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ノーベル文学賞候補作を割り出す方法メモ①

 これまでノーベル文学賞受賞作家作品を50冊以上読んでいますが、どんな作家が受賞するのか考えると、やはりそれぞれ個性的で独創性があること、高水準の作品をいくつも書いていること、作家を取り巻く社会、伝統の敬意や批判精神、革新的な作風、言語や文化を超えた普遍的な美意識、ヒューマニズム精神といった感動の要素を持ち合わせていることが重要に思えます。
 昨年は8月から10月にかけてノーベル文学賞候補と評価された作家の作品を読みましたが、その活動を通じて感じたのは、自国の言語の作家だけではなく翻訳された作品を通して貪欲に幅広く文学の感動を求める欧米文学シーンの懐の深さでした。ノーベル文学賞候補作家作品を読むことは、その刺激的な文学シーンを知るよい機会に思います。
 ただ自分のように外国語が不得意で忙しい人間には、海外で評価されている作家や小説を調べるのはなかなか大変です。どうしたら良いかといろいろ考えた末、ノーベル賞以外の海外の文学賞に着目するのはどうか?と思い、今回いろいろ調べてみました。

ブッカー賞
 英語圏在住の作家の英語で書かれたその年最も優れた長編小説に贈られる英国の文学賞。
 ノーべル文学賞作家のJ・M・クッツェー、カズオ・イシグロ、ドリス・レッシング、アリス・マンローなどが過去に受賞または最終候補作に名前が上がっていてます。この賞を2回受賞しているピーター・ケアリー、ヒラリー・マンテル、マーガレット・アトウッドは注目するべきです。またこの10年間に受賞したジュリアン・バーンズ、リチャード・フラナガン、マーロン・ジェイムズ、ポール・ビーティ、ジョージ・ソーンダーズ、アンナ・バーンズなども対象にしてよいと思います。

ブッカー国際賞
2015年までは隔年で作家に贈られていましたが、2016年から毎年その年の優れた翻訳小説に与えられるようになりました。過去に、アリス・マンロー、オルガ・トカルチュクが受賞しています。イスマイル・カダレなどノーベル賞のオッズによく上がる作家も受賞しているので、若手の作家(2020年の受賞者)を除いた全員は候補作家とみなして良いのでは?と思っています。

国際IMPACダブリン文学賞
 翻訳も含めその年に英語で出版された優れた小説に贈られるアイルランドの文学賞。V・S・ナイポール、ジョゼ・サラマーゴ、ヘルタ・ミュラー、オルハン・パムク、J・M・クッツェー、トニ・モリソン、オルガ・トカルチュクが受賞または最終候補に選ばれています。意外とノーベル賞に近い賞かもしれません。過去10年間くらいの受賞者、候補作家は一応押さえておいてよいかもしれません。
 個人的にはフアン・ガブリエル・バスケス、アキール・シャルマ、ジョゼ・エドゥアルド・アグアルーザ、昨年受賞のアンナ・バーンズが気になっています。

ヨーロッパ文学のためのオーストリア国家賞
 ヨーロッパ文学を対象としたオーストリアの文学賞です。ノーベル文学賞作家のハロルド・ピンター、ドリス・レッシング、パトリック・モディアノをはじめ多くの著名作家が受賞している無視し難い文学賞です。過去十年の受賞者は注目してもよいのではと考えます
 個人的には最近本屋で目にするカール・オーヴェ・クナウスゴール、ミルチャ・カルタレスクが気になります。

ヴィレニカ国際文学賞
中央ヨーロッパを対象としたスロベニアの国際文学賞。ペーター・ハントケ、オルガ・トカルチュクが受賞。英語圏とはまた異なる顔ぶれで注目に値するかも、と考えています。
個人的にドゥブラヴカ・ウグレシィチが気になります。

ノイシュタット国際文学賞
隔年で選出される米国の国際文学賞。ノーベル賞作家ではガルシア・マルケス、オクタビオ・パス、トーマス・トロンメルが受賞。日本では注目されていない作家が多いのですが、ドゥブラヴカ・ウグレシィチなど過去十年の受賞者は押さえておくべきでしょう。

セルバンテス賞
スペイン語圏作家に贈られるスペインの文学賞。過去にオクタビオ・パス、マリオ・バルガス=リョサ、カミロ・ホセ・セラが受賞。ガルシア・マルケスが未受賞なのは解せないけれそ過去十年の受賞者は一応押さえておくべきかも


他にも気になる文学賞はありますが、今回はここまで。
またよろしくお願いします。

読んでいただきありがとうございます。ここでは超短編小説、エッセイ、読書感想などいろいろ書いていく予定です。よろしくお願いします。