中年の危機
これまで色々な試練に対して自分がどう立ち向かってきたかということを考えると、やはり知識は重要だ、という結論にたどり着いてしまう。吉岡光明はそう思った。42歳になる吉岡は、わかりやすく中年の危機、ミドルエイジクライシスに罹患していた。まぁ罹患というのが正しい表現じゃないのは分かっている。ただそれは一種の精神病のように思えてしまう。
それも、39歳ぐらいからだんだんと深刻になってきているので、すでに罹患生活は3年に上っている。ミドルエイジクライシス(中年の危機)とは、第二の思春期、とも言われている。状態としては、40代に差し掛かり、体力がなくなり、苛烈な精神状態で仕事することができなくなり、自分の生活や職業人生の上限と下限が見え、いい意味でも、諦めのついた状態ではあるのだが、それに伴い、不満や失望感、悲壮感などが常に心を取り巻いている症状である。
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