Netflix 「オルタード・カーボン」感想
NetflixのSFドラマ「オルタード・カーボン」は人間の意識をデジタル化し、頸椎にはめた「スタック」という装置に保存し体を交換することで死を回避できるようになった未来社会が舞台。主人公は戦闘能力に優れた兵士ながら、反政府組織に寝返ったため逃亡の末に殺害され、スタック状態で眠らされていたものの、大富豪に雇われ復活し難事件を調査するというが物語の始まりだ。
技術が発展した未来ながら、貧富の差は激しいし、お金持ちや権力者はやりたい放題の身勝手な人ばかり、暴力、犯罪は蔓延しているし、悪い奴らの残虐性は酷いもの。見ていて憂鬱な場面も少なくない。よくいえばシェークスピアの「タイタス・アンドロニカス」風だが、おおむね17、18世紀以前の荒んだ植民地社会風の世界観で未来という感じはない。特にシーズン1主人公の妹さんのダークサイドぶりには、これほと冷酷になれるものなのかと唖然した。
それでもシーズン2まで全18話をほぼ一気に見たのは、ビジュアルの綺麗さ、見応えあるアクション、俳優さんのしっかりした演技があったから。著名スターはいないが個性的で独特の存在感ある俳優さん達が出ていて、やはり向こうは層が厚いなと思った。
主人公の役者さんもかっこいいが、相手役の女優マルタ・イガレータは個人的に好みのタイプなので見て楽しかったし、妹役のディーチェン・ラックマンのクールな美しさもなかなかだ。AIホログラム役のクリス・コナーも上手い俳優さんで気になったた。
また気になったのは、主人公の名前がタケシ・コバッチなど日本が随所に登場すること。未来の植民星にもヤクザがいて面映い気持ちになる。サイバーパンクSFが日本文化と相性が良いのはいつからだろう。
80年代後半にコミックや映画の「アキラ」が登場してからの印象があるが、「ブレードランナー」の方が先。去年読んだフリップ・K・ディックの「高い城の男」では、易経や武道に傾倒してようだから、意外とルーツは意外と古いのかもしれない。
COVID-19のおかげでNetflixを観る機会を得られたが、「オルタード・カーボン」のような荒んだ世界観のドラマが多くて実は驚いている。「オルタード・カーボン」は原作があって、出版された1、2年後に図書館で見つけて読んだが、15年以上も前だから内容をすっかり忘れている。荒んだ世界観の源はなにかも気になるし、図書館が再開したら読んでみたい。
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