満たされない何かなどない
人は満たされない何かを毎日探している。
だから酒も飲むし、街に出かけるし、人と会う。
それが生産的であるということも言えるかもしれないが、酒を飲まなくなったおれからすると、満たされない何かなど本来は存在しないんじゃないか、と逆に考えられるようになってきた気がする。
これは一つ、大きな成熟なのではないだろうか。
「ーでなければいけない」「ーしなければいけない」というものがそもそも存在せず、瞬間瞬間の気持ちよさを求めて、その瞬間瞬間を自己欲求で満たしていく。その連続が人生それ自体なのではないかと思えるようになってきた。
酒をやめて、精神が安定し、メンタルと共に頭脳もまともになってきたような気がするのだ。そう考えると、20年もなんと飲み過ぎたことか。二日酔いの一日の無駄さ。あの日をいま金で買えるのだとすれば、おれはいくらだすのだろうか。
だが人生を100年と設定するなれば、おれはまだ折り返し地点にも立っていない。健康であり、体力もある。タバコもやめたし、酒も飲まない。金はある程度あるし、家庭も円満、子供は健常児である。仕事を邁進する能力も人並みに高まってきた。ここからちゃんと毎日を、自己満足で過ごしていきたい。
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