶ 問い
コンビニの駐車場に2台の車が入ってきました。その時、車が3台出ていきました。この駐車場には何台の車が停まっていますか?
実際に社会に出て求められること、それは正解のない中でも考えることができる力。
社会で生きるとは、正解が分からずともこの問いに答えることであり、「未知の状況にも対応できる思考力」とはこういうことではないか。
何かを根拠として、自分なりの答えを出して生きていく。つまり正解でなくとも「自分の見解を述べられる力」こそが求められる力だと思う。
問題②子どものモチベーションの観点
この方向性、子どもが「やりたい」と思ってくれるのだろうか。
Youtube、マイクラやフォートナイトなどのゲーム、TikTokが好きな子供たちが、この理想を目指すことが果たして可能なのだろうか。
私はそれが一番難しいと考える。
そしてこの課題をクリアするためには、『目的の二重性:(Duality of purpose)』が必要になると考える。
▶ 目的の二重性
仕掛ける側の目的と、仕掛けられる側の目的が異なるが、結果として同じ目的を達成することになるということ。
ゲーミフィケーション要素を入れたりして、仕掛けられる子ども側にも目的を持たせてあげる。これが重要だと思うが、果たして今の学校教育にあるのだろうか。
【解決案】カナダには校内通貨があったりする
カナダのとある中学校。良いことをするとコイン(校内通貨)がもらえる制度がある。そのコインの交換所あり、様々な特典と交換することができる。
コインは宿題をちゃんとやったり、先生に「Good!」と褒められた時になどにもらえるのだ。
交換できるポイントの中には、食堂での食事券やお菓子との交換以外に、
・ 居残り勉強回避の権利
・レクリエーション施設の独占利用権利
・10分早く学校から帰れる権利
※多少語弊がある可能性があります
といったものまであるのだ。
コインを活用した子供側の目的を生み出し、やるべきことをやることで仕掛ける側の目的を達成しようとしている、まさにこれ!という仕組みではないだろうか。
これにより、コインというモチベーションを与え、自分なりの答え(考え)を持ち行動するという、今の学校教育に足りないものが補えるのではないかと私は考える。
指導要領・校則を変えて、日本でも実証事件を行っていただきたいと切に願う。