UK に青葉市子さんを呼んだ女の子
BGM : 七尾旅人 : おもひで!おもひで!!
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インターン先でイベントの手伝い。
今日は日本人とのハーフのクラシックギタリストの演奏だった。
彼の右手はどこまでもワイドに開き、彼の左手は意思を持っているようにスムースに動く。
僕は仕事があったから他の部屋からビデオで放送されていた映像を見ていたが、できればライブで見たかったと残念に思う。
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受付をしていると、日本人の女の子が一人来た。
彼女は以前ここでインターンシップをしていたらしい。
イベントが終わった後、予定まで時間が空いた僕は彼女をコーヒーに誘った ( 実はティー、もう時間が遅かったので ) 。
話していると、彼女は僕と同じ頃にイギリスに来たことを知る。
そして、彼女が、僕がインターン先を知ったきっかけの青葉市子さんのコンサートをゼロから企画したことを知る。
日本の音楽が好きな彼女は、イギリスの人たちに自分の好きな音楽を知ってもらう機会を作りたかった。
彼女はインターン先の NPO法人にこの企画を持ちかけ、自分で青葉市子さんの事務所に連絡し、チラシを必死に配って、また、単身で来た青葉さんの世話をして企画を運行したと言う。
僕は、彼女が Cafe OTO に置いたチラシを見て、青葉市子さんが来ることを知り、コンサートへ行ったんだ。
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「日本の音楽を海外に広げたかった」
そう言う彼女は今、インターンを辞め、日系企業で働いている。
彼女は言う。
「自分はただラッキーだった。NPOも青葉市子さんもタイミングが良く、自分に協力してくれた」
そして、自分のやりたかったことを記憶の中で反芻し「あの時の方が輝いてた」と懐かしむ。
違うでしょ!
「君がしたことはすごいんだよ、君は僕の運命を動かしたんだよ」
「君がいなかったら、僕はここにはいないんだよ。JasonにもSylviaにも、NanaさんにもSayakaさんにも出会えなかったんだよ。君は他の人が誰もやってないことをやったんだよ」
「自分が無力だと思うのは簡単だけれど、自分がどんな可能性を持ってるか自覚しなよ」
「二年は永遠じゃないんだよ」
彼女の目を見ながら、必死に伝える。
その実、瞳に映る自分に向けて言葉を投げている。
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彼女も僕も、結局お金の折り合いがつかず、どこかで現実と向き合う瞬間がある。
でも、僕だって彼女だって「こんなことして来たよ、凄いでしょ」なんて自慢話を作る為に頑張ってるんじゃない。もっと繋げたいんだよ。
「なんか無いんすか」
いや、あるよ無限に。
僕だって、自分の可能性に気付かないフリしてるだけだ。
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彼女と別れ、ライブ終わりの友達と合流しビールを飲む。
帰り道、ぼーっとしていたら乗り換えの駅を乗り過ごす。
もういいや、ここからは歩いて帰ろう。
冷たい雨がビールで火照った頰を冷やす。
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